環の圏
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数学の特に圏論における(単位的・結合)環の圏(かんのけん、: category of rings)Ring は、すべての(単位元持つ対象とし、すべての(単位元を保つ)環準同型とするである。他の多くの例と同じく、環の圏は大きい(すなわち、すべての環の成すは集合でない真の類である)。
目次

1 具体圏として

2 性質

2.1 極限と余極限について

2.2 射について

2.3 その他


3 部分圏について

3.1 可換環の圏

3.2 体の圏


4 関連する圏および函手

4.1 群の圏

4.2 多元環の圏

4.3 擬環の圏


5 参考文献

6 外部リンク

具体圏として

環の圏 Ring は具体圏(英語版)、すなわちその対象は集合に追加の構造(いまの場合、加法と乗法)を入れたものであり、その射はそれら構造を保つ写像である。環の圏から集合の圏への自然な忘却函手(英語版) U: Ring → Set が、各環をその台となる集合へ写すことによって(つまり、加法と乗法という演算を「忘れる」ことによって)与えられる。この忘却函手の左随伴 F: Set → Ring は各集合 X に X の生成する自由環を対応させる自由函手である。

環の圏を、アーベル群の圏 Ab 上の、あるいはモノイドの圏(英語版)[要リンク修正] Mon 上の具体圏と見ることもできる。具体的に、乗法あるいは加法をそれぞれ忘れることによって、二つの忘却函手 A: Ring → Ab および M: Ring → Mon が得られる(つまりA は環の加法群を取り出す函手、M は環の吸収元付き乗法モノイドを取り出す函手である)。この二つはいずれも左随伴を持つ。A の左随伴は、任意のアーベル群 X に対し(それを Z-加群と見て)テンソル環 T(X) を割り当てる函手である。また M の左随伴は、任意のモノイド G に整係数モノイド環 Z[G] が対応する。
性質
極限と余極限について

環の圏 Ring は完備かつ余完備(英語版)、すなわち任意の小さい極限および余極限が Ring 内に存在する。他の多くの代数圏同様に、忘却函手 U: Ring → Set は極限およびフィルター余極限(英語版)を創出(および保存)するが、余積余等化子は保たない。Ab や Mon への忘却函手も極限を創出および保存する。

Ring における極限と余極限の例を挙げる:

有理整数環 Z は Ring の始対象である。

零環(自明環)は Ring の終対象である。

Ring における圏論的直積環の直積で与えられる。これはちょうど、台集合の集合論的直積成分ごとの加法および乗法を入れたものになっている。

環の族の余積は存在し、それは群の自由積と類似の構成によって与えられる。零環でない環からなる余積が零環となることが起こり得る。特に、各余積因子が互いに素標数を持つときには必ずそれが起こる(環の族 (Ri)i∈I の余積の標数は、必ず各因子 Ri の標数を整除しなければならない)。

Ring における等化子はちょうど集合論的な等化子に等しい(二つの環準同型の等化子は必ず部分環として得られる)。

二つの環準同型 f, g: R → S の余等化子は、S を f(r) − g(r) (r ∈ R) なる形の元全体で生成されるイデアル で割った剰余環である。

環準同型 f: R → S に対し、f の核対(英語版)(すなわち、f と f の引き戻し)は、R 上の合同関係である。この合同関係の定めるイデアルは、環論の意味での f のに他ならない。注意すべきは、圏論的核は(零射が存在しないから)Ring において意味を為さない。

p-進整数環 Zp は整数の合同類環 Z/pnZ の成す列の Ring における逆極限である。

射について

数学においてよく知られた多くの圏と異なり、環の圏 Ring の任意の二対象の間には必ずしも射が存在するわけではない。これは(単位的)環準同型が単位元を保つという事実の反映である。例えば、零環 0 = {0} から任意の非零環への射は存在しない。環 R から S への射が存在するためには、S の標数が R の標数を割り切ることが必要条件である。

射集合が空となることがあってさえ、それでも始対象が存在するから、環の圏 Ring は連結(英語版)である。

Ring の射について、以下のことが言える:

環の圏 Ring における同型射は、一対一上への(つまり集合論的な意味で全単射な)環準同型で与えられる。

環の圏 Ring における単型射(圏論的単射)は、集合論的単射(つまり一対一の)環準同型である。


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