球面
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この項目では、三次元空間内の二次元図形について説明しています。一般の球面については「超球面」を、中身の詰まった立体図形については「球体」をご覧ください。
球面の二次元投影図

初等幾何学における球面(きゅうめん、: sphere[注釈 1])は、完全球体 (ball) の表面を成す三次元空間内のまったく丸い幾何学的対象である。二次元の場合に、円板の境界が円周であるという関係の三次元的な対応物と考えることができる。

二次元空間における円周がそうであったように、与えられた点からの距離が一定値 r をもつような点全体の成す集合(ただし今の場合は点は三次元空間内でとる)として球面を定義することができる[1]。このとき、与えられた点をこの球面あるいは球体(距離が r 以下の点全体)の中心といい、また距離 r をこの球面あるいは球体の半径と呼ぶ。球体の中を通り、球面上の二点を結ぶ最長の直線(球面の差し渡し)はかならずその中心を通り、半径の二倍に等しい。これを球面あるいは球体の直径と呼ぶ。

緩い言い方や数学以外の文脈では、「球」が「球面」と「球体」のどちらの意味でも用いられたり、"sphere" と "ball" の意味が入れ違っていたりすることもあるが、数学的には球面 (sphere) は三次元ユークリッド空間埋め込まれた二次元閉曲面であり、球体 (ball) は三次元空間内の球面および球面の囲む「内側」を言うという区別は確立されたものである(いまのように球面を含める場合を特に「閉球体」と呼び、囲む領域に球面をまったく含めない場合には「開球体」と呼ぶ)。この区別は必ず守られるというようなものではないし、特に古い文献では中身の詰まった図形を「球」(sphere) としている。これは二次元の場合に、「円」が(中身の詰まった)「円板」の意味だったり(境界である)「円周」の意味だったりするのとちょうど同じである。
球面の方程式two orthogonal radii of a sphere「三角函数」および「球面座標系」も参照

解析幾何学において、(x0, y0, z0) を中心とする半径 r の球面(ユークリッド球面)は ( x − x 0 ) 2 + ( y − y 0 ) 2 + ( z − z 0 ) 2 = r 2 {\displaystyle (x-x_{0})^{2}+(y-y_{0})^{2}+(z-z_{0})^{2}=r^{2}} を満たす点 (x, y, z) 全体の軌跡である。

a, b, c, d, e は実数で a ≠ 0 なるものとし、 x 0 := − b a , y 0 := − c a , z 0 := − d a , ρ := b 2 + c 2 + d 2 − a e a 2 {\displaystyle x_{0}:={\frac {-b}{a}},\quad y_{0}:={\frac {-c}{a}},\quad z_{0}:={\frac {-d}{a}},\quad \rho :={\frac {b^{2}+c^{2}+d^{2}-ae}{a^{2}}}} と書けば、上記の方程式は f ( x , y , z ) := a ( x 2 + y 2 + z 2 ) + 2 ( b x + c y + d z ) + e = 0 {\displaystyle f(x,y,z):=a(x^{2}+y^{2}+z^{2})+2(bx+cy+dz)+e=0} の形になる。一般にこの形の方程式(x2, y2, z2 の係数が等しく、xy, yz, zx の項を持たない三変数二次多項式方程式)が与えられたならば、以下の何れか一つのみが成り立つ:[1]

ρ < 0 のときは、この方程式に解となる実点は存在せず、虚球 (imaginary sphere) の方程式と呼ぶ。

ρ = 0 のとき、方程式 f(x, y, z) = 0 は中心となる一点 P0 ? (x0, y0, z0) のみを解とし、点球 (point sphere) の方程式と言う。

ρ > 0 のときには、f(x, y, z) = 0 は P0 を中心とする半径 r ? √ρ の球面の方程式となる(上のふたつと対照する場合、実球 (real sphere) の方程式と言う)。

上記の方程式で a = 0 としたならば f(x, y, z) = 0 は平面の方程式となる。そこで平面を無限遠点を中心とする半径無限大の球と考えることができる[2]

(x0, y0, z0) を中心とする半径 r の球面上の点は  { x = x 0 + r sin ⁡ ( φ ) cos ⁡ ( θ ) y = y 0 + r sin ⁡ ( φ ) sin ⁡ ( θ ) z = z 0 + r cos ⁡ ( φ ) ( 0 ≤ φ ≤ π , 0 ≤ θ < 2 π ) {\displaystyle {\begin{cases}x=x_{0}+r\sin(\varphi )\cos(\theta )\\y=y_{0}+r\sin(\varphi )\sin(\theta )\\z=z_{0}+r\cos(\varphi )\end{cases}}\qquad (0\leq \varphi \leq \pi ,\;0\leq \theta <2\pi )} と媒介表示できる[3]

原点を中心とする任意の半径を持つ球面は微分形式 x d x + y d y + z d z = 0 x{\mathit {dx}}+y{\mathit {dy}}+z{\mathit {dz}}=0 の積分曲面である。この微分形の方程式は、位置ベクトル (x, y, z) と速度ベクトル (dx, dy, dz) が全球面に亙って常に互いに直交するという事実を反映している。

球面は、円周をその任意の直径を軸に回転させた回転曲面として構成することもできる。円周は特別な種類の楕円であるから、球面は特別な種類の回転楕円面(英語版)である。円を回転させる代わりに楕円をその長軸を軸に回転させると長球短軸を軸にすれば扁球となる。[4]
囲む体積球面とその外接円筒

三次元空間において、球面の囲む体積(厳密に言えばこれは球体の体積だが、古典的にはこれを「球」の体積と呼ぶ)は、半径を r として V = 4 3 π r 3 {\displaystyle V={\frac {4}{3}}\pi r^{3}} で与えられる。この公式を導いた最初の人はアルキメデスで、球面の囲む体積が球面とそれに外接する円筒(つまり、円筒の高さおよび底面の直径が球面の直径と等しい)の間の体積に二倍に等しいことを示すことで導かれた[5]。この主張は、カヴァリエリの原理から得ることができる。この公式を積分を使って導くこともできる: 原点を中心とする半径 r の球を想定すれば、輪切り積分法(英語版)では、中心が x-軸に沿って x = ?r から x = r まで並ぶように無限個積み重ねた無限に薄い円柱 (? 円板) の体積の総和として球面の体積を計算する。あるいは、球面座標系の体積要素 d V := r 2 sin ⁡ ( θ ) d r d θ d φ {\textstyle dV:=r^{2}\sin(\theta ){\mathit {dr}}\,{\mathit {d\theta }}\,{\mathit {d\varphi }}} を積分しても同じ結果が得られる。
面積

半径 r の球面の表面積は A := 4 π r 2 {\displaystyle A:=4\pi r^{2}} で与えられる。この公式の最初の発見者アルキメデス[6]、外接円筒の側面への射影が面積を保つという事実から公式を導いた[7]

公式を導く別なやり方は、これが同じく半径 r の球の体積の r に関する微分に等しいという事実を利用することである。これは、半径 r の球の内部の全体積を、半径 0 から r までの無限に薄い球殻を無限個半径に垂直に積み重ねた体積の総和として捉えることとして理解できる。無限に薄いという条件により、各球殻の内側と外側の表面積の差は無限小であり、半径 r に対応する球殻の体積は単に半径 r の球面の表面積と無限に小さい厚みとの積として得られることに注意する。あるいはまた、球面座標系における球面の面積要素 dA ? r2sin(θ)⋅dθ⋅dφ の積分としても導出できる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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