珍妃の井戸
著者浅田次郎
発行日1997年12月10日
発行元講談社
ジャンル歴史小説
国 日本
言語日本語
形態上製本
ページ数322
前作蒼穹の昴
次作中原の虹
コードISBN 978-4-06-208933-3
『珍妃の井戸』(ちんぴのいど)は、浅田次郎の小説。『蒼穹の昴』の続編として書かれた。1997年、講談社から刊行。初出は『小説現代』1996年12月号から1997年8月号。講談社文庫にも収録された(2005年4月15日初版)。本作の続編は『中原の虹』である。
あらすじ紫禁城内の連合軍 中南海 紫禁城義和団の乱時の東交民巷(トンチャオミンシャン)。2か月弱の防衛線の変化も示す。
1898年に義和団の乱が起こり、清朝の都北京は騒乱状態になり、列強8ヶ国の軍隊がこれを鎮圧した。そんな最中に光緒帝の寵妃珍妃が紫禁城内の井戸に落とされ殺された。1900年、「一国の君主の妃が暗殺されたことは、重大な事件であり真相を突き止めなければならない」と、イギリス帝国の海軍提督エドモント・ソールズベリー、ドイツ帝国の大佐ヘルベルト・フォン・シュミット[1]、ロシア帝国の露清銀行総裁セルゲイ・ペトロヴィッチ、日本の東京帝国大学(支那学)教授松平忠永の4人の貴族が事件の当事者に話を聞きながら真相を解明しようとする。
4人は以下の証言を集めるがつじつまが合わず、真相を知るべく光緒帝本人が幽閉されている中南海の島「瀛台(インタイ)」にのりこむ。
トーマス・E・バートン記者の証言
蘭琴氏の証言
袁世凱氏の証言
瑾妃殿下の証言
劉蓮焦氏の証言
愛新覚羅溥儁氏の証言
登場人物
主要人物
ミセス・張 (ミセス・チャン)
トーマスの現地秘書を務める謎めいた美女。実は清朝第10代皇帝同治帝の隠し子の寿安公主(寿安固倫公主〈1826年 - 1860年〉。史実では父が清朝第8代皇帝道光帝。母が孝全成皇后。コ穆楚克扎布に降嫁している。)
エドモント・ソールズベリー
大英帝国の海軍提督。架空の人物。
ヘルベルト・フォン・シュミット
ドイツ帝国の陸軍大佐。架空の人物。
セルゲイ・ペトロヴィッチ
ロシア帝国の露清銀行総裁。架空の人物。
松平忠永 (まつだいら ただなが)
日本の東京帝国大学の支那学教授。架空の人物。
珍妃(ちんぴ、チェンフェイ)/ 他他拉貴妃 / 恪順皇貴妃
戊戌の政変後、北三宮(ペイサンスォ)の冷宮(ランクン)[2]に幽閉されていたが、義和団の乱の最中に井戸に頭から投げ込まれて殺された光緒帝の側室。満州族八旗の他他拉氏の出身。景仁宮(チンレンクン)に住む。西太后と政治的に対立関係にあったといわれる。
皇族
西太后(せいたいごう、シータイホウ)慈禧(じき、ツーシー) / 老仏爺(ラオフオイエ)
清朝第9代皇帝咸豊帝の妃(1835年11月29日 - 1908年11月15日)。実子である第10代皇帝同治帝と甥の清朝第11代皇帝光緒帝を据えて垂簾政治を行う。光緒24年(1898年)、光緒帝の親政の為に一度は頤和園へ隠退するが、戊戌の変法の100日後戊戌の政変で復帰。光緒帝が崩御した11月14日、溥儀<1906年2月7日 - 1967年10月17日>を後継者に指名するとともに、溥儀の父(光緒帝の弟、醇親王奕?の五男)の醇親王載?(ツァイフェン)<1883年2月12日 - 1951年2月3日>を監国摂政王に任命して政治の実権を委ね、翌日に74歳で崩御。
光緒帝(こうしょてい、グァンシュディ) / 愛新覚羅・載?(ツァイテン) / 万歳爺(ワンソイイエ)