王道の狗
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王道の狗
ジャンル
ストーリー漫画、歴史漫画、青年漫画
漫画
作者安彦良和
出版社講談社
掲載誌ミスターマガジン
レーベル講談社 ミスターマガジンKC
白泉社 ジェッツコミックス
中央公論新社 中公文庫コミック
発表期間1998年1号 - 2000年3号
巻数(単行本)全6巻
(完全版)全4巻
(文庫版)全4巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『王道の狗』(おうどうのいぬ)は、安彦良和漫画。『ミスターマガジン1998年1号から2000年3号に掲載された。単行本は講談社ミスターマガジンKCより全6巻、白泉社ジェッツコミックス中央公論新社より全4巻出版。明治時代中期から末期の日本朝鮮を舞台に、秩父事件から日清戦争辛亥革命までの東アジアの歴史と、それに翻弄された人々の運命を描いた。2000年に第4回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞[1][2]。『虹色のトロツキー』、『天の血脈』と並ぶ安彦の「現代史三部作」の一つ。
概要1891年製作の東アジア地図

本作は「王道」を目指す主人公・加納周助と、「覇道」を推し進めようとする風間一太郎の相克を中心に、明治時代における日本の対外政策が描かれている。作者の安彦によれば、作品内の「王道」と「覇道」の対立という図式は、出版社からの「読者に分かりやすい話に」との依頼によるもので[3]、王道の側に勝海舟を、覇道の側に陸奥宗光を配置する構想は自身のアイデアだが[4]、加納と風間という相反する登場人物は編集者のアイデアによるものだという[4]

安彦自身は「王道」と「覇道」といった様に現実世界を単純化は出来ないし[4]、それぞれの明確な境界線が存在するのかは分からないとしており[3]、作品内の陸奥の描き方について「総理大臣を務めることが出来るほどのスケールが大きい人物。一方、許さざるべき巨悪かといえばそうとは限らず、その冷徹さには抗し難い魅力がある。そのため作品終盤では『情』の側に配した」と発言している[5]

また、主人公の加納が孫文の支援者となり中国の革命運動に関わっていく場面で作品が終了している[6]ことについて作者の安彦は、日本から革命に参加した政治運動家の山田良政のことが念頭にあり[6]死を連想させるような終わらせ方にした[6]、と語っている。このことについて安彦は、連載時に明言はしていなかったが[6]、山田が生前に関わっていた東亜同文会の流れを汲む愛知大学の関係者の知る所となり、2006年に大学に招かれて講演を行うことになった[6][7]

掲載誌の『ミスターマガジン』が2000年1月で休刊されたため、作品終盤は急ぎ足の展開となったが[4]2004年から2005年に白泉社から出版された完全版では第31話と第47話が新たに書き下ろされるなど大幅な内容修正がされている[8]。完全版の各巻には鶴田謙二森薫平野耕太久米田康治からの推薦文が寄せられた[4]。劇中の時代は1889年から1900年に当たる。
ストーリー

1889年明治22年)秋、北海道上川。明治政府による石狩道路建設のための懲役労務に従事していた自由党の加納周助と、天誅党の風間一太郎が共に現場から脱走するところから物語は始まる。加納は大阪事件に関与し重懲役九年の刑、風間は高田事件に関与し重懲役十年の刑を受け、過酷な重労働の日々を送っていた中での脱走だった。その道中、二人はアイヌ人の猟師・ニシテの助けを受けると、加納は「クワン」、風間は「キムイ」というアイヌ名を与えられ、湧別で農場を営む徳弘正輝の下に身を寄せることになる。やがて二人は徳弘にアイヌ人ではないことを見破られてしまうが、軍を追われた身だという彼の庇護を受け、アイヌの娘・タキと出会うなど平穏な生活を送る。

そんなある日、ニシテが恋人を救出しようとするあまりに殺人を犯し警察に逮捕される。加納は恩人の窮地を前にして何もできないことへの後悔から、「裏道でも王道を行く強い狗」になるべく放浪の武術家・武田惣角への入門を申し出ると、彼の指導を受けて柔術の技を磨く。さらに秩父事件の幹部の一人・飯塚森蔵との再会を契機に過去の記憶がよみがえる。

1884年(明治17年)11月、加納は自由党の壮士として秩父事件に参加するが、圧倒的な武力を有する鎮台兵の攻勢の前に困民党軍は崩壊し、幹部達は四散する。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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