王手
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

この項目では、ゲームの指し手について説明しています。映画については「王手 (映画)」をご覧ください。

王手(おうて)とは、チャトランガ系統のボードゲームにおける指し手(駒の動き)の一種である。ルール上、取られてはならないと定められている相手の最重要駒(玉将キングなど)に対して、自分の駒を利かせる指し手のことをいう。チェスの場合はチェック (英語: check) と呼ばれている。

転じて、スポーツなどであと一点とれば自分もしくは自チームが勝利できる状態を表すのにも用いられている。本稿では、主に将棋とチェスにおける「王手」について解説する。
総則

王手(チェック)は、相手の最重要駒に迫る手である。自分の駒を動かす事(将棋の場合は相手から取った持ち駒を打つ事も含める)により、敵玉(相手のキング)に自分の駒の働きを利かせる手を指す。「次の手で玉将[注 1](やキング)を取る」という脅迫の意味があり、その脅迫を受けた側は「王手された」「王手がかかった」状態となる。

王手(チェック)は強制手であり、された側は直後の手番でその状態から絶対に抜け出さなければならず、いかなる場合でも無視や放置は許されない。そして王手(チェック)をされた側がどのような指し手を用いても回避できない場合は詰み(チェスでは「チェックメイト」)となり、回避できなくなった対局者の負けとなる。よく勘違いされるが、王手をした・された瞬間に勝敗がつくわけではない。

なお、自玉(自分のキング)が相手の駒の利き、すなわち自ら王手(チェック)されるような手は指すことができない。したがって理論上、自玉で敵玉(相手のキング)を王手(チェック)することはできず、敵玉(相手のキング)の隣に自玉(自分のキング)は置けないということになる[注 2]
将棋の王手
王手の解消方法.mw-parser-output .shogi-diagram{padding:0.5em;width:240px;margin:0.25em;text-align:center;background-color:#f9f9f9;border:#b0b0b0 1px solid}.mw-parser-output .shogi-diagram-left{float:left;margin-right:1em;clear:left}.mw-parser-output .shogi-diagram-right{float:right;margin-left:1em;clear:right}.mw-parser-output .shogi-diagram-center{margin-left:auto;margin-right:auto;clear:both}.mw-parser-output .shogiboard-wrapper{padding-left:4px;padding-bottom:2px}.mw-parser-output .shogiboard-header,.mw-parser-output .shogiboard-footer{font-weight:bold;font-size:14px}.mw-parser-output .shogiboard-table{border-collapse:collapse;border:#f9f9f9 1px solid;margin:0 auto 0.5em auto;background-color:white}.mw-parser-output .shogiboard-table .shogi-piece{width:22px;height:22px;padding:0;line-height:0;vertical-align:middle;border:black 1px solid;font-size:18px;font-family:"Hiragino Mincho ProN",serif}.mw-parser-output .shogiboard-table .shogiboard-collabel,.mw-parser-output .shogiboard-table .shogiboard-rowlabel{width:22px;height:22px;background-color:#f9f9f9;font-size:11px}.mw-parser-output .shogiboard-table .piece-gote{transform:rotate(180deg)}.mw-parser-output .shogiboard-table .piece-promoted{color:#E00303}.mw-parser-output .shogiboard-table .piece-bold{font-weight:bolder;font-family:"HiraginoSans-W5",sans-serif}図1
王手の解消方法の例

987654321 
         一
   飛     二
         三
         四
      角  五
         六
         七
         八
   玉     九
▲持ち駒 歩
△6二飛まで

王手をかけられた側は、以下の3種類からいずれかの対処を行い、1手でその状態を解消しなければならない。
王将を逃がす
相手の駒の利きのないマスへ玉を移動させること。図1では、玉を7九、7八、5九、5八のいずれかに動かすことで逃れることができる。
合駒をする
相手の走り駒(飛車角行香車龍王龍馬)によって1マス以上離れた場所から王手された場合に、その駒の利きを遮る位置に自分の駒を配置すること。図1では▲6八歩(持ち駒による合駒)や▲6八角(移動合い)などが該当する[注 3]
王手している駒を取る
最も効果的な手であることが多く、よく使用される対処法。図1では▲6二同角成が該当する[注 4]

王手をされたうえで、上記のいずれの対処も不可能な場合は王手放置による反則ないし「詰み」による負けとなる。
詰みに至る展開を回避できないと判断した相手が投了するか、遅くとも詰みが発生することで対局は終了となる。
厳密な定義

一方の側が玉以外の駒の利きを敵玉の存在するマス目に合わせるような指し手、つまり玉に取りをかけることを“王手”といい、かけた側から見れば“王手をかける”という ? 日本将棋連盟『将棋ガイドブック』より引用。句読点を含め全て原文のまま。
王手の発声

指導対局や縁台将棋、初心者同士の対局などでは、王手をかけた側が慣習的に口頭でも「王手」と言う場合がある。ただしあくまで慣習にすぎず、「王手」と発声しなければならないという規定はない[1]
王手に関する反則

王手に直接関わる反則としては、王手放置や自玉を相手駒の利きにさらす手、打ち歩詰め、連続王手の千日手がある(→ 詳細は将棋#反則行為を参照)。将棋においてこれらの非合法手を指した場合、いずれも即座に負けとなる。
王手に関する戦略的な事項

特に終盤で一手を争う展開となった場合には、攻めを継続させることが重要になる場合も多い。王手は強制手であり、絶対的先手となるので、王手をかけ続ける限りは、(逆王手をされない限り)自らが攻め続けることができる。敵玉を即詰みに討ち取ることができる場合がある他、場合によっては、後述の「王手○取り」で駒得を奪ったり、王手をかけながら自玉の
詰めろ(場合によっては「部分的には必至に見える状態」)を解消したりできる。そのため、駒損をしても王手が重視される場合もある。

その反面、終盤において、敵玉が即詰みではない場合、安易に王手すると敵玉を安全地帯に逃がすだけで逆効果となり、敗着となることすらある。「王手は追う手」「王手するより縛りと必至」「玉は包むように寄せよ」という格言があるように、縛りをかけながら必至を狙う方が勝ちにつながることが多い。
詰み」および「必至」も参照
特殊な王手
空き王手・開き王手(あきおうて)図2
△持ち駒 なし

987654321 
         一
         二
         三
        王四
         五
        桂六
         七
         八
        香九
▲持ち駒 なし 図3
△持ち駒 なし

987654321 
         一
         二
         三
       桂王四
         五
         六
         七
         八
        香九
▲持ち駒 なし
▲2四桂まで

走り駒(飛車、角行、香車、龍王、龍馬)の利きにある自分の駒を動かしてかける王手である。図2から▲2四桂とした図3では、香車によって王手がかかっている。
両王手(りょうおうて)図4
△持ち駒 なし

987654321 
    王    一
         二
         三
         四
         五
         六
    角    七
         八
 飛  香    九
▲持ち駒なし
 図5
△持ち駒 なし

987654321 
    王    一
         二
         三
 角       四
         五
         六
         七
         八
 飛  香    九
▲持ち駒なし
▲8四角まで図5-a
△持ち駒 歩

987654321 
香桂 金王金銀桂香一
 飛 銀   角 二
歩 歩歩 歩歩歩歩三
 歩       四
    角    五
  歩      六
歩歩 歩 歩歩歩歩七
    飛    八
香桂銀金玉金銀桂香九
▲持ち駒 歩
▲5五角まで

空き王手の一種。2枚の駒で同時にかける王手である。上記の図4から図5では角と香車の双方が王手をかけている。両王手をかけられると合駒はできず、王将を動かすしか手はない。王手している駒を取る対処法も王将自身で取る以外にできない(図では飛車で角や香車を取れず、後手としては王将を逃がす一手である)。したがって、両王手をかけられて王将を動かすことができなければ詰みとなる。その一例として図5-aは中飛車の序盤。後手はここで玉を△4二玉とするなどガードをせずに△8五歩や△3四歩などと指すと、▲3三角成で詰む。
逆王手(ぎゃくおうて)図6
△持ち駒 桂

987654321 
王        一
         二
         三
香玉       四
         五
         六
         七
         八
         九


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:83 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef