王家の紋章
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王家の紋章
ジャンル
タイムトラベル少女漫画
漫画
作者細川智栄子あんど芙?みん
出版社秋田書店
掲載誌月刊プリンセス
レーベルプリンセスコミックス(単行本)
秋田文庫(文庫本)
発表号1976年10月号 -
巻数単行本:既刊69巻(2023年6月現在)
文庫本:既刊25巻(2018年5月現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『王家の紋章』(おうけのもんしょう)は、細川智栄子あんど芙?みんによる日本漫画。『月刊プリンセス』(秋田書店)にて、1976年10月号より連載されている。

1990年、第36回小学館漫画賞少女向け部門受賞。2006年11月時点で累計発行部数は4000万部を記録している[1]

本作品を長年にわたり掲載してきた『月刊プリンセス』は2005年新年特大号にて創刊30周年を迎え、また2006年9月6日発売の10月号で本作品は連載30周年を迎えた。それらを記念して、『プリンセス』誌では付録を付けるなどの様々な催しが行われた。

2016年8月、ミュージカル化され、帝国劇場にて上演された[2][3]。2017年4月に再演され[4]、2021年8月-9月に再々演[3]

2021年8月5日から10月14日まで、本作の45周年を記念して、複製原画展「王家の紋章ミュージアム」が帝国ホテルプラザ東京にて開催された[5]
概要

古代エジプトを主要な舞台に据えながら、主人公キャロルの現代からのタイムスリップ劇、さまざまな人物ストーリー、さらには周辺国の思惑なども織り交ぜて創り上げられた、何十年もの長い間描かれて大河の如き物語に成長した長編ロマン漫画である。緻密で装飾性豊かな画風とともに、ところどころに的、文学的な表現を散りばめられていることが格調高さを演出している。暁の光とともに――
はるかナイルの彼方より
太陽の神ラー現れ いでぬ
その光わが面を照らし
また彼の面に照り返す
――かくて五千年――
太陽の神ラー・・・・・・
日ごと大空を渡りゆくを
・・・・われ見来たりぬ・・・・・
我がエジプトの母なるナイルは 
ひとすじの金色の光となりて
遥かに広がるサハラの砂漠
彼方から北へ――
真一文字に横たわる

   『王家の紋章』冒頭部

また著名なエジプト考古学者、吉村作治はこの作品について「いろいろヒットしている理由はあるだろうが、私が思うには作者がエジプトに情熱を持っているからではないかと思う。読者が本当に心をひきつけられるポイントは作者がどれだけこの著作に心底入れ込んでいるかだろうと思う。そういった面でこの『王家の紋章』は華麗な絵と読み心地のよいセリフの間に埋もれている作者の心意気が伝わってくる[6]。」と述べている。
時代設定

古代エジプトは紀元前3000年からおよそ3000年間の歴史を持っているが、『王家の紋章』では王家の谷のことに言及されていること、ヒッタイトとの戦いにも触れていることなどから紀元前1500年以降の新王国時代をモチーフとしていると見られる。この時代のエジプトはメソポタミア文明とともにオリエントで無二の先進国だった時代が去り、周辺に新興国が台頭してきて対応を迫られた時代でもあった。だが同時に最盛期でもあり、海外に遠征してトトメス1世の時エジプト新王国の版図は最大に達した。ツタンカーメン王墓の豪奢な副葬品からもうかがえるように文化的にも最盛期であった。メンフィス王が領土を拡げ国力を盛んにしエジプトを最大の強国にすることを願っているのも、そういうせめぎ合いが背景にある。
あらすじ

エジプトに留学中の主人公―キャロル・リードは、日々熱心に考古学を学ぶ16歳のアメリカ人。ある日、リード家が貢献する事業の一環として若くして暗殺された古代エジプト王(ファラオ)―メンフィスの墓を暴いたため、彼女は神殿の祭祀であったメンフィスの姉―アイシスの呪術により、古代エジプトにタイムスリップしてしまう。

古代エジプトで途方に暮れるキャロルだったが、金髪碧眼に白い肌がエジプト宮廷の人々の目に留まり、21世紀[7] の人間としての倫理観や考古学の知識が「尊い予言」と判断され、古代エジプトを助ける慈悲深い“ナイルの娘”“黄金の姫”として崇められるようになる。やがて度重なる暗殺から救ったメンフィスと愛し合い、晴れて王妃となってその子を身籠る。が、現代人としての英知やエジプトを狙って、または可憐な容色も兼ね備えたキャロルを見初めて奪取を画策する者、アイシス一派を始めとしたキャロル抹殺を企む者など、諸国の王族までが入り乱れ、2人の間には数々の危機が立ち塞がる。
登場人物

※「声」はイラスト・ビデオ・ストーリー版/単行本第60巻ドラマCD版の順。
主人公
キャロル・リード
- 潘恵子山本百合子 / 沢城みゆきリード・コンツェルンの社長令嬢(ライアンの世襲後には令妹)で、16歳の主人公。メンフィスの王妃となる。アメリカ人ながら大好きな考古学のためにエジプト留学し、カイロ学園に在学中の一家の末っ子。メンフィスの墳墓の発掘隊に同行していたことで、墓を暴いた報いとして、アイシスの呪いで古代エジプトにタイムスリップしてしまう。迷い込んだ古代エジプトで、考古学への深い造詣を始めとした幅広い現代知識と金髪碧眼に白い肌の美しい容姿から“ナイルの娘”“黄金の姫”と崇められるようになる[8]。当初は恐れていたメンフィスを次第に深く愛するようになり、古代に留まって添い遂げることを決意する。朗らかで、現代人らしく何人の命も尊ぶ心を持ち、残虐を持って力としていた古代人に臆することなく苦言を呈する場面も多く、国民や臣下から篤く慕われるようになる。可憐な容姿ながら、誰もが服従し崇める、半ば神のようなファラオ(メンフィス)にさえも平手打ちをするほどの芯の強さも併せ持つ。しかしその好奇心旺盛さや人の良さから来る迂闊さ、様々な利用価値の高さ、王達の恋心を掻き立てていることで、多くの野望の的としてその身を狙われている。リビアのカーフラ王女とカプターの策略でメンフィスが第二の妃を迎えるとの話を聞いて絶望し、自ら現代に戻るが、メンフィスの子を宿していることを知り、船の事故を機に再び古代へ戻った。流れついた先でマシャリキという青年に献身的な介助を受け、キャロルが現れたという情報を得たイズミル王子に攫われたが、キャロルが身ごもっていることを悟った王子は、キャロルの身を案じあえて夜中に逃げ出すキャロルを見逃した。逃亡中にウナス、ルカと無事再会をした時に、第二の妃を迎えるというのが嘘(大神官の陰謀)だったと聞き、再びメンフィスとの愛を確認したキャロルは、急ぎエジプトを目指すが、たどり着いた下エジプトの神殿には、戦争の混乱に乗じ神殿を乗っ取っていたアイシスが待ち構えていた。自分を憎むアイシスに我が子を殺されないよう隠し通そうとしたが、懐妊に気付いたナフテラとの会話をアリに聞かれてしまい、激昂したアイシスに死海に落とされ流産してしまう。子を失った罪悪感とショックで体力が激しく消耗し意識不明の重体になるが、ちょうどミノアからキャロルに助けを求めに来ていたユクタス将軍とミノアの兵の助力によってついに下エジプトの神殿から脱出する。意識不明の状態で再会したメンフィスによって、意識の回復を祈る祈祷の儀式の中、アリ達によって火の海の中に取り残されるが、マシャリキを追ってエジプトに潜んでいたエレニーの薬によって意識が覚醒し、ついに愛するメンフィスと再会を果たした。
古代エジプト王家
メンフィス
- 神谷明 / 梶裕貴古代エジプト王国の王(ファラオ)で、17歳の少年王。名前の由来は下エジプトの首都だったメンフィス。第1話でキャロルたちに発掘されるが、何者かに盗まれた。その後、古美術商の仲間に外国へ棺桶ごと売られてしまったことが判明。長い黒髪に女と見紛うばかりの美貌ながら、火のように激しい気性と勇猛果敢さで、残忍で冷酷な切れ者として名を知られる。エジプト王家の中では珍しく、王と王妃との間に生まれた嫡出子で、生まれながらにして完全なる王位継承権を持っていた。21世紀人ならではの英知、白い肌に金髪を有する容姿、明るく優しいが、人命を貴び、王者たる自分にも屈しない姿勢を見せ、自らとエジプトの危機を救い続けたキャロルに惹かれ、いつしか熱愛するようになり、幾多の障害を乗り越えて妃にする。異母姉である女王アイシス、父ネフェルマアト王の後妻となったヌビアのタヒリ王女、ヒッタイトのミタムン王女、アルゴン王の寵姫ジャマリ、リビアのカーフラ王女、奴隷女メクメクなど、数多くの女性を虜にするほどの美貌の持ち主だが、キャロルと知り合う以前は女に興味を見せず、キャロルを見初めてからは、他は一顧だにしない一途さを持つ。キャロルに対する態度は情熱的なそのものである。キャロルに人の命の尊さを諭されるようになってからは若干丸くなったものの、本質はあまり変わらぬまま。姉のアイシス同様、非常に嫉妬深いため、キャロルの口から他の男(特に兄ライアン)の名前が出ただけで烈火の如く怒り出す。しかし、時や場所を遠く隔てていても、互いを呼ぶ声や生命の危機を察知するなど、不思議な力で強く結ばれ合っている。幼い頃から姉アイシスに激しい恋愛感情を向けられてきたが、メンフィス自身は、自分を産んで間もなく亡くなった、顔も知らない母に代わって、守り育ててくれた姉に対し、母の面影を重ね合わせており、恋愛対象としてでなく、肉親としての情を抱くにとどまっている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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