獣兵衛忍風帖
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獣兵衛忍風帖

監督川尻善昭
脚本川尻善昭
出演者山寺宏一
篠原恵美
青野武
音楽和田薫
主題歌「誰もが遠くでバラードを聴いている」
唄:山梨鐐平
撮影山口仁
編集尾形治敏
伊藤勇喜子
製作会社日本ビクター
東宝
ムービック
配給東京テアトル
公開 1993年6月5日
1995年12月6日
上映時間92分
製作国 日本
言語日本語
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『獣兵衛忍風帖』(じゅうべえにんぷうちょう、英題: Ninja Scroll)は、川尻善昭原作の日本時代劇エンターテインメントアニメ作品。

1993年に川尻善昭監督によるアニメーション映画が劇場公開され、2003年には続編となるテレビアニメシリーズ『獣兵衛忍風帖 龍宝玉篇』が放送された。その後、川尻自身によるスピンオフ作品『獣兵衛忍風帖BURST』も制作された[1]
獣兵衛忍風帖

妖獣都市』『バンパイアハンターD』などで知られる川尻善昭の原作・脚本・監督による長編劇場アニメ。制作は日本のアニメスタジオマッドハウス[2]

1993年6月5日に日本で公開された後、北米において『Ninja Scroll』というタイトルでビデオが発売され、50万本近い売上を記録した[3]。2014年時点でビデオグラム(ビデオ、DVDBlu-ray Disc)の販売総数は90万本を突破している[1]

日本国内より海外でより広く知られる作品で、『AKIRA』『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』などとともに1990年代から米国で始まった日本アニメのブームを牽引した作品のひとつでもある[2][4]。特にクリエイターにおける評価は高く、『マトリックス』のウォシャウスキー兄弟キアヌ・リーブスヒップホップグループのウータン・クランRZAなどが本作を好きなアニメとして挙げたことが知られている[2][5][6][7]。ウォシャウスキー兄弟は『マトリックス』のアクションシーン制作の際に参考にし、キアヌ・リーブスの『ジョン・ウィック』シリーズも本作の構図の影響を受けていると言われている[2][6]

2008年にワーナー・ブラザースが映画化権を獲得し、アレックス・ツェー脚本による実写映画をレオナルド・ディカプリオが主宰する制作会社アッピアン・ウェイとマッドハウスが共同でプロデュースすると報じられたことがあった[5][7][8]
あらすじ

仕えるべき主をもたぬ「はぐれ忍び」牙神獣兵衛は、望月藩お抱えの甲賀組忍びでくノ一の陽炎を偶然助ける。彼女は、下田村に広まった疫病の原因を解明するために仲間たちと一緒に潜入したところを、謎の忍び軍団・鬼門八人衆に襲われたのだ。仲間はすべて殺され、生き残ったのは彼女のみ。陽炎を助けたために、鬼門八人衆に狙われることになった獣兵衛は、その最中、公儀隠密・濁庵の罠にはめられ、敵の陰謀を探る羽目になる。その中で獣兵衛は、みずからがはぐれ忍びとなった過去の因縁と向き合っていく。
登場人物
主人公とその仲間
牙神獣兵衛(きばがみ じゅうべえ)
- 山寺宏一本作の主人公。金で雇われるはぐれの忍び。たまたま通りかかった望月藩でくノ一・陽炎を助けたことから、鬼門衆との戦いに巻き込まれていく。目にもとまらぬ居合の太刀筋は、かまいたちとなって敵を切り刻む。かつては山城藩の忍び組の一員だった。藩主の命で私腹を肥やす奸臣たちを始末するが、組頭の氷室弦馬の策で仲間同士で殺しあう羽目になり、弦馬の首を刎ねて出奔。道中、公儀隠密の濁庵に毒を盛られ、百両と毒消しを条件に協力する。さらに戦っている相手・鬼門衆の頭領が弦馬と知り、彼らと戦うことに。くノ一の陽炎をあくまで女として扱い、自分の死期が迫っても陽炎を抱きはしなかった。ついには陽炎の死を看取り、自分の、そして彼女のために弦馬との決戦へ向かう。冒頭では将軍家から拝領した宝刀を盗まれ恐喝された弱小藩に二十両で雇われ、宝刀の奪還を遂行した事が語られている。
陽炎(かげろう)
声 - 篠原恵美望月藩に仕える甲賀組のくノ一。疫病が流行って全滅したという村へ組が総出で向かおうとしたとき、自分から加わる。平時は藩主のお毒見役を務めている。毒が効かない体質で、その訳は「抱いた相手を殺す」ほど全身に染み込んだ毒のためである。蟲蔵が放った蜂の群れに対して、自ら前に立ち、痺れ薬を混ぜた花びらを空中に撒いた。自らの特異体質ゆえ、自らの命を粗末にし、他人を拒絶するところがあり、獣兵衛とたびたび衝突する。鬼門衆の目論見を知るやすぐさま、藩の家老に鳥を使って手紙を送り助けを求めるなど、ひたすら任務を遂行するだけに思えるが、獣兵衛が盛られた毒を消すには自分を抱かせるしかないと知るや、自分の身を獣兵衛にゆだねるなど、裏には彼女の思いの変化も読み取れる。しかしだまし討ちにあい、獣兵衛の腕の中で本音を打ち合け、最後の口づけを交わすと獣兵衛に感謝しながら事切れた。ラストで獣兵衛は陽炎の形見を刀に付けている。
濁庵(だくあん)
声 - 青野武公儀隠密である雲水姿の老人。自分の任務に獣兵衛や陽炎も巻き込んでいく。彼は前もって獣兵衛の過去や陽炎の能力を調べ、自らの計画に協力させる老獪さを持つ。自身の痩せこけた体をうまく利用して木の枝に擬態したり、腕がゴムのように伸びる技を持つ。伸縮自在の錫杖で飛び移ったりもしている。
鬼門八人衆
氷室弦馬(ひむろ げんま)
声 -
郷里大輔鬼門衆の頭領にして、鬼門八人衆の頭。望月藩でさまざまな謀略をめぐらす。筋骨隆々の肉体から繰り出されるパワーとスピードを兼ね備えた体術は、獣兵衛の剣術を凌駕する。かつては山城藩の忍び組の頭だった。策で忍び組の仲間同士を殺し合わせるが、生き残った獣兵衛に首を刎ねられてしまう。しかし「転生の技」と呼ばれる不死身の術を身に付けていたため、生き延びた。右腕を切り落とされてもその場でつなぎ合わせ、額が陥没して息絶えてもすぐに蘇生する。最後には融解した黄金と一体化し、海底深くへ沈んでいった。
鉄斎(てっさい)
声 - 大友龍三郎巨大な独鈷(とっこ)をブーメランのように操る上に、皮膚を岩のように変質させる。望月藩の甲賀組を壊滅させたが、その直後に陽炎を犯そうとしてその身に触れたために毒が回る。獣兵衛との戦いの最中に自分の体が崩れ始めたことで動揺し、直前に投げた自分の独鈷を頭に受けて絶命。その死に際に獣兵衛の顔跡を残していたため、紅里が獣兵衛の命をつけ狙う。
シジマ
声 - 大森章督左手が「鬼爪」という武器に改造されており、また影から自在に出入りできる。死体を人形のように操る術も持つ。陽炎を操って獣兵衛を仕留めようとするが、獣兵衛に倒される。
紅里(べにさと)
声 - 高島雅羅無数の毒蛇を操る究極の蛇使い。自分自身も蛇のように脱皮して逃げ出す。両刀使いの弦馬の女であったが、百合丸に嫉妬され、獣兵衛を二度も仕損じしてしまった後、密かに巻きつけられた糸により粛清されてしまう。
現夢十郎(うつつ むじゅうろう)
声 - 若本規夫盲目の剣士であるが、誘い込まれた竹林でも自在に走り回り、切り倒される竹の音にまぎれて切りかかって来た獣兵衛さえも圧倒する。さらには自らの盲目を逆手に取り、刀身で日差しを相手へ反射して目くらましも使う。後一歩で獣兵衛を仕留められるといったところで偶然に阻まれ、獣兵衛に倒される。
百合丸(ゆりまる)
声 - 関俊彦鬼門八人衆を指揮する容姿端麗の優男。両刀使いの弦馬に抱かれていて、石榴の告白をはねつけた。そのために石榴に恨まれる。全身から発電し、頑丈な鋼線を相手に巻き付けて感電死させる。鋼線は弦馬との通信手段としても用いる。罠を仕掛けて獣兵衛を仕留めようとするが、自身も石榴の爆薬仕掛けにはめられ爆死してしまう。
石榴(ざくろ)
声 - 勝生真沙子火薬を自在に操る女。百合丸に告白したが拒絶され、恨みを持つ。爆薬仕掛けは火種を腹に埋め込んだねずみや人間を火薬の元まで行かせて発動させる。ついには百合丸を死に追いやるが、濁庵との戦闘の際に自らも油をかけられた上、火をつけられ爆死してしまう。
蟲蔵(むしぞう)
声 - 野本礼三スズメバチを自在に操る奇形の男。背中の瘤は巨大なスズメバチの巣になっていて、大量の蜂で獣兵衛たちを襲うが、水に入ってしまった時に巣の中の蜂たちが逃げ場をなくして蟲蔵の体を食い破り始め、その隙を突かれて首を刎ねられる。


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