獣の奏者_エリン
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獣の奏者
ジャンル
ファンタジー
小説
著者上橋菜穂子
イラスト武本糸会青い鳥文庫版)
出版社講談社
刊行期間2006年11月21日 - 2009年8月11日
巻数単行本:全4巻+外伝『刹那』
青い鳥文庫版:全8巻
講談社文庫版:全5巻
漫画
原作・原案など上橋菜穂子
作画武本糸会
出版社講談社
掲載誌月刊少年シリウス
レーベルシリウスKC
発表号2008年12月号 - 2016年3月号
巻数全11巻
アニメ:獣の奏者 エリン
原作上橋菜穂子
監督浜名孝行
シリーズ構成藤咲淳一
キャラクターデザイン後藤隆幸
音楽坂本昌之
アニメーション制作Production I.Gトランス・アーツ
製作NHKエンタープライズ
放送局NHK教育
放送期間2009年1月10日 - 12月26日
話数全50話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル文学漫画アニメ

『獣の奏者』(けもののそうじゃ)は、上橋菜穂子ファンタジー小説、およびそれを原作とした作品群である。
概要

「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の地を舞台とするファンタジー巨編。運命に翻弄される少女・エリンを軸に人と獣の関わりを描く。『I 闘蛇編』『II 王獣編』『III 探求編』『IV 完結編』の全4巻から構成される。

2006年平成18年)11月に講談社から『闘蛇編』と『王獣編』が二冊同時刊行。上橋にとって物語の結末は『王獣編』のラストシーンが究極のものであり、これ以上物語が続くことはないと考えていたため、本来はこの全2巻で完結したはずだった。しかし、周囲から「続きを読みたい」という声が数多く寄せられ、またアニメの制作に関わったこともあり、自身も物語の中で描ききれなかった謎への決着を付けたいという思いが生まれた結果[1][2]、2009年8月に続編となる『探求編』と『完結編』が、2010年9月には『獣の奏者 外伝 刹那』が刊行された。累計部数は200万部を突破している[3]

守り人シリーズ」と共に海外での出版も予定されている[1][注 1]

本作は「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」という上橋の心に浮かんだワンシーンが執筆のきっかけとなっている。この構想は何年も前に心に浮かんだがそこから発想を膨らませることがなかなか出来なかったという。しかし、ある日、ふと手に取った養蜂に関する本を読み進めていくうちに、生命の不思議に心震わす少女のイメージが浮かび上がり、こうして仕上がった作品が本作である[4]
あらすじ
I 闘蛇編
獣ノ医術師である母とともに、闘蛇衆たちの村で暮らす少女エリン。彼女の母ソヨンはその優れた医術の腕を買われ闘蛇のなかでも特に強い<牙>の世話を任せられていた。ある日、村で飼っていた全ての<牙>が突然死んでしまい、母はその責任を問われ処刑されることとなった。エリンは母を助けようと必死に奔走するも失敗、母と引き離され天涯孤独の身の上となってしまう。その後、蜂飼いのジョウンに助け出されたエリンは彼と共に暮らすうち、山奥で天空を翔る野生の王獣と出会う。その姿に魅せられたエリンは母と同じく獣ノ医術師になることを決意し、ジョウンの昔なじみでもあるエサルが教導師長を務めるカザルム王獣保護場の学舎へと入舎する。
II 王獣編
王獣保護場で傷ついた王獣の仔・リランに出会ったエリンは、リランを救いたい一心で献身的に治療にあたり、その成り行きで王獣を操る術・<操者ノ技>を見つけてしまう。4年の月日が流れたある日、エリンは母の一族である霧の民から『「決して人に馴れない獣、決して人に馴らしてはいけない獣」である王獣を操ることは、大いなる<災い>を招く』と警告を受ける。警告を甘く考えていたエリンだが、やがてその理由を身をもって知ることとなる。王国の命運を賭けた争いに巻き込まれていく中、エリンは真王の護衛士の一人・イアルと心を通わせていく。
III 探求編
<降臨の野>の決戦より11年後、大公領のトカラ村でまたも<牙>の大量死が起きた。カザルムで教導師をしていたエリンは、大公シュナンの命によりその真相の調査を命じられる。調査に訪れた村で遠縁の女性から渡された母親の日記に全ての謎を解く鍵を見つけるエリンは、時代の奔流に巻き込まれていく。一方で<堅き楯>の役を辞しエリンと幸せな家庭を築いていたイアルは、国を襲わんとする強大な脅威に対抗する為、ある決意を固めていた。
IV 完結編

舞台設定
リョザ神王国

<神々の山脈>と呼ばれる峰の向こうからやってきた、金色の瞳を持つ長身の女性・ジェが王祖(国の開祖)であると伝えられている。ジェの子孫である真王(ヨジェ)一族を国王とし、真王に仕える大公(アルハン)が闘蛇軍を率いて国と王を守護するが、真王領と大公領との間で領民同士の対抗意識による様々な軋轢が生じている。
真王領

真王が統治する国の西部一帯の地方。山がちの土地が多いため、大公領と比べると収穫の変動が激しい。但し政治の中心がこちらにある事から、高等教育を受ける者がかなりいる。また、女性の地位も比較的高く、良家の出身なら高等教育を受けられる。
降臨の野(タハイ・アゼ)
神祖ジェが<神々の山脈>を越えて降臨したと伝承される高原。
王都

リョザ神王国の首都。真王一族が住む王宮がある。
タムユアン高等学舎
トサリエル公が所有する、王都の高等学舎。かつてジョウンが教導師長を務めており、アニメではカザルムへ来る直前のキリクやシロンの父親がここに勤務している。
ラザル王獣保護場
オウリが長を務める正規の王獣保護場。保護場の中ではもっとも規模が大きい。
カザルム領

王都の近郊にある小規模な区域。街にはサラノという名称がある。
カザルム王獣保護場・学舎
エサルが教導師長を務める王獣保護場及び学舎。負傷したり病気にかかったりした王獣が運び込まれる。卒業しても平師(並の獣医師)にしかなれないが、それでも実力があれば貧しい者や女子でも入学できる為、競争率は高い。
カザルム河
王都まで流れる広大な大河。
サンノル郡

真王領の東端の地方。ジョウンが蜂飼いとして過ごす。
カショ山
野生の王獣が生息している山。7合目にジョウンが夏の期間を過ごす山小屋がある。
サリム
交易の盛んな商業都市。この町のコジョン街道にある市の辻にジョウンがエリンを連れて買い出しに訪れた。アニメではエリンとイアルがここで初めて出会った(10話)。
大公領

大公が統治する国の東部一帯の地方。真王領より広大で水源が豊富な平野に恵まれていることから、稲の収穫が盛ん。しかし職業上の事情で高等教育を受けられる者がほとんどいない。また女性の地位も真王領に比べ更に低く、大抵は15、6歳で嫁ぐ事になる。
闘蛇村

大公の闘蛇軍を管理する闘蛇衆が住む村。いくつかの領地毎に分けられており、全部で12村ある。ウハン村を除き平野部にあるのが特徴。男衆は闘蛇の世話、女衆は家事・畑仕事などをして暮らす。鍾乳洞・水路・<イケ>などから成る洞窟状の岩屋で闘蛇の世話を行う。
アケ村
エリンの故郷。
ラゴゥの沼
闘蛇の卵狩りが行われる沼。ソヨンが闘蛇の裁きを受ける。川と繋がっており、エリンはここから真王領に流れ付いた。
トンガリ山
アニメのみ登場。アケ村の近辺に位置し、霧の市がある。
ウハン村
最古の闘蛇村。他の闘蛇村と異なり深い山岳地帯に位置する。<緑ノ目ノ民>の伝承が残る。
サカ村
アニメで名前のみ登場。サジュの姉ソジュの嫁ぎ先。
トギ村
アニメで名前のみ登場。タイランの故郷で、「アケ村の隣の隣の領地(チョク談)」にある。
トカラ村
『探求編』でエリンが<牙>の大量死の原因解明のため調査に訪れた闘蛇村。『完結編』では闘蛇軍編成の拠点として目覚ましい発展を遂げる。
ヤソン村
『探求編』に名前のみ登場。アケ村の近辺に位置し、ソヨンが処刑されたのと同時期に<牙>の大量死が起きている。
アマスル領

アマスル一族が自治を担当する地域。隣国ハジャンとの戦で得た隊商都市などがある。
アマスル河
アマスル領を流れる大河。ヤマン・ハサルの時代、ハジャンとの戦の舞台となった。
イミィル
クリウが<示道者>を務める隊商都市。
隊商都市
ウラム、イキシリ、トグラム
リョザ神王国から遠く、かつてのハジャンの都に近く、ウラムは『完結編』でラーザの闘蛇部隊に占領される。
ホザ、カショル
リョザ神王国に近い都市。カショルは砂漠街道沿いにある。
神々の山脈(アフォン・ノア)

神々の世界と人間の世界を隔てると伝承される大山脈。この伝説は獣を戦争に使わせないために巧妙に行われた情報操作の賜である。
オファロン
かつて<神々の山脈>の向かいに栄えていた豊かな王国で、リョザ神王国の伝承にある「神々の国」の正体。<緑ノ目ノ民>が操る闘蛇軍を持ち、その軍事力で周囲の国々を次々に侵略し、権勢をほしいままにした。その後反乱によって国を追われた国王が<金色ノ目ノ民>の操る王獣を引き連れて舞い戻り、これによって闘蛇軍と王獣軍の全面戦争が勃発するが、狂乱を起こし暴走した王獣と闘蛇によって都が炎上し、あえなく滅亡する。その後この一帯には二度と国が興らず、「呪われた地」と呼ばれる、人の手が入らぬ森林地帯が延々と広がっている。
残った人々の谷間(カレンタ・ロゥ・パレ)
国を追われたオファロン王が逃げ込んだ<神々の山脈>の渓谷地帯。<金色ノ目ノ民>が暮らしており、オファロン王国滅亡後に<緑ノ目ノ民>の一部が移り住んだ。
ラーザ・オマ・カルダ

リョザにたびたび侵攻してくる巨大な帝国。一つの国ではなく様々な国の連合体。
ハジャン
かつてヤマン・ハサルの時代にリョザに侵攻してきた国。ラーザに侵攻され、併合されている。
用語説明
魔が差した子(アクン・メ・チャイ)
古い言葉で「本来あり得ない血の交わりから生まれた子」を意味する言葉。主に「この世にあってはならぬ者」を意味する蔑称として使われている。@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}但し『王獸編』後半でエリンはその事を逆手に取り、ダミヤに「(あなたにとって私は)出逢ってはいけない者」と言う意味で用いている。ダミヤは一笑に付したが、[
要出典]後に(彼にとっては)その通りになってしまう。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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