『獄医立花登手控え』(ごくいたちばなのぼるてびかえ)は、藤沢周平による日本の時代小説連作短編集シリーズ。「青年獄医立花登」(せいねんごくいたちばなのぼる)と題して『小説現代』1979年1月号から1983年2月号に連載、改題して講談社より1980年から1983年にかけて全4巻が刊行された。叔父を頼り東北の小藩から江戸へやってきて伝馬町牢屋敷にて獄医を務めることとなった若い医師が、囚人たちにまつわる事件を得意の柔術と推理で次々に解決していく姿を描く[1]。
『立花登 青春手控え』(たちばなのぼる せいしゅんてびかえ)と題して1982年にNHK総合「水曜時代劇」にて中井貴一主演によりテレビドラマ化、『立花登青春手控え』(たちばなのぼるせいしゅんてびかえ)と題して2016年から2018年にNHK BSプレミアム「BS時代劇」にて溝端淳平主演によりリメイクされた[2][3]。 東北の小藩出身の若い医師・立花登は、江戸で活躍するという叔父の医師・小牧玄庵に憧れて江戸へとやってくる。しかし、その叔父は実際には酒に溺れ妻の尻に敷かれた流行らない医者であり、居候した叔父の家では下男扱いで口やかましい叔母とその娘・ちえにこき使われ、さらに叔父が帰郷時に「幕府の御用にあずかる」と吹聴していた小伝馬町の獄医の仕事までも押し付けられることとなる。若き医師・登は、この獄医の仕事を通して出会う「訳あり」の囚人たちにまつわるさまざまな事件を、身につけた起倒流の柔術の妙技とあざやかな推理で次々に解決していく[1]。 『立花登 青春手控え』(たちばなのぼる せいしゅんてびかえ)と題して、1982年4月14日から1982年9月29日までNHK総合テレビジョンで毎週水曜日20:00?20:50(JST)に放送された。全23話。主演を務めた中井貴一のテレビドラマデビュー作品である[5]。 時代劇専門チャンネルにて2007年1月15日から2月14日まで、また2007年9月15日から10月27日まで[注 1]再放送された。時代劇専門チャンネルにて2016年5月16日から6月15日まで、また6月28日から7月29日まで再放送された。「人を知らずして医はその術を振るえず、心知らずして人はその道を歩めず。明日に向かって生きる青年医、立花登の青春事件帖」 ? 冒頭ナレーション
作品リスト
春秋の檻 獄医立花登手控え
雨上がり(初出:『小説現代』1979年1月号)
善人長屋(初出:『小説現代』1979年3月号)
女牢(初出:『小説現代』1979年5月号)
返り花(初出:『小説現代』1979年7月号)
風の道(初出:『小説現代』1979年9月号)
落葉降る(初出:『小説現代』1979年11月号)
牢破り(初出:『小説現代』1980年1月号)
風雪の檻 獄医立花登手控え2
老賊(初出:『小説現代』1980年4月号)
幻の女(初出:『小説現代』1980年8月号)
押し込み(初出:『小説現代』1980年9月号)
化粧する女(初出:『小説現代』1980年10月号)
処刑の日(初出:『小説現代』1980年12月号)
愛憎の檻 獄医立花登手控え3
秋風の女(初出:『小説現代』1981年1月号)
白い骨(初出:『小説現代』1981年2月号)
みな殺し(初出:『小説現代』1981年5月号)
片割れ(初出:『小説現代』1981年7月号)
奈落のおあき(初出:『小説現代』1981年9月号)
影法師(初出:『小説現代』1982年1月号)
人間の檻 獄医立花登手控え4
戻って来た罪(初出:『小説現代』1982年4月号)
見張り(初出:『小説現代』1982年6月号)
待ち伏せ(初出:『小説現代』1982年8月号)
影の男(初出:『小説現代』1982年10月号)
女の部屋(初出:『小説現代』1983年1月号)
別れゆく季節(初出:『小説現代』1983年2月号)
あらすじ
書誌情報
単行本
春秋の檻 獄医立花登手控え(1980年6月、講談社、ISBN 978-4061306837)
風雪の檻 獄医立花登手控え2(1981年3月、講談社、ISBN 978-4061307452)
愛憎の檻 獄医立花登手控え3(1982年3月、講談社、ISBN 978-4061308312)
人間の檻 獄医立花登手控え4(1983年4月、講談社、ISBN 978-4062004442)
文庫本
講談社
春秋の檻 獄医立花登手控え(1)(1982年5月12日、講談社文庫、ISBN 978-4061317635)
風雪の檻 獄医立花登手控え(2)(1983年11月8日、講談社文庫、ISBN 978-4061831308)
愛憎の檻 獄医立花登手控え(3)(1984年11月7日、講談社文庫、ISBN 978-4061833869)
人間の檻 獄医立花登手控え(4)(1985年11月8日、講談社文庫、ISBN 978-4061836266)
新装版
新装版 春秋の檻 獄医立花登手控え(一)(2002年12月13日、講談社文庫、ISBN 978-4062735865)
新装版 風雪の檻 獄医立花登手控え(二)(2002年12月13日、講談社文庫、ISBN 978-4062735872)
新装版 愛憎の檻 獄医立花登手控え(三)(2002年12月13日、講談社文庫、ISBN 978-4062735889)
新装版 人間の檻 獄医立花登手控え(四)(2002年12月13日、講談社文庫、ISBN 978-4062735896)
文藝春秋
春秋の檻 獄医立花登手控え(一)(2017年03月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-790812-6)
風雪の檻 獄医立花登手控え(二)(2017年03月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-790813-3)
愛憎の檻 獄医立花登手控え(三)(2017年04月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-790834-8)
人間の檻 獄医立花登手控え(四)(2017年04月10日、文春文庫、ISBN 978-4-16-790835-5)
電子書籍
獄医立花登手控え 全4冊合本版(2014年12月12日配信、講談社、ISBN 978-4064214771)
関連書籍
週刊藤沢周平の世界 12号 獄医立花登手控えシリーズ(2007年2月1日、朝日新聞出版)[4]
テレビドラマ(1982年)
スタッフ(1982年)
原作:藤沢周平『獄医立花登手控え』
脚本:福田善之、石松愛弘、神波史男、武末勝、大久保昌一良、丸山昇一、富田康明、奥田成二、市川靖、松島利昭、長田紀生、金子成人
演出:宮沢俊樹、加藤郁雄、佐藤幹夫、松橋隆、吉村文孝、若園昌己、竹内豊、田島照
音楽:坂田晃一
キャスト(1982年)
中井貴一 - 立花登
宮崎美子 - 小牧ちえ
中原ひとみ - 小牧松江
高松英郎 - 小牧玄庵
篠田三郎 - 平塚源太郎
地井武男 - 藤吉