猫の恩返し
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この項目では、森田宏幸映画について説明しています。古典落語の演目については「猫の恩返し (落語)」をご覧ください。

猫の恩返し
The Cat Returns

監督森田宏幸
脚本吉田玲子
原作柊あおい『バロン 猫の男爵』
製作鈴木敏夫高橋望
出演者池脇千鶴
袴田吉彦
渡辺哲
斉藤洋介
山田孝之
前田亜季
佐戸井けん太
濱田マリ
佐藤仁美
岡江久美子
丹波哲郎
音楽野見祐二
主題歌つじあやの風になる
撮影高橋賢太郎
編集内田恵
制作会社スタジオジブリ
製作会社徳間書店
日本テレビ放送網
ディズニー
博報堂
三菱商事
東宝
配給東宝
公開 2002年7月20日
2002年11月29日
2003年5月2日
2005年5月7日
上映時間75分[1]
製作国 日本
言語日本語
興行収入64.8億円[2]
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『猫の恩返し』(ねこのおんがえし)は、スタジオジブリ制作のアニメーション映画。監督は森田宏幸。2002年に『ギブリーズ episode2』と同時上映で公開。
概要

スタジオジブリの作品『耳をすませば』の主人公である月島雫が書いた物語という位置付けのスピンオフ。猫の男爵バロンとムーンが2作に共通して登場する。宮崎駿のリクエストをうけて柊あおいが描き下ろしたコミック『バロン 猫の男爵』を原作とする[3]

バロンの声を担当する声優は主人公とのバランスを考慮し、『耳をすませば』の露口茂から袴田吉彦に変更された[注釈 1]。また、『耳をすませば』で月島雫の声を担当した本名陽子が、クラスメイトのチカ役を担当している。

『耳をすませば』の直接の続編ではないが「月島雫が書いた物語」という位置づけであるため、実質的には続編に近く「続編は作らない」という傾向があるジブリが試みた異色の作品である。また、元が少女漫画なのでギャグシーンが多い。

キャッチコピーは「猫になっても、いいんじゃないッ?」(糸井重里)。

日本国内の興行収入は64.8億円で2002年の邦画1位[2][4]、DVDとVHSを合わせたビデオグラム出荷本数は2007年5月時点で72万本[5]
あらすじ現実世界のモデルとされる中杉通り(東京都杉並区阿佐ヶ谷付近)

女子高生の吉岡ハルは、学校に遅刻したある日の放課後、ラクロス部である親友のひろみと家路についていた。道中、何かをくわえた見かけない黒猫がトラックに轢かれそうになるのを目撃し、咄嗟にひろみのラクロスのスティックを使って助ける。助けられた後、その猫は日本語で礼を述べ、二足歩行で歩き去る。実は、彼は猫の国の王子・ルーンだった。その夜、母親に「猫が話した」と告げたハルは幼いハルが「白猫と話した」と口にしたというエピソードを聞かされる。その夜中、猫王ら猫の国一行が現れ、ルーンを助けたお礼として目録を貰う。

翌日、猫の国からのお礼が届くが、ひろみへの大量のスティック、家の庭いっぱいの猫じゃらし、マタタビ、ネズミといった、猫しか喜びそうのない代物ばかり。さらにはハルについてくる大量の猫たち。放課後、ひろみの掃除当番を代わりごみ捨てに行くと、想い人である町田が彼女と思われる人物と歩いているのを目撃。その直後に、猫王の家来ナトルがハルの元を訪れる。「猫じゃないから猫じゃらしもマタタビも嬉しくない」と文句を言うハルに、「猫の国に招待する」と答えた。さらに、猫王はハルをルーンの妃にしようとしていることも伝える。ハルはそのことに慌ててナトルを引き止めるが、ナトルは「今夜迎えにあがる」と言い残し、去ってしまう。「猫のお嫁さんにされる」とパニックになるハルにどこからともなく声が聞こえた。その声によると「猫の事務所を探して。十字街に居る白い大きな猫が教えてくれるから」とのこと。

学校の帰り道で、ハルは十字街で白い大きな猫のムタに出会い、「付いて来な」と言われ、付いて行く。着いた場所は不思議な街で、そこにある小さな家の「猫の事務所」で猫の男爵・バロンと、心を持つカラスのガーゴイルのトトに出会う。ムタ曰く、「猫の国は自分の時間が生きられない者が行く場所」で、それを聞いたバロンはハルに「自分を見失わないように」と諭す。猫の事務所にいる時、突然現れたナトル率いる猫の集団に、ハルは連れ去られてしまう。そして、ハルとムタは、バロンやトトと離れてしまい猫の国に連れ去られる。そこで、ハルはルーン王子と結婚する事を決められてしまい、猫耳尻尾が生えて、猫にされてしまう。

泣きながら猫の国の城での祝宴に参加していた時、ハルは仮面の貴公子に扮したバロンに助けられ、白猫ユキの手引きにより建物から脱出、塔の頂上に行けば元の世界に戻れると知り、ムタと共に迷路の堀を攻略する。迷路を阻む壁のハリボテを倒し、塔を登って行くが、中途で猫王が塔の下半分を爆破し崩壊させたため、追い詰められる。

その時、帰ってきたルーン、そしてハルを猫の事務所に導いた声の主・ユキに助けられる。そして、ユキは昔ハルに助けられたことを告白、ルーンから求婚され、それを快諾する。ハルはそのことを心から喜ぶ。諦めきれない猫王はハルを自分の妃にしようと薦めたが一蹴され、怒って暴れ出し、バロンに勝負を挑む。結局、猫王が敗北したものの、塔の頂上からはハルの悲鳴が聞こえ、塔が崩壊していたため、出口は人間界の上空のあらぬところにつながっていた。

ハルは、ムタとともに落下していくが、なんとか間に合ったバロンの指示で体勢を立て直し、遂にトト率いるカラス達に助けられながら人間界に帰還する。学校の屋上で、ハルはバロンに告白する。バロンは寂しがるハルに、「また、困った事件があったら猫の事務所の扉は開かれる」と言い残して去る。ハルは感謝の気持ちを叫び、日常に戻った。
登場キャラクター
吉岡 ハル(よしおか はる)
[注釈 2]
本作の主人公。短めのポニーテールが特徴の女子高生。心優しく素直な性格。実は猫の言葉を理解できる能力をもっている。朝に弱く、寝坊で学校を遅刻してしまうことも少なくない。ドジなことも多く、作中では2回ガードにつまづいて転倒している。母子家庭のため、母が仕事で多忙な時は炊事などを引き受けており、家事は得意。既に別の女子生徒[注釈 3]と交際しているクラスメイトの町田に片想いをしている。劇中では当初は数々のトラブルから「猫なんて助けなければ良かった」と後悔していたが、バロンらとの触れ合い、猫の国での奮闘などから心境の積極的な変化が見られるようになる。終盤には自身を助け導いてくれたバロンを男性として意識する程に。物語のラストでは劇中での様々な経験からきた気持ちの現れからか、佇まいが大人びたものとなり、朝寝坊を治し、町田への想いを吹っ切るなど態度を改めるようになり、肩まで伸ばしていた髪もさっぱりとショートヘアにカットしている[注釈 4]
バロン / フンベルト・フォン・ジッキンゲン
「猫の事務所」(原作では「地球屋」という名前がある)の所長。「男爵」という設定で、身の丈30センチほどの、二足歩行で歩く猫の人形。タキシード姿にステッキを持っており、イギリス紳士を連想させる風貌をしているが、名前はどちらかというとドイツ貴族に近い。性格は如何なる時でも冷静沈着、紳士的でムタ曰く「キザ」。剣術の腕前は一流で、身体能力にも優れている[注釈 5]。自身が客に振舞う特製スペシャルブレンドの紅茶は、毎回味が変わるとのこと[注釈 6]。原作での毛色は黒に近いこげ茶で衣装も黒を基調としている一方、映画版では黄色がかった茶色の毛皮に白のタキシードを羽織っている。一人称は基本的に「わたし」であるが、クライマックスの1シーンのみ、ハルに対し「俺」と発している。猫であるが、実像が人工物であるため、「ゆ」の発音が可能。原作では映画版と比べると少々茶目っ気が強め。一方で、猫の国を滅ぼしかねない凄まじい能力を秘めているらしい。
ムタ / ルナルド・ムーン
バロンの仲間の太った猫。普段は商店街をウロウロしている。口が悪く短気で気難しいが、根は善良で、いざという時には頼りになる。ハルをかなり上の階段に放り投げることができるほどの怪力の持ち主。自分の生い立ちについてはあまり語りたがらず、過去の経歴は後述する大犯罪猫であることが判っている以外はすべて不明。猫王の「どうすればそんなに長く生きられるのか」という台詞から、通常の猫の寿命をはるかに超える年月を生きていると推測され、不老不死だと思われる。猫の国について「ありゃ まやかしだ、 俺みたいに自分の時間を生きられない奴の行く所さ」と語っており、これが彼の不老不死と思われる長寿と何らかの関係があると考えられるが、詳細については明かされていない。


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