この項目では、イノシシの肉について説明しています。中国語の猪肉(ツーロウ)については「豚肉」をご覧ください。
猪肉、野生、生[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー122 kJ (29 kcal)
炭水化物0.00 g
食物繊維0.0 g
脂肪3.33 g
飽和脂肪酸0.990 g
一価不飽和1.300 g
多価不飽和0.480 g
タンパク質21.51 g
ビタミン
ビタミンA相当量(0%) 0 μg
チアミン (B1)(34%) 0.390 mg
リボフラビン (B2)(9%) 0.110 mg
ナイアシン (B3)(27%) 4.000 mg
ビタミンC(0%) 0.0 mg
ミネラル
カルシウム(1%) 12 mg
リン(17%) 120 mg
他の成分
水分72.54 g
ビタミンA効力0 IU
(備考欄)
単位
μg = マイクログラム (英語版)
猪肉(いのししにく、ししにく、ちょにく)は、イノシシの肉。食肉とされる。牡丹肉(ぼたんにく)とも呼ばれる。煮込むとちぢれた紫紅色の牡丹の花のようになることが由来。獣肉食を避けた名残で山鯨(やまくじら)という別称もある[2]。 肉色は赤く、子猪ではピンク色になり、肉質は豚肉に近い[3]。系統などが固定されていないため、家畜と比べて個体差が大きい[4]。また、雌より雄の方が肉が軟らかいとされる[4]。捕獲したイノシシをケージで飼育する事もあるが、家畜用の飼料を与えて運動量が少ない場合は、豚肉と同様の食味になる[5]。 野生動物の肉としては需要が多く、フランスでは1984年の時点で年間6万頭の狩猟だけでは需要を満たせず、飼育業者から年間3万6千頭が出荷され、イタリアやスペインから年間900トンの猪肉が輸入されていた[6]。日本では20世紀後半に年間5 - 8万頭だった捕獲数が2002年以降は20万頭以上に増加しており、かつシカなどと比較しても活発に食肉として利用されている[7][8]。 歴史的には、旧石器時代から現代までを通じてイノシシは人類にとって重要な狩猟対象となっている[9]。このため、日本では縄文時代早期の遺跡からもイノシシが出土する[9]。イノシシは縄文時代を通じてシカとともに主要な狩猟獣となっている。また、狩猟だけでなく飼育の対象にもなっており、特にブタは長距離の移動が困難なため、移住先でイノシシを捕獲して飼育する試みがユーラシア大陸各地で行われてきた[10]。日本列島では縄文時代にイノシシの飼養
特徴
解体時に素手で触れたり、調理時の加熱が不十分な場合、ウェステルマン肺吸虫や有鉤条虫、旋毛虫が人間に感染する事がある[11][12]。また、野生の猪肉の喫食が原因となったE型肝炎感染も報告されている[12]。 射殺した場合は、できるだけ早く血抜き
処理方法
頭部を胴体から切断し、腹部を切り開いて内臓を取り出す[14]。胆汁は強い臭いがあるため肉にかからないようにし、レバーや胆嚢などを分割する[14]。血抜きを十分に行うためには、ここでさらに清流などで肉を水洗する[15]。ここまでは狩猟者が処理を行う事も多い[13]。フランスでは、この状態で10日間ほど置いて柔らかくなって熟成するのを待つ[3]。皮を剥いだ後[15]、胴体の肉は肩、ロース、ばら肉、モモなどに切り分けられる[14]。日本では野生のイノシシは屠畜場法の対象外のため、ガイドラインや処理マニュアルを制定している自治体も多い[16]。 解体までに獣医師による病原微生物や寄生虫の検査が行われておらず、リスクの高い肉と指摘されている[17]。 寄生虫症[17][18]、E型肝炎ウイルス[19][20]や病原性大腸菌[21]などの食中毒原因病原体に汚染されているため、生で食用とした場合、感染症を発症する恐れがある。厚生労働省は「よく加熱して食べる」ように注意を促している[22]。2016年にクマ肉の焼き肉やカツに調理した料理を食べて、旋毛虫(トリヒナ)食中毒を発症した事例[23]をうけて厚生労働省は、改めて「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針」(厚労省、2014年)の遵守を求める通知を発した[24]。 ジビエ肉を食べた当人に自覚症状などが出なくても、その献血から輸血された病人が、ジビエ肉由来の病原微生物により発症した例も報告されている[25]。また、人だけでなくペットに対しても、獣生肉を与える事を止めるよう指摘している獣医師もいる[17]。 イノシシを家畜化したブタと同じ部位を比較すると、水分やミネラル、タンパク質は猪肉の方が豚肉より多い[26]。
安全確保
食肉
成分とその変化