狩猟
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カラッチの絵画については「狩猟 (カラッチ)」をご覧ください。

「狩り」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「狩り (曖昧さ回避)」をご覧ください。
イノシシ狩りを描いた絵画世界遺産イベリア半島の地中海沿岸の岩絵。新石器時代のディアーハンティング(英語版)の様子インド象の上からの虎狩(英語版) 著:Thomas Williamson, 1808鹿を仕留める源経基を描いた『貞観殿月』(月岡芳年「月百姿」)

狩猟(しゅりょう、: hunting)とは、野生動物を捕獲する行為のことである。

捕獲後の目的(殺傷して利用、保護、タグ付けリリース)とは関係なく、捕獲行為を言う。
概要

漁労採集活動と並んで、人間社会の最初期から存在する生業とされている。

狩猟の最も本来的な目的は、食料や物資といった人間の個別集団の生活に不可欠な必需品を野生動物から獲得することにある。その目的となる食料や物資の典型例は、皮革油脂羽毛である。その行われる地域も世界の各地で行われてきた。

狩猟の歴史は古く、農耕牧畜が普及しない時代から今日に至るまで行われている。時代が下るにつれ牧畜業が発達した地域においては、食糧を得る目的での狩猟は減少した。

生活の必需品を得る目的に代わって、特に近代産業資本主義が興隆し貨幣経済が発達してからは、商品価値の高い資材の獲得を目的に大規模な狩猟が行われてきた。その狩猟の目的となった資材には、象牙アザラシヒョウ毛皮といったものが含まれている。このため、狩猟によって特定の種が絶滅したり生息数が激減するなどの生態系への深刻な影響が顕在化してきた。これに応じて、狩猟が行われる地域の法規や、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)が整備され、狩猟には一定の制限が加えられたり禁止されている場合がある。ただし、密猟も後を絶たず実効性が上がっていないとの指摘もある。
狩猟の方法詳細は「Category:狩猟の方法」を参照

アフリカ熱帯雨林に暮らす人々や、日本における銃を用いた大型獣の狩猟などは、集団によって行われる。

日本のシカやイノシシ猟を例にとると、グループの中で獲物を追い立てる役と、獲物の逃げ道沿いに待ち伏せをして銃を構えている役とに分かれて狩猟する。熊を狩るときも集団を組むのは基本である。

このように集団で捕った獲物は、狩猟の参加者あるいは村落全体で配分されるという事例が日本の他に、サン人ムブティ族などアフリカにおいてもみられる。
方法の一覧


持久狩猟(英語版) - 原人は獲物が疲れて動けなくなるまで追い詰めて狩る狩猟を行い持久走を行う進化を遂げた。

罠猟

猟犬

鷹狩

巻狩

ラップヤクト(ドイツ語版) ‐ ドイツでオオカミを追い込むのに利用した狩猟法。布を垂れ下げて、獲物の逃げる方法を誘導する。

目的
食糧の獲得
基本中の基本は食糧・食材の獲得である。現在でも、フランスでは狩猟で得た野生動物の肉を
ジビエ: gibier)と呼び、独特の風味のある高級料理として食している。
様々な物資の獲得
もうひとつの基本としては、皮革毛皮)・油脂(つの)・羽毛などを得るために狩猟がおこなわれてきた歴史がある。
野生動物管理
狩猟は人間の生活環境にとって不都合な影響を及ぼす動物を排除する駆除のためにも行われてきた。また、野生動物の個体数を調整するという自然保全上の大きな役割も担っている[1]

こうした狩猟には主に以下のケースがある。

直接的に人間や住居を襲う動物を撃退し生命の安全を確保すること

飼育している動物や栽培している植物を捕食する動物を駆除し、生活資源を保全すること

従来は存在しなかった外来種が侵入するなど、生態系が乱されることを防止するため、または乱されてしまった生態系を原状に回復させるため、その外来種の動物等を選択的に駆除すること

人間が特定の動物種の個体数を意図的に増加・減少させてしまった結果、その生態系のバランスが崩れ、それを修正するために動物種を狩猟すること

いずれの形態であっても、捕獲した鳥獣が副次的に資材を得るために用いられる場合がある。
各国の歴史と現状古代エジプトで投棒で狩猟していた様子。こん棒を投げる狩猟は原始時代以前から行われていたと考えられる。
ヨーロッパ

ヨーロッパには先史時代の狩猟の痕跡や遺跡が多く残されている。スペインフランスの洞窟には数多くの壁画が残されている。1000点の壁画の内、人間が描かれたのものは20点たらずで残りはすべて狩猟対象の動物の絵である。フランスのソーヌ=エ=ロワール県には断崖の下に野生馬の骨が2メートル半堆積した場所があり、人間に追い立てられた推定10万頭のウマが崖下に落ちた痕跡と見られている。同様の狩りの様子を描いた壁画がラップランドで見つかっている[2]

イギリスでは古来よりスポーツハンティング貴族や富裕層の嗜みとして行われたことから[3]、彫金が施された銃器やシューティングブレークなどの高級な狩猟用品の市場が形成されている。現在のイギリスには48万人の狩猟者がいるとされるが、狩猟免許は存在せず、狩猟者登録も必要ない[3]。狩猟をする権利はその土地の所有者が有しており、他者に貸与することもできるため、娯楽として自由に狩猟を楽しむアマチュアハンターもいれば、仕事として依頼されるなどして専門に狩猟を行うプロハンターもいる[3]。なおイギリスではシカを対象とした狩猟はハンティング(hunting)ではなく「ストーキング(英語版)」(stalking)と呼ばれる。狩猟の際にかぶる帽子も「鹿撃ち帽(deerstalker hat)」と呼ばれる。

ドイツで狩猟を行うには試験に合格して狩猟免許を得る必要がある[4]。ドイツには2008年の時点で約35万人の狩猟者が存在し、狩猟者数は微増傾向にある[4]。ドイツでは森林管理と狩猟が密接に関係しており、ドイツの森林官のほとんどは狩猟免許を取得している[4]。こうした狩猟森林官とは別に、職業狩猟者が1000人ほど国内に存在する[4]

北欧はヨーロッパの中でも狩猟が盛んに行われている地域である[5]ノルウェーの狩猟者数は約19万人で、他のヨーロッパ諸国と同様に土地所有者が狩猟権を有する[5]ロングイェールビーンではホッキョクグマの狩りが1950年代まで観光資源となっていた。
アフリカ

アフリカではヨーロッパによる植民地支配が始まった19世紀以降から現代までサファリと呼ばれる狩猟旅行やスポーツハンティングが盛んに行われている。サハラ砂漠以南の42のアフリカ諸国のうち25か国でスポーツハンティングが認められており、年間1万8500人を超える狩猟者がアフリカを訪れる[6]。また、正規の狩猟者以外によって行われる密猟が国際的な問題となっている[7]
アメリカ

アメリカは狩猟大国であり、2011年の時点で総人口の約6%に相当する1370万人が狩猟を行っており、20-30億ドルもの経済効果が推定されている[8]。1980年代からは狩猟者の数は減少傾向がみられたが、2010年代に入ってまた増加している。アメリカでは銃や弓矢、クロスボウが使われ、年間700万頭のオジロジカや2万頭のアメリカクロクマが狩猟される[9][注釈 1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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