狙撃手
[Wikipedia|▼Menu]

.mw-parser-output .hatnote{margin:0.5em 0;padding:3px 2em;background-color:transparent;border-bottom:1px solid #a2a9b1;font-size:90%}

「狙撃者」はこの項目へ転送されています。1971年のイギリス映画については「狙撃者 (映画)」をご覧ください。
.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この記事は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "狙撃手" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2013年4月)
Kar98kを使用するドイツ陸軍の狙撃手(1944年)。ギリースーツを着用したフランス外人部隊の狙撃手(アフガニスタン)。奥の兵士がFR-F2、手前の兵士がヘカート IIを使っている。敵の間で「白い死神」というニックネームで知られるシモ・ヘイヘは、世界で最も戦果を挙げた狙撃兵として広く知られている。[1][2][3]

狙撃手(そげきしゅ)とは、標的から長距離を隔てて狙撃銃などの狙撃を行う為に専門的な訓練を受けた要員である。

狙撃手は、軍事組織準軍事組織に所属する歩兵である者 (military sniper) と、警察などの法執行機関に所属する者 (police sniper) に大別される。

スナイパー (sniper) とも呼ばれ、選抜射手 (designated marksman) などの精密射撃を行う各種要員を含めて広義に用いられている。
語源

確認されている限り、英語で「狙撃手」を意味する"sniper"という単語は18世紀後半に駐英国武官が本国に宛てて送った書簡内に登場するものが最古で、この書簡では単に「狩猟の名人」を指す言葉として用いられている。その語源となったのは、野鳥タシギ (snipe) であった。タシギはその性質や逃亡時の飛行パターンから、当時の狩猟用銃器精度水準では仕留めることが困難だったため、タシギ猟を他の鳥類の狩猟と区別して"snipe shooting"と呼び、これが略称となって"sniping"として定着し、そこからタシギを上手く仕留められるほど優れた猟師のことをsniperと呼ぶようになったとされている[4]

かつて、英語圏において弓矢や銃などの投射兵器で精密射撃を行う兵士を指して用いられていた言葉は、主に"sharpshooter"(射撃の名手)であった。「狙撃手」としての"sniper"という単語は、第一次世界大戦期に新聞などの報道機関がsharpshooterやmarksman(選抜射手)をまとめて指す言葉として用い、これが定着したものである[5]
概説

弾薬最大有効射程
7.62x39mm350m
5.56x45mm550m
7.62x51mm800m
7.62x54mm R800m
.30-06 スプリングフィールド800m
7mm レミントン マグナム900~1,100m
.300 ウィンチェスター マグナム900~1,200m
.338 ラプア マグナム1,200~1,500m
.50 BMG (12.7x99mm NATO)
12.7x108mm (ロシア)1,500~2,000m
14.5x114mm1,800~2,300m
.408 チェイタック2,300m

軍隊警察による狙撃は、原則として専門の訓練を受けた狙撃手によって行われる。狙撃が行われる状況は様々だが、共通していることは適切な位置まで移動して待ち伏せを行い、相手に悟られずに狙いを定めて、少数の弾丸で目標の犯罪者を確実に殺害あるいは無力化することにある。

狙撃手を狙撃に専念させる為に、周囲の状況把握や命令伝達、場合によっては接近する敵の排除などを受け持つ観測手(スポッター、オブザーバー)とペアを組んで活動する。この観測手は狙撃手としての技術を持つ人員が担当する。これにより意思疎通がスムーズにでき、互いに役割を交代する事で負担を分散できるようになる。変則的な例として、狙撃手に汎用機関銃手と小銃射手を加えた3人チームで行動していたセルビア紛争の事例がある。これを目撃した傭兵高部正樹は、注意力の維持や負担の軽減のみならず、装弾数や連射力に乏しい狙撃銃の火力を補い、広範囲に対処できる極めて有効な戦術だったと述べている。

狙撃銃軍用あるいは民生用ライフル銃量産品から精度の良い個体を選び出し、スコープ照準器などの追加装備を施した物が使用されていたが、近年では当初から狙撃専用に開発された製品も存在する。精度の問題から、従来は一発必中を求めてボルトアクション方式ライフルが主に用いられたが、近年では、ミュンヘンオリンピック事件の影響などで、射撃精度を犠牲にしても、第2弾を素早く発射できるセミオートマチック方式ライフルの製品も増えている。戦間期から第二次世界大戦にかけては自動小銃を狙撃に用いる構想も一部の国では存在した。継続的に至近弾を送ることによる制圧効果を期待してのものだったが、戦後一般の小銃手にも広く自動火器が配備されたことで廃れた。
軍隊における狙撃手(狙撃兵)1915年のガリポリの塹壕。観測手をともなったオーストラリア軍の兵士がペリスコープを取り付けた小銃で狙撃している。ポーランド軍の狙撃手(11月蜂起)。草木に紛れるギリースーツを着たアメリカ海兵隊狙撃手。スターリングラード攻防戦時のドイツ軍狙撃手。イラク、ファルージャで狙撃されるアメリカ海兵隊員(ファルージャの戦闘FPK(PSL)を構えるエチオピア軍の狙撃手と、観測手を務めるアメリカ陸軍兵士

軍事行動での狙撃手は必然的に身を隠すことになり、高度なカモフラージュの技術を求められる。目立ちにくい色の服や迷彩服を着用し、その上からさらにギリースーツと呼ばれる植物を模した覆いを被ったり、植物を身に巻くなどの工夫がある。これは敵に、「何処からともなく撃たれる」という心理的な圧力を与えることも期待している。

基本的に観測手を伴って行動し、単独では困難な、長距離射撃における射弾の観測と修正を担当させる。観測手は経験を積んだ狙撃手が担当し、狙撃手への射撃の指示や射弾の修正量の計算は観測手が行う。また移動の痕跡が少なく敵に発見されにくいことから、斥候(偵察兵)としての任務を兼ねる場合がある。このため軍隊の狙撃手と観測手には、敵情を正確に判断、把握する能力や記憶力なども要求され、目標排除のために必要であれば航空支援、火砲による支援砲火の要請、巡航ミサイルなどの精密誘導兵器の標定、誘導なども任務に含められることがある。

ベトナム戦争時、アメリカ軍の狙撃手カルロス・ハスコックが敵司令官を追って長時間匍匐で移動し、発見されることなく暗殺に成功したが、この際、ハスコックは屎尿を全てズボンの中に垂れ流しにしていた。生物として回避できない排泄であっても、痕跡を抹消することを優先したこの行為は、狙撃兵の任務を表す一例として引用されている[6]

軍事行動の場合、狙撃手の基本的な任務は脅威度の高い目標の排除となる。敵狙撃手を探知及び排除するカウンタースナイプ任務なら優先目標となるのは敵の狙撃手であり、この他に対戦車兵器の射手、機関銃手など、その場での脅威度が高い物が目標となりうる。

また、指揮系統や部隊運用能力の麻痺を狙って、代替の困難な高級将校や通信兵、衛生兵を狙う狙撃がある。これを避ける為、兵士と将校が同じスタイルの軍服を着用するようになり、将校に対する敬礼が省略されて、階級の上下を問わず先に敬礼された方が答礼を返す方式となった。また所持品や装備の面でも、双眼鏡拳銃、マップケースなど、一目で将校と分かる特徴は出さないように工夫され、ベトナム戦争以降のアメリカ軍では、階級章の材質を高級将校も兵士も同じにするなど違いを目立たせない工夫が図られるようになった。

敵兵士に強いプレッシャーを与えて敵の進行を遅らせる遅滞戦闘を目的とする狙撃はカウンタースナイパーと呼ばれ、たった1組の狙撃兵によって敵部隊を1つ足止めするといった大きな効果を現すことがある。この場合、負傷者を出して手当てに人手を割かせるため、あえて止めを刺さないなど長期的な影響を狙った選択が行われる事がある。

狙撃による攻撃を受けた場合、狙撃手はカモフラージュによって位置を隠蔽しているため、大まかな位置を割り出した後は火砲迫撃砲による砲撃か、航空隊による空爆を用いて、目標一帯を面制圧するような大規模な手段を用いる場合が多い。市街地など砲爆撃が行い難い場所においては、多数の兵士を投入して数で制圧する対処法がある。

多数の兵士が交錯する集団戦では誰の攻撃が味方を殺害したのか判別が難しいのに対して、狙撃兵は単独もしくは少数で行動しているため、殺害者を特定した上での報復として、捕虜となった狙撃兵が虐待、殺害されることもあった。また、第二次世界大戦において連合軍上陸後のフランスでは、居残ったドイツ軍狙撃兵が手持ちの弾丸を使い切るまで連合軍兵を射殺し続けた後に投降してくることがあり、「投降する前に殺せ」という命令を下した指揮官もおり、一般部隊の兵士には狙撃を卑怯とする風潮もあった。味方からも畏怖まじりの賞賛を受ける一方で、精神的嫌悪感や、敵の強烈な報復攻撃などの厄介事を招き込みかねないため、疫病神扱いされる事もある。
狙撃師団

帝政ロシア軍やソ連軍第二次世界大戦前後の時期のポーランド軍には、狙撃師団あるいは狙撃兵師団と呼ばれる部隊が存在していた。これは日本陸軍ロシア語: стрелковая дивизия や ポーランド語: dywizja strzelcowという呼称を翻訳するにあたり、従来「歩兵」と訳してきた語と区別する為に造語したものとされる。原語に忠実に訳せば「射撃師団」のような意味合いで、従来の戦列歩兵重装歩兵)とは対照的な散兵戦術を用いた軽歩兵に相当する。したがって、いわゆるスナイパーで構成された部隊という意味ではなく、実態としては近現代的な歩兵師団と変わるところはない。同様の理由から、ソ連軍やロシア連邦軍機械化歩兵にも、日本語では「自動車化狙撃兵」との訳語が用いられる。
最長狙撃記録

確認されている戦闘中の狙撃の最長距離記録は、イギリス陸軍ブルーズ・アンド・ロイヤルズのクレイグ・ハリソン(英語版)近衛騎兵軍曹が達成したものである。2009年11月、アフガニスタンヘルマンド州ムサ・カラ県でハリソン軍曹はL115A3を使ってタリバン機関銃手を2,475メートルの距離から二名続けて射殺した[7][8]。QTU Lapua外部弾道学ソフトウェア[9]は、Lapua[10]から提供されるドップラー抵抗係数(Cd)の連続データを用いて、その射撃は滞空時間約6.0秒で2,475m飛んで、運動エネルギーの93%を失って、初速936m/sから255m/sに減速し、当初の射線から121.39mもしくは2.8°落下して、標的に当たると予測した。かなりの長距離と滞空時間であるが故に、2.7m/sのわずかな横風でさえも、その射撃を標的から9.2mも偏流させ、その補正が必要となる。計算では水平射撃シナリオを想定し、16.2 g (250 gr) Lapua LockBase B408弾を装填したイギリス軍特注の高圧 .338 Lapua Magnumカートリッジを使い、銃口初速936m/sで発射された[11]。同地の2009年11月の(平均的な)大気条件は:海面更正気圧1019hPa、現地気圧899hPa、湿度25.9%、気温15℃[12]であり、これでムサ・カラでの標高1043mにおける空気密度ρ = 1.0854 kg/m3となる。

ハリソン近衛騎兵軍曹は、環境条件は長距離狙撃にとっては完璧で、無風、好天、良好な視程であったと報告書で述べている。BBCのインタビューで、ハリソンは観測手とペアで標的に最初に着弾するまでに約9発撃たねばならなかったと述べている。

2017年6月23日カナダ軍特殊部隊は、狙撃兵が3540メートル離れた距離から、マクミランのライフル銃「TAC-50」を使用し、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」の戦闘員を狙撃することに成功したと発表した。狙撃成功は世界最高記録となる[13]
警察における狙撃手詳細は「人質救出作戦」を参照

警察行動での狙撃ではほとんどの場合、絶えずその発砲の適法性を入念に検証される。特に犯人の間近に人質が存在する場合、その保護のため目標の確実な無力化が求められる。犯人射殺に至るか行動不能に留めるかは状況によって異なるが、警察活動における狙撃には「命を救うために命を奪うことを覚悟すべし」[14]という格言もある。確実を期するために可能な限り目標に接近して行われ、複数の射手が同時に行動する場合もある。射界を広く取ることで、全体の状況を監視する役目を負うこともあるため通常は高台や周囲を見渡せる場所などへ配置される。また、ヘリコプターに搭乗して上空から狙撃を行うこともある。ホワイトハウス屋上の米国シークレットサービスの狙撃手

警察の狙撃手は軍隊の狙撃手とはその任務や戦術を含めて多くの点で異なる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:85 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef