犯罪小説
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名探偵シャーロック・ホームズ(左から3番目)は、犯罪小説の人気を大いに高めた。

犯罪小説(はんざいしょうせつ)、または、クライム・ノベル(Crime novel)は、犯罪行為やその調査を描く物語。殺人などの重大な犯罪を追及する探偵を描く場合が多く[1]推理小説法廷ドラマハードボイルドなどを含む。多くの場合は謎とサスペンスが重要な効果となる。
歴史詳細は「:en:History of crime fiction」を参照

最も古く知られている犯罪小説の要素は『千夜一夜物語』にある[2]。「三つの林檎」の物語は、アッバース朝カリフハールーン・アル・ラシード大臣ジャアファルに、若い女を殺害した犯人を見つけ出すように命じるもので、複数のどんでん返しから成る「フーダニット」ミステリの要素を持っている。[3][4][5][5]

『千夜一夜物語』では、「商人と泥棒」「アリ・クワジャ」には二人の探偵が登場し、犯人の手がかりと証拠を証拠を提示する。[6]「せむし男の物語」は、サスペンス・コメディ風の法廷ドラマである。[2]

現代的な犯罪小説としては、E.T.A.ホフマンの『スキュデリ嬢』(1819年)が知られている。またThomas Skinner Sturrの「Richmond, or stories in the life of a Bow Street Officer」(1827年)や、デンマークのSteen Steensen Blicher「The Rector of Veilbye」(1829年)があり、犯罪に関する推理ものとして、Letitia Elizabeth Landon「The Knife」(1832年)もある。ポー「モルグ街の殺人」挿絵のオーギュスト・デュパン

よく知られているのはエドガー・アラン・ポーによる、探偵C・オーギュスト・デュパンの登場する「モルグ街の殺人」(1841年)、「マリー・ロジェの謎」(1842年)、「盗まれた手紙」(1844年)である[7]。これらによって古典的な推理小説の枠組みが示された。デュパンはのちのアーサー・コナン・ドイルによるシャーロック・ホームズの先駆であり、物語の語り手である彼の無名のパートナーはホームズ・シリーズにおけるワトスン博士の原型である。[8]フランソワ・ヴィドック

フランスでは、警察の密偵や私立探偵を経験した実在の人物フランソワ・ヴィドックによる『ヴィドック回想録』(1827年)がきっかけで大衆小説に犯罪の要素が入り込むようになり、1842年にはウージェーヌ・シューの犯罪メロドラマ『パリの秘密』が書かれた。1857年からは犯罪常習者を主人公にした冒険活劇、ポンソン・デュ・テライル「ロカンボール」シリーズが人気となった。[9]

ウィルキー・コリンズ『白衣の女』(1860年)、『月長石』(1866年)も重要な作品である。フランスのエミール・ガボリオルコック探偵』(1868年)は、科学的で体系だった推理の基礎を築いた。『二輪馬車の秘密』のカバー

密室殺人テーマの発展はこの分野の歴史上の重要な出来事だった。アーサー・コナン・ドイルシャーロック・ホームズシリーズはこの分野の人気の拡大に大きな影響があった。先駆けとされるのは、ポール・フェヴァルの「黒服」シリーズ(1862-67年)で、スコットランドヤードの捜査と陰謀を描いている。犯罪小説の19世紀におけるベストセラーは、ファーガス・ヒュームのメルボルンを舞台にした『二輪馬車の秘密』だった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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