この項目では、トレーラー式車両について説明しています。
自走不能となった車両の牽引用途については「レッカー車」をご覧ください。
軍用の火砲牽引車については「砲兵トラクター」をご覧ください。
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出典検索?: "牽引自動車"
牽引自動車(けんいんじどうしゃ)とは、自動車(主に貨物自動車)の形態の一つ。運転席と荷台や客車が分離できる構造のもの。
動力部をもつ前者をトラクターユニット(またはトレーラーヘッド[注釈 1]またはけん引車)と呼ぶ[1]。荷車の役目を持つ後者をトレーラー(またはリヤカー[注釈 1]、被けん引車)と呼ぶ[1]。
フェリーやRO-RO船の航送時には、荷台のみを切り離して積み込むことが可能なため、運転手の拘束時間を短縮でき、人件費を抑えることができる。
種類と特徴
セミトレーラー詳細は「セミトレーラー」を参照セミトレーラーの構造。トレーラーヘッド側の連結器は一般にカプラー(第五輪)で、トレーラー側の連結装置はキングピンである。
セミトレーラー(Semi-trailer)とは前車軸のないトレーラー。日本では最も一般的なトレーラーで、縦列駐車や後退が可能。あらゆる用途(#用途・積荷による分類参照)のトレーラーに使われる。
トレーラーヘッドとトレーラーの両方が連結されることを前提とした構造になっており、連結時にはトラクターの第五輪(連結部分)がトレーラーの前輪となる。トラクター単体には基本的には積載スペースがなく、トレーラー単体には前輪がないため、非連結時にはどちらも運搬車としての役割を果たさない。
車載車の一部にトラクターのキャビン上部に小型車を1台積載できる亀の子と呼ばれるトラクターも存在するが、連結状態以外での積み下ろしはできない。積載状態で連結を解除する事も原理的には可能であるが、非連結時に積載状態で走行することは違法となる。また亀の子のトラクターでは自動車重量税が課税されるトレーラー[注釈 2]のみ牽引することができる。
操舵できるセミトレーラーもあり、ポールトレーラーと同様に、セミトレーラー側でも操舵する事により、車両の長さに対してより狭い場所を通過することができる。そのときは極めて低速で走行する[2]。(セルフステア型である場合、通常の速度での運行が可能である)
フルトレーラー詳細は「フルトレーラー」を参照
一台の貨物車の後ろに単体の荷台が連結されたもの。セミトレーラーと違い、トレーラーの荷重がフルにドリーにかかるため、区別して呼ばれる。トラクター(フルトラクター)とトレーラーそれぞれの連結部分が可動式の、通称ドリー (A-Dolly) 式が多く、2箇所で屈曲が起こるため後退がたいへん難しく、あまり普及はしていない。ただし空港用ドーリー(空港グランドハンドリング車両で、貨物、手荷物などを運搬)はほとんどこのタイプが使用されている。
また、最近ではこの形式に代わるセンターアクスル(C-Dolly)式というものが登場し注目を集めている。これは、可動部をトレーラー側連結部のみの1箇所とし、かつトレーラーのタイヤ軸を中央に位置することで、セミトレーラーと同じ感覚での後退を可能にしたものである。ドリー式ではルネットアイをトラクターのピントルフックに連結する方式や、センターアクスル方式ではベルマウス式のものがほとんどである。
フルトレーラー
欧州型ドリー
写真はトラクターのカプラーとトレーラーのドローバーを一点でつなぐ「Aドリー」
空港でユニット・ロード・デバイスを引くドリー
ポールトレーラー詳細は「ポールトレーラー」を参照
長尺物の運搬に使われるもので、積載物自体をフレームとすることで、トラクターとトレーラーが連結されるタイプのものを指す。当然ながら、強度の低いものや、変形の大きい貨物には適さない。通称「奴」(やっこ)とも呼ぶ。ナンバーは9で大型特殊になるが、運転免許はけん引だけでよい。
主な構造として、運搬する長尺物の寸法にあわせて伸縮可能なパイプ(ドローバーまたはステアリングバー)の先端のルネットアイをトラクターのピントルフックに引っ掛け、けん引車側とポールトレーラ側の各支点にターンテーブルを設置し、その2台のターンテーブルの上に荷物(主に長尺物)を載せて走行する。セミ用とフル用の両方の連結装置を使用し、ポールトレーラー側を逆位相で舵切りさせて内輪差を抑えるのが特徴。
積載されるものとしては、レール、橋梁、コンクリートパイル、原木、鉄道車両、鉄筋、円柱形重量物(煙突など)などが挙げられる。積載物の後ろが荷台よりはみ出る事が多く、従って、夜中など交通量の少ない時間帯に利用される事も少なくない。 セミトレーラーの後部にさらにフルトレーラーを接続した形態の車両。日本においては車両総重量などサイズと法令の関係で公道での運用が困難であり、UBEの専用私道で運用されるものが著名な使用例の一つである。また派生型として、さらにフルトレーラーを追加したトリプルストレーラーもあったという。[3] セミトレーラー型とフルトレーラー型が利用される。一般的な荷物の輸送に使われる。バン型はドライ、あるいは冷凍車が存在する。 セミトレーラーを利用し、鉄道コンテナや海上コンテナを輸送する。規制緩和によって登場した荷台が最も長いタイプ(約12.4 m[注釈 3])では、12 ft鉄道コンテナを3個同時に積む事や40 ft海上コンテナを積む事が可能。40 ft海上コンテナを積載する際に道路交通法で定められた車高規制以下に抑えるため、荷台プラットフォームをトラクタの操舵輪 コンテナシャーシは20フィート用は自重3.4トン最大積載量20トン 40フィート用は自重3.6トン最大積載量24トン(フル積載タイプは3軸で自重4.6トン最大積載量30トン)と自重の6倍以上のコンテナを積載することができ、ツイストロックと呼ばれる装置でコンテナをシャーシに固定する。 セミトレーラー型が利用される。基本的には雨天時でも運搬可能な物が積載される。 エアリフト・アクスル、ドロップ・アクスルとも呼ばれ、欧州では日本で普及する以前から[4]元来の道路事情の悪さなどもあり、EU指令「1230/2012」により道路を保護する目的でリフトアクスル機構とエアサスペンションの搭載が義務化されている[5]。また、この機構は1940年初頭に登場しており、当初機械式であったが、直ぐに油圧を利用したリフト方式に変更されている。スウェーデンの架装メーカーであるゼッターバーグス・インダストリー(Zetterbergs)が開発したゼータ=リフテン(Zeta-lyften)が油圧式の物として初めて商品化されている。タンデム式リフトは1957年にフィンランドの貨物自動車メーカー「ヴァナヤン」によって発明されている。 通常、最大積載量の関係と積載時の接地圧を分散させるため総輪を下げた状態で使用される。総軸が3軸以上のトラクターでは駆動軸の空転を防ぐため逆に接地圧を上げる目的で使用されるほか[6]、空車時にはホイールベースが素因となる最小回転半径を縮め、無駄な抵抗を無くすことにより燃料消費量を約4%減らすことが可能となり[7]、タイヤの無駄な摩耗を減らすことにも繋がるため[7]、自動エアリフト式の車軸が採用され[8]上げた状態で使用される。アメリカに於いては連邦橋重量式 セミトレーラー型が利用される。消防法の改正により最大積載量がそれまでの20 kLから30 kLまで変更されたため、トレーラーのみで13 m(トラクター連結時には17 m)近くになる車両も出始めている。 空荷時に1軸浮かせ高速道路の通行料金を安くさせる、エアリフトアクスル式という特殊車両も存在する。それを使うことにより2軸トラクタで牽引する後2軸セミトレーラーだった場合、積載時で4軸車扱いで特大料金であるが、空車では車軸がリフトするため3軸扱いとなり大型料金で通行できることになる。 なお、似た形の車両として毒劇物などの運搬車(タンク型)があるが、そちらにはフルトレーラーが使用される事がある[注釈 4]。
ダブルストレーラー
UBEで運用されるダブルストレーラー。
ロードトレインと呼ばれるオーストラリアの多連トレーラー
用途・積荷による分類
バン・ウィング型
ウィングボディ型セミトレーラー
バンボディ型セミトレーラー
コンテナトレーラー40ft コンテナシャーシ詳細は「ドレージ」および「日本のコンテナ輸送#トラック輸送」を参照
平ボディー型平ボディー型セミトレーラー
空荷での走行のため、後前軸と後中軸をリフト中
リフトアクスル
フィンランドのバナヤンが開発したタンデム式リフト。1960年撮影
1963年式スカニア製トラクターLBS7631
海上コンテナを連結作業中のMAN TGA
ボルボFM大型トラックでの使用例
ケンワースT600型トリプルアクセル式ダンプカー(ミッドリフト式単車)
アメリカにおける橋の重量制限標識。車軸数によって最大重量(通行可能)が決められている。シングルユニットとは牽引自動車以外の単車を示す
タンクローリータンク型セミトレーラーのエアリフトアクスル
写真は比重の大きい液糖輸送車。陸上自衛隊の水タンクトレーラー詳細は「タンクローリー」を参照
低床式トレーラークラス91型電気機関車(British Rail Class 91
セミトレーラーが利用される。ブルドーザー・ロードローラーといった重機や、巨大長尺物の運搬に使われる。車幅が3 mかそれ以上となる車両が多く、狭い道を通行する際には対向車線にはみ出す。
ダンプトレーラー詳細は「ダンプトレーラー」を参照