この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
特定商取引に関する法律
日本の法令
通称・略称特定商取引法、特商法
法令番号昭和51年法律第57号
種類消費者法
効力現行法
成立1976年5月21日
公布1976年6月4日
施行1976年12月3日
所管(通商産業省→)
(経済産業省→)
消費者庁
[生活産業局→商務情報政策局→取引対策課]
主な内容訪問販売・通信販売・電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引販売取引
関連法令民法、商法、割賦販売法、消費者基本法、消費者契約法、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律
制定時題名訪問販売等に関する法律
条文リンク特定商取引に関する法律
特定商取引に関する法律(とくていしょうとりひきにかんするほうりつ、昭和51年6月4日法律第57号)は、訪問販売等、業者と消費者の間における紛争が生じやすい類型の取引(特定商取引)について、勧誘行為や広告内容の規制等紛争を回避するための規制および、クーリング・オフ制度等、特別の契約解除権等を設けることによって、取引の公正性と消費者被害の防止を図る、日本の法律である[1]。略称は「特定商取引法」「特商法」。
当初は通商産業省生活産業局が所管したが、経済産業省商務情報政策局消費・流通政策課を経て、2009年の消費者庁発足以降は消費者庁取引対策課が主務官庁となった[2]。経産省とはその後も連携している。また公正取引委員会経済取引局企業取引課、警察庁サイバー警察局サイバー捜査課(旧・情報通信局)および独立行政法人国民生活センター相談情報部などと連携して執行にあたる。
以下、本項では特定商取引に関する法律を法、特定商取引に関する法律施行令を令、特定商取引に関する法律施行規則を規則と略記する。
また、特商法については単に条数のみを摘示することがある。 本法1条は、「この法律は、特定商取引を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与すること」が同法の目的であるとしている。 法の沿革等については、消費者庁の特定商取引法ガイド[3]なども参照。 1970年代の日本においては、消費者需要の量的増大及び質的多様化が急速に進展するとともに、情報伝達及び交通輸送の手段が整備されたことによって販売業者間の競争が激化し、多くの販売業者が、店舗外での販売による顧客獲得を目指して活動した。 しかし、訪問販売及び通信販売という新しい販売方法に関して、業界内での倫理が確立されておらず、消費者も、そうした販売方法に不慣れである上、販売業者と消費者との接触がその場限りに留まることが多く、事後的な紛争解決が困難であるという事情が重なり、販売業者と消費者との間における紛争が増加していた。 また、日本においては、1960年代後半から、悪質なマルチ商法が社会問題化していた。 本法は、上記紛争及び社会問題に対処するため、1976年、「訪問販売等に関する法律」(略称「訪問販売法」)として、第77回国会において、制定された。 訪問販売法の制定時における本法の主な内容は、以下のとおりである。[4] 1984年、割賦販売法上のクーリング・オフ期間が4日間から7日間に延長されたのに合わせ、訪問販売におけるクーリング・オフ可能期間が7日に延長された。[4] 本法制定後、訪問販売及び通信販売による小売高が増大し、通商産業省(当時)消費者相談室が受け付けた消費者相談件数のうち、訪問販売及び通信販売に関する相談件数が著しく増加した。 その相談内容をみると、訪問販売に関しては、物品の販売に関するものだけでなく、役務(サービス)の提供に関する苦情が大きな割合を占めるようになり、悪質な業者による販売手口の巧妙化及び複雑化の傾向(具体的には、キャッチセールス及びアポイントメントセールス また、通信販売については、不適切な表示及び広告に関する苦情が、最も大きな割合を占めた。 さらに、本法制定後、連鎖販売取引に関する紛争は急激に減少していたが、本法の「連鎖販売取引」の定義に該当しないものの、同取引と共通の特徴を有するマルチまがい商法が登場し、これに関する紛争が生じるようになっていた。 なお、1985年(昭和60年)には、豊田商事事件が発生し、社会問題化している。[注釈 1] こうした状況を踏まえて、1988年(昭和63年)、本法が大きく改正された。改正の主な内容は、以下のとおりである。[5] 日本は、1990年代中期から、失われた10年とも言われる不況に突入し、国民の間には雇用に対する不安が広がっていたことから、資格に関する関心が高まり、資格取得のための通信教育に対する需要が増加したが、時を同じくして、テレマーケティングが発達し、電話を利用した取引形態が急速に普及した。このような状況下において、通信教育を中心とする電話勧誘販売に関する紛争が増加した。 また、昭和63年改正後、紛争が減少していた連鎖販売取引についても、平成3年以降、過剰なセールストークによる勧誘等に起因する紛争が増加していた。 これらの紛争に対処するため行われたのが、平成8年改正である。 改正の主な内容は、以下のとおりである。[6]
法律の目的
沿革
制定の経緯
制定時の内容
訪問販売及び通信販売は、政令で指定された物品(指定商品)を販売する場合にのみ、本法の規制対象となる。
役務(サービス)の提供に関する契約は、本法の対象とならない。
訪問販売業者は、勧誘をする際、顧客に対し、事業者の氏名等を明示し、契約に関する書面を交付しなければならない。
通信販売の広告規制
連鎖販売取引における不適正な勧誘は禁止され、広告規制が課される。また業者は、顧客に対し、契約に関する書面を交付しなければならない。
訪問販売及び連鎖販売取引におけるクーリング・オフ制度(クーリング・オフできる期間は、訪問販売については契約をした日から4日間、連鎖販売取引については契約をした日から14日間)
ネガティブ・オプション(勝手に商品を送りつける方法)について、物品を送付した日から3ヶ月を経過した場合、業者は、当該物品の返還を請求することができなくなる。物品を送りつけられた者が、業者に対して引取りを請求した場合には、その期間が1ヶ月に短縮される。
昭和59年改正
昭和63年改正
改正の背景及び経緯
改正の内容
訪問販売及び通信販売における指定商品を拡充し、役務(サービス)及び権利も指定対象とされた。
訪問販売については、キャッチセールス及びアポイントメントセールスの方法により誘引した顧客と店舗内で契約した場合も、訪問販売に含めることとした。
通信販売については、誇大広告を規制の対象とした。
従来、再販売をする場合に限定されていた「連鎖販売取引」の定義を変更し、紹介及び委託販売による場合も、「連鎖販売取引」に含め、規制対象とした。
訪問販売におけるクーリング・オフ期間が、従来の7日から8日に延長された。
ネガティブ・オプションにおいて、事業者が返還請求権を失う期間が3ヶ月から14日に短縮された(引取請求があった場合は7日)。
平成8年改正
改正の背景及び経緯
改正の内容
従来は通信販売の一種として把握されており、主に広告に関してのみ規制されていた電話勧誘販売が、独立の取引形態として規定されることとなり、書面交付の義務化及びクーリング・オフ制度の導入等、訪問販売に類似した規制が設けられた。
連鎖販売取引については、従前統括者及び勧誘者のみが刑事罰の対象となっていたところ、それ以外の者(一般連鎖販売業者)も刑事罰の対象になりうることとなった。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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