特別急行券
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各種JR特急券の例。左上:座席を指定した特急券・新幹線特急券、左下:自由席特急券、右上:立席特急券(特定特急券区間)、右下:特定特急券国鉄時代の硬券の特急券。赤いラインが3本入っていた。

特別急行券(とくべつきゅうこうけん)とは、特急券(とっきゅうけん)ともいい、基本運賃と特別急行の料金(特急料金)を区分している運賃制度において、特別急行列車(特急)に乗車するときに乗車券とともに必要となる券である。
概要

アメリカでは20世紀の初頭、インターアーバン電車に食堂車やパーラーカーを連結した、LIMITEDと称する急行列車を運転し、乗客からは特別料金を徴収した。この列車から日本の特急列車の英訳語がLIMITED EXPRESSとなった。

ヨーロッパの鉄道ではかつては基本となる運賃に対しては乗車券を購入し、さらに速い列車を利用する場合には特急券を購入するというシステムが一般的であった[1]。ヨーロッパでは、特別の客車で編成された豪華列車に別料金を徴収して乗客を乗せることは19世紀から存在したが、これもアメリカの例と同様に速度に対する対価より、豪華な空間提供の対価である要素が強い。日本の特急に近い物としては、TEE列車の特急券がその代表的な物であった。TEEの特急券は距離により金額が決められていた。

日本でも特急の利用には乗車券とは別立ての特急券を要するシステムがとられている。

一方、ヨーロッパでは包括運賃制度が一般的な運賃制度となってきており、超高速列車や寝台列車でも列車(車両)ごとに運賃と他料金(特急料金や寝台料金)を一括して運賃設定を行っていることが多く、この場合には切符も一括されており別立ての特急券は存在しない[1]
JRと一部私鉄
特急券(指定席)
概要

旧国鉄及びJR各社の場合、特急列車急行列車と異なり、座席指定制を原則としていた。

1972年エル特急が設定されて以降自由席を設置した列車が増えたことや、1985年に設定された新特急などのように自由席を中心とした列車が設定されたことにより、その意義が薄れているが、JR東日本の「はやぶさ」・「はやて」・「こまち」・「成田エクスプレス」など全車指定席としている列車や、その他の基幹的な列車の場合には現在も基本的には指定席制を採用している。

そのため、単に「特急券」と称する場合は列車およびその座席かつ乗車区間がともに指定されたもの、すなわち「指定席特急券」を指し、券面に記載されている列車・区間にのみ有効である。注意しないといけないのは、券面に記載されている発駅から乗車しなかった場合、効力を失うケースがあることである。これは旅客営業規則の下記の規定による。

第173条 指定席特急券は、これを所持する旅客が、その指定の乗車駅で乗車しない場合は、他の旅客にその座席または旅客車を指定して急行券の発売をすることがある。この場合、指定駅で乗車しなかった旅客は、当該急行券に指定された座席を請求し、または旅客車に乗車することができない。

ここで説明されているのは、自由席特急券で乗車した乗客が、着席されていない指定席に対して車内で車掌に差額を支払い、指定席特急券を発券してもらうようなケースである(列車の発車前のマルスシステムでは排他制御が働くため、別の乗客に区間の重複する指定券を発券することは通常はない)。たとえば東海道新幹線に東京からの指定券を用意して品川から乗車するような未乗車区間が短い例ではこのようなケースは現実にはまず起こり得ない(条文を見てもわかるとおり、着席しなければ必ず別の乗客に発券するという趣旨ではなく、乗務員の判断に委ねられる)。

乗り遅れた場合には払い戻しはできないが、同区間を運行するその日の後続列車に自由席がある場合には自由席に乗車することが可能である(後続の列車が全車指定席の場合はこの特例での乗車はできないが、全車指定席の列車でも後続列車への乗車を認めている場合があり、この場合立席や空席の利用が可能である)。なお、接続する列車の運休・遅延により乗り継げなかった場合は後続列車への振替を請求できる。「急行券#特別急行券との差異」も参照

また、近年では近距離での利用促進を図るため自由席を中心に新幹線を含めた一部の列車では定期乗車券での利用が認められており、一部の特急列車では定期券にこれを追加する事で乗車可能としている。

しかし、もともとは長距離利用を前提としていたため、寝台特急などでは定期乗車券での利用を認めておらず[注 1]、特急券等のほか普通乗車券も必要である。
発売期間

基本的に該当列車の発車日(始発駅基準)の1か月前の午前10時から発売され、のりばへの移動時間を考慮し、発車時刻のおよそ5 - 10分前に終了する。

例えば、1月1日の21時26分に高松駅を出る寝台特急「サンライズ瀬戸」の指定券は、12月1日の10時ちょうどに発売開始となる。なお、この列車に1月2日の0時40分発車となる大阪駅から乗車する場合でも、発売開始日は12月1日である。

また、一部のみどりの窓口や旅行代理店では、「予約」と称し1か月前より以前から指定席の申込を受け付けている場合があるが、指定席には予約という制度は無く、あくまで対象の窓口で発売日の10時に発券処理を実施してもらう権利の予約である[注 2]
シーズン別の指定席特急料金

JR北海道北海道新幹線のみ)・JR東日本JR東海JR西日本JR四国JR九州及びJR各社間を利用する場合、指定制である特急券の額は乗車する日によって料金が変わる。2023年4月からはグリーン車グランクラス寝台車を利用する場合の特急料金にもシーズン別の料金を適用した[注 3]。期間等は以下のとおり[2]。年度によって3連休の有無などで変動がある。エクスプレス予約えきねっとのトクだ値等の早割系特別企画乗車券は適用条件が異なり年中同額や最繁忙期は除外などがある。
現在の規定


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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