実物貨幣(じつぶつかへい)とは、素材そのものが商品としての価値をもっている貨幣のこと。商品貨幣(しょうひんかへい、英: commodity money)とも呼ばれている。反対に素材自体にほとんど商品としての価値を持たない貨幣を名目貨幣と呼ぶ。 それぞれの社会が持つ歴史や環境などの諸条件によって異なるものの、その社会にとって重要な生産物や高価な外来品である財貨が、最古の貨幣となった。代表的な商品貨幣としては、穀物、家畜、布類などがある。商品貨幣に対して、石や貝などを用いる貨幣は自然貨幣と呼ばれる。後に高価でかつ商品としての価値が簡単には失われない貴金属(金や銀、極東では銅)に固定されるようになった。こうした一連の貨幣を指して実物貨幣と称する。 実物貨幣は素材の品質上の同一性、質的な分割・結合の容易、比較的少量でも大きな交換価値を持つこと、耐久性の高さ、運搬の容易さが条件とされ、特に最後の貴金属によって作られた一定の小塊は実物貨幣の条件としてもっとも優れたものであった。 商品貨幣のさまざまな種類は、パウル・アインチッヒ 貨幣学説
概要
商品貨幣論
出典・脚注^ 湯浅『文明の「血液」』 p481
参考文献
黒田明伸 『貨幣システムの世界史』(増補新版) 岩波書店、2014年。
浜野俊一郎「実物貨幣・信用貨幣」(『社会科学大事典 8』鹿島研究所出版会、1975年。 ISBN 978-4-306-09159-7)
湯浅赳男 『文明の「血液」』(増補新版) 新評論、1998年。
関連項目
貨幣学
貨幣史