牛乳
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普通牛乳[1]
100 gあたりの栄養価
エネルギー280 kJ (67 kcal)

炭水化物4.8 g

脂肪3.8 g
飽和脂肪酸2.33 g
一価不飽和0.87 g
多価不飽和0.12 g

タンパク質3.3 g

ビタミン
ビタミンA相当量β-カロテン(5%) 38 μg(0%)6 μg
チアミン (B1)(3%) 0.04 mg
リボフラビン (B2)(13%) 0.15 mg
ナイアシン (B3)(1%) 0.1 mg
パントテン酸 (B5)(11%) 0.55 mg
ビタミンB6(2%) 0.03 mg
葉酸 (B9)(1%) 5 μg
ビタミンB12(13%) 0.3 μg
ビタミンD(2%) 0.3 μg
ビタミンE(1%) 0.1 mg
ビタミンK(2%) 2 μg

ミネラル
ナトリウム(3%) 41 mg
カリウム(3%) 150 mg
カルシウム(11%) 110 mg
マグネシウム(3%) 10 mg
リン(13%) 93 mg
鉄分(0%) 0.02 mg
亜鉛(4%) 0.4 mg
(1%) 0.01 mg

他の成分
水分87.4 g
コレステロール12 mg
ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[2]。(100 g: 96.9 mL、100 mL: 103.2 g)

鉄: Trであるが、利用上の便宜のため小数第2位まで記載ビタミンD: ビタミンD活性代謝物を含む(ビタミンD活性代謝物を含まない場合: Tr)


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。

牛乳の脂肪酸組成[3]100gあたり

総脂肪3.25g
飽和脂肪酸酪酸 (4:0)カプロン酸 (6:0)カプリル酸 (8:0)カプリン酸 (10:0)ラウリン酸 (12:0)ミリスチン酸 (14:0)パルミチン酸 (16:0)ステアリン酸 (18:0)1.865g0.075g0.075g0.075g0.075g0.077g0.297g0.829g0.365g
一価不飽和脂肪酸オレイン酸 (18:1)0.812g0.812g
多価不飽和脂肪酸リノール酸 (18:2)α-リノレン酸 (18:3)0.195g0.12g0.075g

エネルギー比[3]

タンパク質  20%
脂肪  47%
糖分  33%

牛乳(ぎゅうにゅう、: (Cow's) Milk)とは、ウシ(牛)の乳汁である。栄養価が高く、様々な乳製品の原料や、菓子や料理の材料に利用出来る。乳等省令では種類別「牛乳」を指す。直接飲用する目的で販売する牛のをいい、生乳100%、成分無調整で、乳脂肪分3.0%以上、無脂乳固形分8.0%以上のものをいう。 成分無調整とは、生乳を殺菌して牛乳を製造する工程で成分をまったく調整していないことである。使用できる原料は生乳のみで水や他の原料を加えてはならない[4]

酪農生産物であり、家畜(乳牛)から採取した生乳から牛乳や乳製品となる[5]。乳製品は、加工乳、乳飲料、チーズバターヨーグルトなど多岐にわたる[6]加工乳は生乳に脱脂粉乳やバターなどの乳製品を加えたものであり、乳飲料は生乳または乳製品を主原料に乳製品以外の物を加えた物、成分調整牛乳や低脂肪牛乳や無脂肪牛乳は生乳から乳脂肪分を調整した物とされる[4]

牛乳は白い液体の食品である。水分中に離散している脂肪やカゼイン(タンパク質)の微粒子が光を散乱して白く見えるためでコロイドチンダル現象という。牛乳を温めると表面に膜が張り、これをラムスデン現象と呼ぶ。

摂取適正年齢について、日本では牛乳を飲用として与える場合は、鉄欠乏性貧血の予防の観点から、1歳を過ぎてからが望ましいとしている[7]

国連食糧農業機関(FAO)により2001年、6月1日が「世界牛乳の日」と定められた。これを受けて日本では2008年から、6月1日が「牛乳の日」、6月が「牛乳月間」とされている[8]
歴史

食物としての乳の利用は、動物の家畜化とともに始まった。野生の哺乳動物から搾乳することは困難なためである[9]。今から約1万1千年前にヒツジが、1万年前にウシヤギが家畜化されてきた。バターやチーズと一緒に世界各地で同時多発的に発生したと考えられているが、牛乳の利用のはっきりとした科学的な証拠として、新石器時代の5,500年から6,000年前の現在のイギリスにあたる地域(ブリテン諸島)の陶器から牛乳の脂肪分が発見されている[9]紀元前7000年頃、トルコの一部でウシの遊牧が行われていたともいわれている。

チーズとバターの利用はヨーロッパ、アジアの一部、アフリカの一部に広まった。大航海時代以降、世界に広がるヨーロッパ諸国の植民地に導入された。

牛乳は腐敗しやすく保存が困難だった事から、ヨーロッパにおいても長年にわたり牛乳の利用はバターやチーズなどの加工品がほとんどであり、そのまま牛乳を飲むことは農家での小規模な生産即消費に頼っていた。コールドチェーンという輸送技術や冷蔵技術の進歩、そして19世紀後半に風味を損なわない低温殺菌法(パスチャライゼーション)の実用化により、今日では世界的に牛乳が一つの産業として大規模に生産・利用されている。さらに先進国では、自動化された搾乳設備を持つ酪農業者によって、その大部分が生産されている。

牛の品種は、牛乳生産量の向上に特化して改良された。マクジーによれば、アメリカ合衆国の乳牛の90 %、イギリスの乳牛の85 %がホルスタインである。アメリカの代表的な乳牛品種は、ホルスタインのほか、エアシャー、ブラウンスイス、ガーンジー、ジャージー、ミルキング・ショートホーンなどである。

今日、乳製品と牛乳の生産量が最も大きい国はインドで、これにアメリカと中華人民共和国が次ぐ。
日本における牛乳明治時代にいち早く牛乳生産販売を始め、成功した牧田義雄[10]伊藤左千夫(歌人)- 本所茅場町にて牛乳の製造販売を始め成功をおさめた[注 1]

日本では幕末から明治時代に広まり、第二次世界大戦後にアメリカ合衆国からの脱脂粉乳を含む食糧支援のララ物資を経て、1954年に学校給食法が制定され、牛乳の提供を規則としてからは国民の大半が牛乳を飲むこととなった。これより前においては、日本で牛乳は普及していなかった。しかし、歴史上、日本国内で一切牛乳が利用されなかったわけではなく、史書で僅かながら牛およびその乳を利用してきたことが分かっている。

神話的には、『日本書紀』の神武天皇東征において、弟猾なる者が天皇一行を持て成した折に「牛酒(ししさけ)」を献上したという記述が見られ、これは牛肉のことではないかという研究がある[11]

考古学的には、日本列島では2015年時点で弥生時代における牛の飼育は確認されていない[12]古墳時代には牛を形象した埴輪が出土しており、奈良県御所市の南郷遺跡群からは5世紀頃の牛臼歯が出土しており、この頃から家畜利用されていたと考えられている[12]

6世紀に仏教が伝来する。仏教の生まれたインドには乳製品の習慣があり、儀礼とともに乳製品の加工が始まる[11]

560年欽明天皇21年)に百済智聡が、日本に伝えた医薬書に、搾乳などについての記述があり、これによって広まったとされる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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