父島
父島の空中写真。
2014年2月24日撮影の50枚を合成作成。国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス
父島(ちちじま)は、東京都・小笠原諸島の父島列島の島。東京都島嶼部に属する。東京都小笠原村の中心的機能を担う島であり、村役場はこの島に所在する。 硫黄島に次いで、小笠原諸島で2番目に大きな島である。周囲の兄島、弟島などの島とともに父島列島を形成する。一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島で、多くの固有種が存在する。島全体が小笠原国立公園に指定されている。集落は島の北西部の大村地区が中心。島の西側に西に開けた二見湾があり、湾の北部に二見港がある。 1920年代から大日本帝国陸軍によって砲台などの軍施設が建設され、太平洋戦争の頃には更に増強が進んで父島要塞となった。飯盛山近くの洲崎地区には大日本帝国海軍の飛行場(洲崎飛行場跡
概要
戦後はアメリカの支配下に置かれ、建設された米海軍の施設には1965年まで核兵器が貯蔵されていたとされる[2]。1968年に日本に返還され、小笠原諸島振興開発特別措置法により10年間で約300億円規模の公共事業などが実施された。復興に当たり水や電気の配給を効率的にするため、一島一集落にまとめるよう住民の移転が行われたが、父島は面積が広く農家が通勤を強いられるようになるため一島二集落として整備が行われた[3]。ある程度の大きさの旅客機が離着陸できる飛行場の建設は長年の悲願であり、2022年現在、東京都が洲崎地区で建設に向けた調査を行っている[4]。 沖縄と同じく温帯と熱帯の境界域に近いが、沖縄と異なり梅雨の時期がないため年間降水量は沖縄(那覇で約2000ミリ[6])より格段に少ない。このため、沖縄本島(北緯26度00分 - 27度00分)が熱帯雨林気候に近い亜熱帯気候(気候区分上は温暖湿潤気候)なのと異なり、父島の気候は熱帯モンスーン気候に分類される。なお最高気温35℃を超える猛暑日にはなったことが一度もない。 小笠原村父島字西町(父島気象観測所、標高3m)の気候
面積:23.45 km2(国土地理院令和元年全国都道府県市区町村別面積調(10月1日時点))[5]
人口:2,156人(住民基本台帳、平成31年4月1日時点)[5]
気候
月1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月年
最高気温記録 °C (°F)26.1
(79)25.4
(77.7)26.7
(80.1)28.4
(83.1)30.1
(86.2)33.0
(91.4)34.1
(93.4)33.7
(92.7)33.1
(91.6)32.1
(89.8)30.2
(86.4)27.5
(81.5)34.1
(93.4)
平均最高気温 °C (°F)20.7
(69.3)20.5
(68.9)21.7
(71.1)23.4
(74.1)25.6
(78.1)28.5
(83.3)30.4
(86.7)30.3
(86.5)29.9
(85.8)28.6
(83.5)25.9
(78.6)22.7
(72.9)25.7
(78.3)
日平均気温 °C (°F)18.5
(65.3)18.1
(64.6)19.3
(66.7)21.1
(70)23.4
(74.1)26.2
(79.2)27.7
(81.9)28.0
(82.4)27.7
(81.9)26.4
(79.5)23.8
(74.8)20.6
(69.1)23.4
(74.1)
平均最低気温 °C (°F)15.8
(60.4)15.4
(59.7)16.8
(62.2)18.8
(65.8)21.4
(70.5)24.4
(75.9)25.6
(78.1)26.1
(79)25.7
(78.3)24.4
(75.9)21.6
(70.9)18.2
(64.8)21.2
(70.2)
最低気温記録 °C (°F)8.9
(48)7.8
(46)9.2
(48.6)10.7
(51.3)13.9
(57)17.7
(63.9)20.8
(69.4)22.2
(72)19.6
(67.3)17.2
(63)13.2
(55.8)10.8
(51.4)7.8
(46)
降水量 mm (inch)63.6
(2.504)51.6
(2.031)75.8
(2.984)113.3
(4.461)151.9
(5.98)111.8
(4.402)79.5
(3.13)123.3
(4.854)144.2
(5.677)141.7
(5.579)136.1
(5.358)103.3
(4.067)1,296.1
(51.028)
平均降水日数 (?0.5 mm)11.08.59.810.011.88.88.611.313.413.712.011.2130.2
% 湿度66687279848682828281767078
平均月間日照時間131.3138.3159.2148.3151.8205.6246.8213.7197.7173.2139.1125.32,030.6
出典:気象庁 (平均値:1991年-2020年、極値:1968年-現在)[7][8]
歴史
1830年(天保元年) - ナサニエル・セイヴァリーら白人5人とハワイ人25人が、ハワイ王国のオアフ島から父島に入植し、初めての移住民となる(欧米系島民を参照)。
1876年(明治9年)3月 - 小笠原島の日本統治を各国に通告し、大日本帝国の領有確定。小笠原諸島が内務省の管轄となる。日本人37名が父島に定住。内務省出張所設置。
1880年(明治13年)10月28日 - 東京府小笠原出張所を設置。
1920年(大正9年)8月 - 大日本帝国陸軍築城部が父島支部を設置。
1927年(昭和2年) - 昭和天皇が戦艦「山城」で父島・母島を行幸[9]。母島の御幸之浜で海洋生物の調査実施。
1944年(昭和19年)9月2日- 第二次世界大戦において、後にアメリカ合衆国大統領となるジョージ・H・W・ブッシュが、父島にあった日本軍施設を攻撃している最中に撃墜されたが、アメリカ海軍潜水艦に救助された[10]。
1945年(昭和20年)- 小笠原事件。