爆撃機
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爆弾を投下するB-52戦略爆撃機

爆撃機(ばくげきき)は、より多くの爆弾類を搭載し強力な破壊力を持たせた航空機であり、搭載量が小さいものは攻撃機と呼ばれる[1]

爆撃機の代表的な任務は前線後方の戦略目標(司令部生産施設発電所など)の破壊である。爆撃機の大きな特徴は大量の爆弾類を一度に投下することで大きな破壊力を有していることである。ただ核兵器のような大量破壊兵器を使用する場合にはこういった搭載量は必ずしも必要なくなり、爆撃機部隊を維持する費用も掛かるため一定規模の爆撃機部隊を保有しているのは2021年時点でアメリカ合衆国ロシア連邦中華人民共和国だけである[2][注 1]
種類

詳細は各記事を参照のこと。
重量による分類

概ね、第二次世界大戦期まで用いられていた分類法である。当然ながら、それぞれの国内での相対的な区分であり、例えば日本の九七式重爆撃機は戦闘重量10,610 kgで、アメリカの中爆撃機(Medium_bomber)B-25の12,428 kgよりも軽量である。

軽爆撃機(英語版) - 急降下爆撃機などが含まれる。攻撃機・戦闘爆撃機に発展消滅。

中爆撃機(英語版)

重爆撃機(英語版)

用途による分類
戦略爆撃機
爆撃機の代表的な任務である前線後方の戦略目標(司令部、生産施設、発電所など)の破壊に使用される爆撃機の呼称。次第に戦略爆撃機のみになったが、戦術爆撃にも使われる。戦略目標の爆撃に戦術機の戦闘攻撃機で核兵器を投入できるようになり、戦略爆撃と戦術爆撃の区別が難しくなり冷戦後は明確な戦術機と戦略機の区別がなくなっている[2]
戦闘爆撃機
戦闘機と爆撃機の能力を兼ね備えた航空機。攻撃機の搭載量が高まった面から見れば戦闘攻撃機と同じものである[3]
急降下爆撃機
急降下爆撃を行うために開発された爆撃機。ピンポイント爆撃などに使用される。第二次世界大戦終結後はミサイル誘導爆弾の発達により廃れた。また、日本海軍では、急降下爆撃を行える機体を爆撃機、水平爆撃および雷撃のみを行える機体を攻撃機と独自の分類をしていた[4]
重爆撃機(HEAVY BOMBER)[5]
米ソ間の第一次戦略兵器削減条約(START I)において、戦略核兵器の運搬手段として指定された爆撃機であり、「7.5トンの爆装状態で空中給油無しで8000qを飛行可能」又は「射程600q以上の空中発射型核巡航ミサイルを搭載可能」のいずれか又は両方を満たす爆撃機を指す[6]戦略爆撃機を軍縮条約締結のために厳密に定義した物にあたる。
性能爆撃機の命名規則については「軍用機の命名規則」を参照.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: "爆撃機" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2013年6月)

兵装搭載能力
爆弾やミサイルを目的地まで携行する能力。胴体下面や主翼下面に吊り下げる場合や胴体内(B-2では主翼内)の爆弾倉に収める場合がある。爆弾倉は通常胴体の前後方向に細長く設けられるが、現在の米国大型爆撃機はリボルバーグレネードランチャーの回転弾倉のようなロータリーランチャー複数基を胴体内に収めている。
爆弾を正確に命中させる能力
第二次世界大戦終了までは自由落下の爆弾が主体で、もっぱら爆撃照準器が使用された。第二次世界大戦中は、爆弾の命中率を上げるために誤差が小さく、目標の近くまで爆弾を抱えて急降下する急降下爆撃機も多用された。大戦中ドイツは無線誘導爆弾を実用化し、敵の対空砲火に接近しなくても正確に命中させることができるようになった。2021年現在、航空機から投下された爆弾やミサイルは、レーザーグローバル・ポジショニング・システム(GPS)で誘導されて正確に目標に命中するものも多い。
自立した航法能力
敵地上空を飛行する関係上、広範囲のレーダー照射や通信は自分の居所を敵に知らせる原因となるため、使用できない。そこで爆撃機には外部に頼らない自立した航法能力が求められる。爆撃機の誕生以来しばらくの間は、もっぱら太陽や星の角度を測定して、自機の位置を推定する天測航法で飛んでいた。第二次世界大戦時にナチス・ドイツ慣性誘導装置が実用化されミサイルV2に使用されたが、この技術は戦後各国で使われた。現在はGPSが活用される。
敵に捕捉されにくいこと
重い爆弾を抱えた爆撃機は、空中戦では敵の戦闘機にかなわない。そこで極力見つからないように、見つかっても追いつかれないような性能や運用が求められる。以前は、高空を高速で飛ぶ能力や夜間航法能力が重要視されたが、現在ではステルス性や低空侵攻能力が重要視されている。
防御能力
第二次大戦までは防御用機関銃と重要部を保護する防弾板が最重要装備であった。しかし、冷戦期以降の戦闘機は高速で、遠距離からのミサイル攻撃を可能としており、このような防御策は有効ではない。B-2は高いステルス性を持つため敵に発見されないことを前提に運用されており、防御火器類は装備されていない。
速力・航続力
一般的には高速で遠くまで飛べるほうが良い。ただし同時代の戦闘機などと比べると速力ではそれには及ばない例が多い。一方で爆撃の命中率を上げるためには低速で飛行可能なほうが都合がよく、アメリカのA-10のように、移動する地上目標を爆撃するために、最高速度を犠牲にして低速時の安定性を優先させた機体もある。
歴史
第一次世界大戦第一次世界大戦においてドイツ軍を爆撃するアメリカ軍の飛行編隊(エディ・リッケンバウアー隊)

第一次世界大戦以前の航空用法は一部に爆撃の準備もあったが、主体は地上作戦協力の捜索目的、指揮の連絡、砲兵協力など航空戦略、航空戦術には値しないものだった[7]。第一次世界大戦が開始すると爆撃が逐次試みられた[8]

第一次世界大戦開始時の飛行機はその性能から偵察のみに使われ、戦闘には使用されなかった。しかし戦争の進展に従って、特に西部戦線で膠着する塹壕戦を打破する手段を必死に模索していた軍が、防御側の優位を覆す方法を見つけようと、偵察のついでにレンガ、手榴弾、小口径砲弾を改造した手製爆弾、投箭などを落として攻撃し、次にもっと大きな爆弾を落とせるような機体が製作されるようになった。

この時代の機体は複葉で木製骨組に帆布張り構造が主体で200馬力から300馬力程度の水冷式エンジンを使用していた。単発の小型爆撃機は200 kgほどの爆弾を積み、戦場の高空を高速(200 km/h以上)で飛んで敵戦闘機の捕捉から逃れていた。双発(エンジンが2基)の爆撃機は敵の都市を爆撃したが、速度が100 km/hを少し上回る程度で、敵戦闘機の目を逃れるために主に夜間爆撃を行った。


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