熱海市立図書館
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熱海市立図書館

施設情報
前身町立熱海図書館、逍遥先生記念町立熱海図書館、逍遥先生記念市立熱海図書館、市立熱海図書館
事業主体熱海市
管理運営直営
延床面積2,535.16 m2
開館1915年(大正4年)11月10日
所在地静岡県熱海市上宿町14番20号
位置北緯35度05分56.0秒 東経139度04分20.2秒 / 北緯35.098889度 東経139.072278度 / 35.098889; 139.072278座標: 北緯35度05分56.0秒 東経139度04分20.2秒 / 北緯35.098889度 東経139.072278度 / 35.098889; 139.072278
ISILJP-1001852
統計情報
蔵書数194,510点(2013年度末時点)
貸出数138,252点(2013年度末)
公式サイト熱海市立図書館
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館
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熱海市立図書館(あたみしりつとしょかん)は、静岡県熱海市公共図書館。熱海町に居住していた坪内逍遥の蔵書などを中心として1915年(大正4年)に開館した。静岡県に現存する最古の図書館であり、2015年(平成27年)に創立100周年を迎えた[1]目次

1 特色

2 歴史

2.1 年表

2.2 尋常高等小学校時代(1915-1930)

2.3 ??舘時代・御用邸時代(1930-1947)

2.4 戦後

2.5 文化会館時代(1967-2007)

2.6 東電熱海営業センター時代(2007-)

2.6.1 新図書館構想



3 移動図書館

4 利用案内

5 脚注

5.1 注釈

5.2 出典


6 参考文献

7 関連項目

8 外部リンク

特色熱海市湯河原町 貸出カードの作成可能者
(この他に熱海市内の別荘保持者)

鉄骨鉄筋コンクリート構造6階建の東京電力熱海営業センタービルの3階以上を賃貸借している[2]。東電ビルの総延床面積3,779.37m2のうち、図書館は2,535.16m2を使用している[2]。東電ビルへの移転によってカウンターが3か所に増え、図書館員だけでは対応が困難となったため、図書館はカウンターボランティアを導入した[3]。カウンターボランティアは図書の貸出・返却、書架の図書整理、図書の修復作業にあたっており、同様のボランティアの存在は全国でも例がないとされている[3]

市民1人あたりの蔵書数は静岡県内トップクラスである[4]。熱海市在住者に加えて、隣接する神奈川県湯河原町在住者も貸出カードを作成することができる[5]。さらに、熱海市内に別荘などを有している者またはその家族は、熱海市に「在住」(定住)していなくても貸出カードを作成することができる[5]

熱海市は温泉熱海温泉)で栄えた町であることから、4階中央部には温泉資料コーナーを設けている[6]。開館100周年記念事業として、2015年度(平成27年度)から郷土資料のデジタル化に取り組んでいる[7]。2015年8月28日には「熱海市立図書館デジタルライブラリー」を公開し、和綴じ本、坪内逍遥関連の文献、行政資料、丹那トンネル資料などを公開している[8]

逍遥が寄贈した書籍は辞書や教科書などであり、さらに逍遥は妻の名前でシェイクスピア全集を寄贈している[9]。逍遥の寄贈書は少なくとも700点が現存している[10]。開館当初は貸出を行っていたが、その後は一般公開されることなく保管されていた[11]。2009年10月の図書館フェアでは現代になって初めて公開され[11]、さらに2015年には開館100周年を記念して特別展示が行われた[10]
歴史
年表

1915年(大正4年) :
熱海尋常高等小学校内に町立熱海図書館として開館

1930年(昭和5年) : 本町温泉療養所「??舘」内に移転

1936年(昭和11年) : 旧熱海御用邸内に移転、逍遥先生記念町立熱海図書館に改称

1937年(昭和12年) : 市制施行にともなって逍遥先生記念市立熱海図書館に改称

1944年(昭和19年) : 市立熱海図書館に改称

1950年(昭和25年) : 熱海市青年会館に移転

1953年(昭和28年) : 熱海市役所新庁舎6階に移転

1967年(昭和42年) : 熱海市文化会館3階に移転、熱海市立図書館に改称

2007年(平成19年) : 東京電力熱海営業センター3-5階に移転

出典 : 『熱海市立図書館 創立100年のあゆみ』[12][13]
尋常高等小学校時代(1915-1930)

画像外部リンク
昭和六年三月 卒業記念写真帖
熱海市立図書館デジタルライブラリー
(熱海町尋常高等小学校の画像あり)
図書館設置に尽力した文学評論家の坪内逍遥

熱海は多くの文学人に愛された町である。徳富蘇峰坪内逍遥谷崎潤一郎永井荷風広津和郎志賀直哉吉川英治佐佐木信綱などは居を構えたことがあり、太宰治川端康成舟橋聖一三島由紀夫なども滞在経験がある[14]

なかでも文学評論家の坪内逍遥は、東京開成学校(現・東京大学)在学中の1879年(明治12年)、長兄の湯治に同行して初めて熱海を訪れた[15]。1886年には妻センとの新婚旅行でも熱海を訪れると、その後は冬季にしばしば熱海を訪れて露木旅館を常宿とするようになった[15]。1912年(大正元年)には糸川沿いに別荘を構え、1920年(大正9年)からは水口町の双柿舎で暮らした[16]。死去するまで計23年間も熱海と関わりを持ち、熱海町歌を作詞している。逍遥は熱海市内の海蔵寺に埋葬されており、現在では双柿舎が一般公開されている[17]。逍遥は町民や温泉客が閲覧できるよう、自身の蔵書を本町温泉療養所「??舘」(きゅうきかん)内に置いた[18] 逍遥が暮らした双柿舎

熱海町は大正天皇御大典記念事業として図書館の設立を決定[19]。1915年(大正4年)11月10日、田原町(現・春日町)にある熱海尋常高等小学校正面玄関2階の貴賓室に町立熱海図書館が開館した[20][10]。立案者の斉藤要八が逍遥に協力を要請すると、逍遥は図書館の蔵書の中心として約3,600冊を寄贈した[15]。その他有志による寄贈図書、購入した図書を合わせて、開館時の蔵書数は5,657冊だった[21][19]

逍遥は図書館で使用できる大火鉢を提供した上に[21]、図書台帳の作成、寄贈書への寄贈者名の捺印、閲覧・貸出規則の作成、番号・分類・蔵書印による図書管理など、図書館運営の助言なども行った[20]。後には佐佐木信綱、徳富蘇峰、谷崎潤一郎、吉川英治、志賀直哉などの文化人も熱海図書館に図書を寄贈している[22]。なお、熱海町は御大典記念事業として図書館設置以外にヒノキとスギの戦役記念造林をおこなっている[23]

静岡県に初めて設置された図書館は、1888年(明治21年)10月に駿東郡沼津町(現・沼津市)の沼津尋常小学校内に開館した沼津文庫である[10]。1915年には3月に君沢郡三島町(現・三島市)で、11月に熱海町と田方郡伊東町(現・伊東市)で図書館が開館している[10]
??舘時代・御用邸時代(1930-1947) ??舘が併設されていた大湯旅館

1885年(明治18年)には、熱海市街地の中心部にある大湯旅館の傍らに、本町温泉療養所「??舘」(きゅうきかん)が開館しており[24]、1930年(昭和5年)4月には図書館が尋常高等小学校から「??舘」内に移転した[19]。この時期の図書館長は熱海町長が兼任していた[20]。この時期にはすでに館外貸出の規則が設けられており、貸出期間は10日間、貸出冊数は洋装書が最大1冊、和装書が最大2冊だった[20]。貸出の際に15歳以上の町民は2円、15歳以下の町民は1円の保証金を必要とした[20]。1935年5月1日付で『図書臺帳一号』が作成されており、逍遥が寄贈者となった約1,200冊など、計2,668冊が登録されている[20]。1935年(昭和10年)には「??舘」が火災によって焼失したため、いったんは熱海町役場楼上に移転したが、1935年7月から1936年(昭和11年)2月末までは休館となった[20] 旧熱海御用邸

1889年(明治22年)には明宮(後の大正天皇)の転地療養地として、岩崎弥太郎の所有地に熱海御用邸が設置されていた[25]。1936年3月には熱海御用邸(現在は跡地に熱海市役所が存在)の1階を改造し、図書館が「??舘」から移転。逍遥先生記念町立熱海図書館に改称した[20]。御用邸は1931年(昭和6年)に廃止となって熱海町に払い下げられており、1階は裁判所として、2階が図書館として使用された[26]。1935年に定められた「逍遙先生記念町立熱海圖書館規定」によると、4月から9月の開館時間は8時から16時まで、10月から翌年3月の開館時間は9時から16時までだった。閲覧料は徴収しないが、貸出には保証人または保証金を必要とした[27]。逍遥は1935年に亡くなったが、逍遥が双柿舎で収集した熱海関連資料248点は、双柿舎を管理する早稲田大学から後に図書館に寄贈されている[28]

1937年(昭和12年)4月には熱海町が市制を施行して熱海市となり、逍遥先生記念市立熱海図書館に改称した[19]太平洋戦争が勃発前の1938年(昭和13年)から図書館は休館となり、市立熱海図書館に改称して再開館したのは1944年(昭和19年)8月のことだった[20]


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