熱帯降雨観測衛星
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熱帯降雨観測衛星 「TRMM」
TRMM
所属NASANASDA(現JAXA
公式ページ熱帯降雨観測衛星 「TRMM」
国際標識番号1997-074A
カタログ番号25063
状態消滅
目的熱帯の降雨観測
設計寿命3年2ヶ月(当初計画)
打上げ場所種子島宇宙センター
打上げ機H-IIロケット6号機
打上げ日時1997年11月28日
6時27分(JST)
運用終了日2015年4月8日
消滅日時2015年6月16日
12時55分(JST)
先代ふよう1号
後継機みどり
物理的特長
本体寸法約2.4m×2.4m×4.4m
※展開型太陽電池パドル有する
質量3,524kg (うち, 燃料890kg)
姿勢制御方式三軸姿勢制御方式(ゼロモーメンタム)
軌道要素
軌道太陽非同期準回帰軌道
高度 (h)約350 km
※2001年8月25日以降 約400km
軌道傾斜角 (i)約35度
軌道周期 (P)約92分
※2001年8月25日以降 約93分
搭載機器
PR降雨レーダー
VIRS可視赤外マルチスペクトル放射計
TMIイメージングマイクロ波放射計
CERS地球放射収支放射計
LIS発光センサ
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熱帯降雨観測衛星(ねったいこううかんそくえいせい、英語: Tropical Rainfall Measuring Mission; TRMM、トリム)は、アメリカNASA)と日本宇宙開発事業団通信総合研究所)の共同人工衛星ミッション、およびその人工衛星の名前である。

1997年11月に打ち上げられ、設計寿命の3年を遥かに超えて運用が継続されていたが、2015年4月に運用を終了し、同年6月に大気圏再突入し消滅した。
概要

TRMM衛星は1997年11月28日に日本の種子島宇宙センターよりH-IIロケット6号機により打ち上げられ、太陽非同期準回帰軌道に投入された。観測域は熱帯域(緯度が±38度より赤道側)に限られているが、海洋学気象学にとって重要な地球規模の観測データを提供しENSOの機構解明などに貢献した。

衛星の設計寿命は3年であったが、その後も不具合無く運用を継続し、NASAの運用の下で順調に観測を続けていた。運用の期間は、NOAAの要望等もあり運用延長の決定を何度も重ね、一時は2015年9月末まで運用されることになっていた[1]。1997年の運用開始から数えると10年以上に渡り安定した観測が行われた。長時間スケールの現象を捉えたことや、そのデータが地球規模であることから、得られたデータの解析で地球の気候変動の解明が進むことが期待される。

日米合同ミッションであるTRMM衛星による降雨観測の成功を受けて、2014年2月28日には後継機の全球降水観測計画のGPM(Global Precipitation Measurement)主衛星が打上げられた。TRMM衛星の寿命までは2機での同時観測も行われるとされた。その後、観測可能な高度を下回ったことから2015年4月に運用を終了した。
搭載測器

TRMMにはアメリカが開発した衛星本体に、アメリカの4つの観測センサーと日本が開発した降雨レーダ(PR)が搭載された。
Precipitation Radar(降雨レーダ)

Precipitation Radar(PR)は日本が世界に先駆けて開発した衛星搭載型降雨観測レーダであり、通信総合研究所(現在のNICT)とNASDA(現在のJAXA)によって開発された。13.796GHzと13.802GHzという2つの周波数の電波を送受信して降雨からの散乱強度を測定し、その散乱の強さから降雨強度が推定されている。観測幅は220km、距離分解能は250m、水平分解能は4.3km(2001年8月以降は5km)で、海洋および陸域上の降雨の3次元構造を観測する。ビーム幅は0.71度, 開口は2.1m x 2.1m, スキャン角は±17度, ゲインは=>47.4dB。ピーク電力700W, パルス幅1.6μ秒 x 2チャンネル, PRF 2776 Hz。真下を含めた49方向の角度ビン(0.71度間隔)。
TRMM Microwave Imager(TRMMマイクロ波観測装置)

TRMM Microwave Imager (TMI) はマイクロ波観測装置で観測周波数は10.65GHz, 19.35GHz, 21.3GHz, 37.0GHz, 85.5GHz(水平/鉛直偏波; ただし21.3GHzは鉛直のみ)、観測幅は760km、水平分解能は4km(85.5GHz)から38km(10.7GHz)である。TMIによって海洋上の雲水量、可降水量、海面水温、海上風速が観測される。49度のコニカルスキャン。電力39W。
Visible and Infrared Scanner(可視赤外観測装置)

Visible and Infrared Scanner (VIRS)は可視・赤外域の放射計であり、観測波長は0.63±0.1μm、1.61±0.06μm、3.75±0.38μm、10.8±1.0μm、12.0±1.0μ、スキャン角は±45度, 観測幅は720km、水平分解能は2kmである。VIRSから、高解像度の雲分布、海面水温などが観測される。回転速度は98.4rpm, IFOVは6.02mrad, 電力53W。
Clouds and the Earth's Radiant Energy System(雲及び地球放射エネルギー観測装置)

Clouds and the Earth's Radiant Energy System (CERES)は0.3から50μmの3つの広域帯観測バンドで観測する水平分解能25kmの放射計で、地球放射エネルギーおよび雲の上端を含む大気上層から地表面までの大気放射エネルギーを観測する。短波チャンネル: 0.3μm - 5μm, 長波チャンネル: 8μm - 12μm, 全波長チャンネル: 0.3μm - 50(以上)μm。電力47W。
Lightning Imaging Sensor(雷観測装置)

Lightning Imaging Sensor (LIS)は雲内部、雲から地表までの高度の雷の分布や変化を観測する観測幅600km、水平分解能4kmの光学センサである。観測バンド: 0.777655μm, 観測幅600km, 電力42W。
プロダクト

TRMMプロダクト[2]処理レベルプロダクトシーン単位
1B21PR calibrated received power1 orbit (16/day)
1C21PR radar reflectivity1 orbit (16/day)
2A21PR 正規化レーダー散乱断面積 (sigma0)1 orbit (16/day)
2A23PR qualitative1 orbit (16/day)
2A25PR 降雨プロファイル1 orbit (16/day)
3A25PR 降雨パラメータの月統計値全球マップ (月ごと)
3A26PR 統計モデルを使った月降雨量全球マップ (月ごと)
1B11TMI 輝度温度1 orbit (16/day)
2A12TMI 降雨プロファイル1 orbit (16/day)
3A11TMI 海上月降雨量全球マップ (月ごと)


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