熊肉
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熊肉(くまにく)とは、クマからとれる。熊料理の材料となる。熊肉は古来、食用とされてきた[1]狩猟によってしか得られない野生であるため、大量には出回らない食材である[1]。全身が食される。旨味が強いとされる。
食材
特徴

クマは全身を食用にでき、肉が少量であっても旨味が強い[1]。汁ものには脂身のある部位のほうが良いスープが出る[1]

東京家政学院大学客員教授の宗像伸子は、熊肉を調理し食用した感想として、脂身は融点が低く、甘みと旨味が強かったこと、肉が少量であっても旨味がスープに溶け出し、野菜にも味がよく染み込んだことを述べている[1]石川県の白山商工会によると、寒い地方の熊は、その肉は脂肪部分が多いが、サラッとした脂が特徴だとしている[2]
栄養価

熊肉(狩猟、生)[3]100 gあたりの栄養価
エネルギー161 kJ (38 kcal)

炭水化物0.00 g
食物繊維0.0 g

脂肪8.30 g

タンパク質20.10 g

ビタミン
ビタミンA相当量(0%) 0 μg
チアミン (B1)(14%) 0.160 mg
リボフラビン (B2)(57%) 0.680 mg
ナイアシン (B3)(21%) 3.200 mg
ビタミンC(0%) 0.0 mg

ミネラル
カルシウム(0%) 3 mg
リン(22%) 151 mg
鉄分(51%) 6.65 mg

他の成分
水分71.20 g
ビタミンA効力0 IU


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

熊肉(狩猟、煮込み調理)[4]100 gあたりの栄養価
エネルギー259 kJ (62 kcal)

炭水化物0.00 g
食物繊維0.0 g

脂肪13.39 g
飽和脂肪酸3.540
一価不飽和5.660
多価不飽和2.400

タンパク質32.42 g

ビタミン
ビタミンA相当量(0%) 0 μg
チアミン (B1)(9%) 0.100 mg
リボフラビン (B2)(68%) 0.820 mg
ナイアシン (B3)(22%) 3.350 mg
ビタミンB6(22%) 0.290 mg
葉酸 (B9)(2%) 6 μg
ビタミンB12(103%) 2.47 μg
ビタミンC(0%) 0.0 mg
ビタミンD(0%) 0.0 μg
ビタミンE(3%) 0.49 mg
ビタミンK(2%) 1.8 μg

ミネラル
ナトリウム(5%) 71 mg
カリウム(6%) 263 mg
カルシウム(1%) 5 mg
マグネシウム(6%) 23 mg
リン(24%) 170 mg
鉄分(83%) 10.73 mg
亜鉛(108%) 10.27 mg

他の成分
水分53.55 g
ビタミンA効力0 IU
ビタミンD0 IU
砂糖0.00 g
コレステロール98 mg


単位

μg = マイクログラム (英語版) • mg = ミリグラム

IU = 国際単位

%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

熊肉には身体を温める効果や、滋養効果が高いとされる[5][1]。また、熊肉には美肌効果があるといわれるコラーゲンが含まれ[5]、特に中華料理の高級食材である「熊掌」は豊富にコラーゲンが含有され、美容に効果があると珍重される[1]

白山商工会によると、熊鍋は、動物性蛋白質と食物繊維やビタミンなどが同時に摂取できるとしている[2]
アメリカにおける熊料理

アメリカ合衆国では先住民を除いても開拓時代から熊肉(主にグリズリーアメリカクロクマ)が食べられていたが、熊肉を食べるには適切な方法で捕獲・調理される必要があり、動物学者のアーネスト・シートンによると「穀物、植物の根、果実などを食べていて、最後に苦痛を与えずに素早く屠殺して適切に洗浄したもの」が理論上最高の味になるという[6]

また、シートンの書籍『シートン動物誌(原題:LIVES OF GEME ANIMALS)』によると熊肉料理に以下のようなものが紹介されている[7]

クマの油で揚げたビスケット - ビスケット自体は通常の揚げビスケットだが、揚げる際にクマの油(脂身をバターのように溶かす)で揚げる。腹持ちがよい。

クマのハムの燻製 - クマを殺した後、通常のハムと同じく下処理をして塩漬けと燻製にする。珍味の一つだが熟練者が材料に良いクマを選ばないとひどい味になる。

これ以外にメジャーではないが、ホッキョクグマもアラスカ周辺などで食べられたことがあったが、(特に肝臓が)有毒説が古くからあり、実際に食べた人で激しい頭痛、めまい、下痢、手足の皮がむけたという報告例があり、先住民たちもホッキョクグマ肉自体は食べても肝臓は食べないで犬に与えたり、犬にもホッキョクグマ肉を一切食べさせないようにしていたところがあったという[8]
中国における熊料理

中国では「熊掌」が古くから珍重され、龍肝、鳳髄、豹胎、鯉尾、猩唇、?炙、酥酪蝉とともに「周の八珍」と称された[9]

「香熊」は煮込んだ熊肉をマッチ箱ほどの大きさに切り、濃いめの香羹(こうかん)をかけた料理である[10]
日本における熊料理山肉料理店の鍋もの(日本)熊鍋(日本)

伝統的な日本のジビエ料理として食されるほか、薬膳の材料としても用いられる[11]

熊肉料理はツキノワグマヒグマが生息する地域の料理でもあり、かつて、熊肉はその土地だけで消費されるもので、主な料理は煮物や熊汁である[2]熊肉(日本)

大日本猟友会によると、日本では、熊肉は北海道から中部までの一部地域で食べられているところ、クマは年間1千から2千頭が捕獲されており、その内の1割程が食用となる[12]

日本では熊は年中獲れるが、クマの肉が最も美味いのは、巣穴冬眠中の3、4歳の個体、または冬眠直前とされている[13][14]。これはツキノワグマ、ヒグマに関わらず、秋の木の実(ドングリなど)を食し、冬眠のための脂肪がのっているからである[14]

次に美味しいのは4月下旬、“春クマ狩り”の頃のものである[13]


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