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引き伸ばし(ひきのばし、enlarging)は、写真の暗室作業のひとつで、ネガフィルムの画像を印画紙に拡大して焼き付ける工程のことである。印画紙上にフィルムを密着させて露光し、フィルムと同じ大きさ(原寸大)の写真を作ることは、コンタクトプリント(ベタ焼き)などと呼ばれる。引き伸ばし作業は暗室内で行い、引き伸ばし機、バット(vat、平たい長方形の容器)、薬品類などが必要である。引き伸ばしの工程により、印画紙は撮影からネガフィルムを得るまでと同様の化学変化を辿る。
カラーフィルムの現像と引き伸ばし(カラープリント)は、現像工程が増えること、温度管理が難しいこと、引き伸ばし機(カラーヘッド)が高価なことなどからアマチュアにはあまり普及しなかった。 写真フィルムの現像には完全な遮光が必要であるが、両側の穴から手を入れると、「袖」の先端がゴムでぴっちりとしまって遮光できるダークバッグがあり、この袋の中で、手探りでパトローネから小型タンクにフィルムを巻き取り、後は必要な薬品を入れたり抜いたりすると、暗室なしでも現像が出来る。
簡易暗室
引き伸ばしの工程
露光 : フィルム上の像を引き伸ばし機を使って投影し、印画紙に露光して潜像を作る。「撮影」によく似た工程である。
現像 : 露光した印画紙を現像液に浸し、潜像を目に見える画像に変化させる。
停止 : 酸性の停止液でアルカリ性の現像液を中和し、現像を停止させる。
定着 : 印画紙上の銀塩のうち、画像となったものを定着させ、画像にならなかったものを溶かして取り除く。
水洗 : 余分な薬品を洗い流す。これがおろそかだと、後で変色や像の消失などが起こる。
乾燥 : 吊るしたり乾燥機に乗せたりして乾かす。光沢仕上げの場合はフェロ板(Ferrotype plate)を用いる。
更新日時:2017年9月13日(水)16:17
取得日時:2019/08/14 09:33