無顎類 Agnatha
ヤツメウナギの一種Lampetra fluviatilisの頭部
分類
本文参照
無顎類(むがくるい Agnatha)とは、脊椎動物のうち、顎を持つ顎口類以外の動物。現生種はヤツメウナギ類とヌタウナギ類のみであり、大半のグループは絶滅している。 骨格が軟骨であるため19世紀の頃には同じように軟骨骨格を持つサメ・エイ、チョウザメ[脚注 1]と共に軟骨魚綱に入れられ、その中の円口目とされていたが[脚注 2][1]、この2種類(並びに硬骨魚)とは違いがいくつもあったので分離され、円形の口を持つヤツメウナギの仲間とヌタウナギの仲間で脊索動物門脊椎動物亜門無顎上綱のように単一のグループとされた。しかし「顎を獲得していない」という共有祖先形質のみでまとめられた側系統群であり、無脊椎動物や(鳥類を除外した場合の)爬虫類などと同様、分岐学的には有効な分類名ではない。それでも、顎獲得に伴う大幅な形態の変化を記述する上での利便性から、この名称が用いられる機会は多い。「顎口類を除くすべての脊椎動物」という定義のため、例えば史上最古の魚類とされるミロクンミンギア(ハイコウイクティス)なども無顎類と見なされる。 無顎類のうちほとんどが絶滅種であるが、現在でも生息しているもの(ヌタウナギ類とヤツメウナギ類)に関しては円口類と呼ばれる。円口類の2つのグループに関しては、分子系統や詳細な形態解析から単系統の系統群をつくるとの説が一般的になってきている[2][3]。過去にはヤツメウナギと顎口類とを単系統としてまとめて「脊椎動物」と呼び、ヌタウナギをその外群とした説もあった。この場合、ヌタウナギと「脊椎動物」とをまとめて「有頭動物(Craniata)」と呼び、現在でもこの分類を採用している書籍などは少なくない。
概要
進化Cephalaspis lyelli
脊椎動物の進化において、無顎類は重要な位置を占める。最古の無顎類の化石は、カンブリア紀後期の地層から発見されている。あまり遊泳力がない、皮骨で覆われたオタマジャクシのような姿をしていた。つづくオルドビス紀に多様化が進み、シルル紀、デボン紀になると、体側は丈夫な骨質のよろいのような皮骨で覆われ、鰭状の器官や奇妙な突起を発達させた。これらの突起には、遊泳を助けるなど、様々な役割があった[4]。ほとんどの種はデボン紀末期に絶滅した。これら絶滅した無顎類のうち、どの系統が現生の無顎類の祖先だったかは十分に解明されているとは言えないが、化石が多く知られる皮骨の発達したグループにヌタウナギ綱の祖先は含まれていなかったと推測されている。また、コノドント動物は長くその正体がわからなかったが、現在ではこの類であり、ホソヌタウナギに近い系統とも言われている。小型のプランクトン的生活の動物で、世界中の海に生息し、古生代末まで生き延びた。 完全な絶滅こそ免れたものの、現代の無顎類は古生代の旺盛な繁栄ぶりの見る影もない。それには後出の顎口類(顎のある魚)の出現が関係しているとされ、とりわけ彼らによって捕食圧が高まったことで、半ば“食い尽くされた”のではないかとする説がある[5]。これに似たケースとしては三畳紀に発生した単弓類と双弓類の生存競争が挙げられるかもしれない。 以下に脊索動物の系統関係の概略を示す。脊椎動物の中で顎口類以外の系統(太字)が全て「無顎類」にあたる。無顎類内部の互いの系統関係は現在でも謎が多く、議論が続いている。なお、現生のものはすべて円口類に属するので、その詳細は該当項を参照されたい。.mw-parser-output table.clade{border-spacing:0;margin:0;font-size:100%;line-height:100%;border-collapse:separate;width:auto}.mw-parser-output table.clade table.clade{width:100%}.mw-parser-output table.clade td.clade-label{width:0.7em;padding:0 0.15em;vertical-align:bottom;text-align:center;border-left:1px solid;border-bottom:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width{overflow:hidden;text-overflow:ellipsis}.mw-parser-output table.clade td.clade-fixed-width:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.first{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-label.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel{padding:0 0.15em;vertical-align:top;text-align:center;border-left:1px solid;white-space:nowrap}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel:hover{overflow:visible}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.last{border-left:none;border-right:none}.mw-parser-output table.clade td.clade-slabel.reverse{border-left:none;border-right:1px solid}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar{vertical-align:middle;text-align:left;padding:0 0.5em;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-bar.reverse{text-align:right;position:relative}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf{border:0;padding:0;text-align:left}.mw-parser-output table.clade td.clade-leafR{border:0;padding:0;text-align:right}.mw-parser-output table.clade td.clade-leaf.reverse{text-align:right}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkA{background-color:yellow}.mw-parser-output table.clade:hover span.linkB{background-color:green} 翼甲類† 甲皮類 板皮類† 軟骨魚類
ケファラスピスCephalaspis lyelli(想像図)
プテラスピス(想像図)
アナスピス類、プテロレピスPterolepis nitidusの化石と復元模型
ヌタウナギの一種Eptatretus stoutiiの頭部。
衰退
系統分類
顎口類
真口類
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