無限小数
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小数(しょうすう、 : decimal)とは、位取り記数法小数点を用いて実数を表現するための表記法である。目次

1 概要

2 使用例

3 小数部の区切り

4 小数の分類

4.1 有限小数

4.2 無限小数

4.2.1 循環小数

4.2.2 非循環小数


4.3 進んだ注意

4.4 その他の分類


5 実数の表現

6 小数の起源

7 出典

8 関連項目

概要

0 超過 1 未満の数を、分数を使わずに表現する方法の一つ。1 を基数 N で P 回割った数の桁を、小数第 P 位として表現する。

例えば、十進法で 1425 の百分の一に相当する数は、小数と小数点ピリオドまたはコンマ)を用いて、

14.25
整数部小数点小数部

または、

14,25
整数部小数点小数部

のように表現する(なお、日本では、小数点として、ピリオドを用いることがほとんどである)。小数点より左を整数部(分)と呼んで、右から一の位、十の位の数を記述する。小数点より右は小数部(分)と呼んで、1 より小さい位として、左から十分の一の位、百分の一の位の数を順に記述する。上に挙げた数の場合には、十の位は「1」、一の位は「4」、十分の一の位は「2」、百分の一の位は「5」となる。より小さい数を表現する場合には、この後に「千分の一の位」や「一万分の一の位」と順に位を増やすことで対応することができる。

小数部分の位は、小数第一位は「十分の一の位」、小数第二位は「百分の一の位」となるが、単に「小数第一位」「小数第二位」というように序数で呼ぶ例も多い。「小数点以下第 P 位」と呼ぶこともあるが、この場合の「以下」は小数点自体は含まずに数えることになっているので、「小数第 P 位」と同じである。10進数以外の他の進数の表記においても同様である。
使用例

以下に使用例を挙げる。小数は長さ重さといった細分できる量を表現したり、割合平均を表現するのにも用いる。
細分できる量


五円硬貨の厚さは 1.5 ミリメートル、重さは 3.75 グラム。

割合平均


1986年ランディ・バース打率は 0.389。

国の人口密度順リストによると、グリーンランド人口密度は 1 平方キロメートルあたり 0.03 人である。

円周率は円周の長さの直径に対する比率であり、3.141 592 65… である。

小数部の区切り

国際単位系(SI)の規定では、桁の数が多い場合の読取りを容易にするため、小数部の桁数が4以上の場合は、3桁ごとに空白(通常は、半スペース(en:thin space))で区切ることになっている[1][2]。ただし、小数部の桁数が4の場合は、3桁と1桁とに分けないのが普通である。物理学をはじめとする理学や工学の分野では、この国際単位系(SI)の規定に従った記法が使われる[3]

ただし、設計図、財務諸表、コンピュータが読み取るスクリプト(script)などの特定の専門的分野では、上記のやりかたは必ずしも使われていない[4][5]

以下は、NIST SP811における例である[6]

76 483 522 とする。  76,483,522 としない。

43 279.168 29 とする。  43,279.168 29 としない。

8012 又は 8 012 とする。 8,012  としない。

0.491 722 3 の方が 0.4917223 よりずっと望ましい。

0.5947 又は 0.594 7 とする。  0.59 47 としない。

8012.5947 又は 8 012.594 7 とする。 8 012.5947 や 8012.594 7 としない。

小数の分類
有限小数

ここまでに例に挙げた小数は、円周率を除いて、みな有限桁の数字で表現されている。このような小数は有限小数と呼ぶ。一般には分数が有限小数になる条件は、記数法の底(基数)と分母の素因数との関係で記述できる。既約分数 a/b が k 進法で有限小数となるための必要充分条件は rad(b)|rad(k) となる。即ち b の素因数が全て k の素因数にもなっていることである。

例.10進数においては基数10が 2 × 5 で表せることより 除数 b が 2i × 5j (i , j ≧ 0) の数においては有限小数になる。他の進数においてもその進数の基数の数により有限小数になる数が定まる。

無限小数

有限小数では正確に表現できない数(正確には、実数)が存在する。そのような数を、無限桁の小数で表現したものを無限小数と呼ぶ。上に挙げた例では円周率は無限小数でなければ表現できないが、逆に無限小数を用いることによってどんな実数をも表現することができるようになる。
循環小数

1/3 = 0.3333… や 1/7 = 0.142857142857… など、無限小数のうち、同じ数字列が無限に繰り返される小数を循環小数と呼ぶ。循環小数は繰り返す部分を指定することで表記する。

正式な記法は0.142857142857… = 0.·14285·7

のように、繰り返す部分の始めと終わりにドットを書く。小数第二位以降から繰り返しが始まる場合も0.1252525… = 0.1·2·5

のように同様に書く。一つの数字が繰り返される場合は0.333… = 0.·30.1444… = 0.1·4

のようにドットを一つ書く。

この百科事典においては、メディアの制約により0.{2497} または 0.24970.1{25} または 0.1250.{3} または 0.30.1{4} または 0.14

と書く場合もある。

有限小数または循環小数で表される数は、数学的な分類としては有理数となる。

有限小数を循環小数と見なすこともできる。例えば、1/8 = 0.125 = 0.125000… = 0.124999… のように、0 や 9 を無限に繰り返しているといえるからである。この場合 0 の繰り返しは特に明記する必要はなく、単に「0.125」としてよい。より詳しい性質に関しては「循環小数」を参照のこと。
非循環小数

循環しない無限小数を非循環小数と呼ぶ。数学的な分類としては無理数と等価である。

このような小数は簡単に作ることができて0.101001000100001…

は非循環小数である。
進んだ注意

殆どの場合に異なる無限小数表示は異なる実数を与えるが、1/10 = 0.1 = 0.0999...273/1000 = 0.273 = 0.272999...

のように、途中から全ての桁に「10 - 1」にあたる数字が並び続けるような表示は、「10 - 1」の並びが始まる直前の数字を1つ増やして、後は0を続けたものと同じ実数を与える。これについては「0.999...」の項目が詳しい。

小数は、実数整数 a0 と 0 から 9 までのどれかにあたる an (n ≥ 1) を用いて a 0 + ∑ n = 1 ∞ a n 10 − n {\displaystyle a_{0}+\sum _{n=1}^{\infty }a_{n}10^{-n}}

のような無限級数の形で表すことであるから、すべての an が一致しなくても極限が一致することはありうるのである。しかし、あるところから先にすべて 0 が続くことがないように循環小数として表せば表現は一意的になる。このためいくつかの場合には(たとえばカントールの対角線論法)、全てを循環小数として表現することが必要になる。
その他の分類

整数部が0である小数を純小数または真小数、それ以外を帯小数と呼ぶことがある。
実数の表現

与えられた実数xと2以上の自然数nに対して,xのn進無限小数表記を与える無限数列a0, a1, a2, …の各項の値を決定する二種類の手続きを次のように与える。これらの手続きのどちらを採用してもその表記は一意的に定まるが、0以外の有限小数に対する無限小数表記は採用した手続きによって異なるものとなる。

一つ目:
x = 0であれば、全ての項を0としてここで終了する。

a0 = ⌈abs(x)⌉ − 1, x′ = abs(x) − a0 ∈ (0, 1], p1 = 0(⌈⋅⌉:
天井函数,abs(⋅): 絶対値)とし,i = 1とおく。

区間(pi, pi + n/ni]をn等分し、その両端点とn − 1個の等分点を左から s i , 0 = p i , s i , 1 , ⋯ , s i , j = p i + j n i , ⋯ , s i , n − 1 , s i , n = p i + n n i {\displaystyle s_{i,0}=p_{i},s_{i,1},\cdots ,s_{i,j}=p_{i}{+}{\frac {j}{n^{i}}},\cdots ,s_{i,n-1},s_{i,n}=p_{i}{+}{\frac {n}{n^{i}}}} とする。

jを0からn − 1まで移動させ、x′ ∈ (si, j, si, j + 1]なるjが存在すればそこでjを固定し、ai = j, pi + 1 = si, jとした後,iに1を加算して 3. に戻る。


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