無腸動物
サンゴの一種Plerogyra sp.上に集まる Waminoa sp.
分類
無腸動物(むちょうどうぶつ、Acoelomorpha)は、プラヌラに似た特徴を持つ動物の分類群。従来は扁形動物門渦虫綱に分類されていたが[2]、1985年にUlrich Ehlersによって無腸目Acoelaと皮中神経目Nemertodermatidaを含む分類群として設立され、2004年にJaume BagunaとMarta Riutortによって左右相称動物の新しい門として分離された[3]。さらに珍渦虫と近縁とする説も有力である[4][5][6][7]。その場合、無腸動物亜門[8]または無腸綱[9]として、珍無腸動物門Xenacoelomorphaの下位に置かれる[1]。2011年の研究では珍渦虫とともに新口動物の一群と考えられているが[10]、2007年の研究では無腸動物は側系統群であり、無腸類と皮中神経類は左右相称動物の基部系統として別々に分岐したとされ[11]、2016年には珍無腸動物全体が左右相称動物から初期に分岐したとする説も提唱されている[7]。
ほぼ全て海産で、堆積物の粒の間に住む間隙性のもの、プランクトンのように泳ぐもの、藻類の上を這い回るものなどがある。平衡胞(平衡感覚をつかさどる器官)を有し、無腸類は1個、皮中神経類は2個の平衡石を持つ[2]。これは恐らく重力の方向に対して体を定位するのに役立っている。その体が柔らかいことによって、分類が困難となっている[12]。 非常に小さく平たい生物で、通常は2 mm以下の長さである(Symsagittifera roscoffensis
生体構造
無腸動物は多くの点で扁形動物に似ているが、腸がない以外にもより単純な構造を持っている。扁形動物と同様に循環器や呼吸器を持たないが、無腸動物はさらに排出器も欠いている。真の脳や神経節もなく、表皮の下に神経の単純なネットワークがあるだけであるが、神経の密度は動物体の後方から前方に向かって、より集中的になっている。感覚器としては平行胞があり、一部の例では非常に原始的な色素の斑点からなる単眼を持ち、光を検出することができる[14]。
無腸動物は雌雄同体であるが、生殖腺は持たず、メスの生殖器に繋がる管もない。その代わり、間充織細胞から配偶子が生産される[14]。