無線局
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無線局(むせんきょく、: radio station)は、

送信機あるいは受信機あるいは送信機と受信機の組み合わせ(継続に必要なアクセサリー装置を含む)(国際電気通信連合

無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体(受信専用は除く)。(日本電波法

と定義される。
概要
ITUの定義

国際電気通信連合(ITU)の定義では、「無線局とは、ひとつもしくはそれ以上の送信機もしくは受信機もしくは送信機と受信機の組み合わせのことで、無線通信や電波天文サービスを継続するために一箇所に必要なアクセサリー装置を含む (station: One or more transmitters or receivers or a combination of transmitters and receivers, including the accessory equipment, necessary at one location for carrying on a radiocommunication service, or the radio astronomy service(Section IV, 1.61) 」としている。[1]
日本の電波法の定義

電波法第2条第5号に無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体をいう。但し、受信のみを目的とするものを含まない。」と定義している。上述の定義により、電波法上、無線局には操作する者を含むが、局舎などの建築物は無線局に含まれない。携帯形の無線機とそれを操作する者がいれば無線局である。(余談であるが電波法の前身である無線電信法には「無線局」という文言は無かった。)
米国

米国の連邦通信委員会(FCC)による2016年3月31日時点の集計[1]によると、以下のカテゴリでは、それぞれ以下のような数の無線局が存在している。

AM  4680局

FM  6715局

FM Educational  4096局

UHF Commercial TV  1031局

VHF Commercial TV  356局

UHF Educational TV  290局

VHF Educational TV  105局

米国の無線局は、FCC規則によって管理されている。ラジオ局やテレビ局などの無線局に関するFCC規則は、連邦規則集(CFR)のパート73および74に含まれる。
歴史

法規としては1912年以降en:Radio Act of 1912があった。同法に代わって、1927年にはen:Radio Act of 1927が施行された。1927年の法では米国連邦政府の無線通信の管理力が強化され、新たに設立したen:Federal Radio Commission(FRC)に監督させることになった。また同法で初めて、無線局の免許を取得するためには「公共の利益、利便性、または必要性」を示すことを義務付けた。1934年にはen:Communications Act of 1934が施行された。

米国での周波数分配の表



日本

引用の促音、拗音、送り仮名などの表記は原文ママ。「法」は電波法の、「設備規則」は無線設備規則の略。

種別にある無線局は免許[注 1]または登録を要し、無線局免許状または無線局登録状総務省総合通信局又は沖縄総合通信事務所)から交付された後でなければ運用してはならない。免許を要する無線局(通称は「免許局」)及び後述する登録局には一部を除き、無線設備の操作を行う者として無線従事者又はその監督下にある者を要する。

なお、総務省において免許事務を所掌するのは、放送局関係は情報流通行政局、それ以外は総合通信基盤局である[2]
欠格事由

原則として外国籍の者に免許は与えられない。特に基幹放送局は経営参加にも条件は厳しい。これは、基幹放送局が言論報道機関であり、世論形成や文化創造等にきわめて大きな影響を及ぼす存在であることによる。放送法第93条においても基幹放送事業者の認定に同趣旨の規定が盛り込まれている。

登録に関しては外国籍の者を排除する規定は無い。
種別

無線局の種別は、総務省令電波法施行規則第4条第1項の各号に定義している。なお太字の無線通信業務は第3条に業務の定義をしている

固定局 - 固定業務を行う無線局

基幹放送局 - 基幹放送を行う無線局(当該基幹放送に加えて基幹放送以外の無線通信の送信をするものを含む。)であつて、基幹放送を行う実用化試験局以外のもの

地上基幹放送局 - 地上基幹放送又は移動受信用地上基幹放送を行う基幹放送局(放送試験業務を行うものを除く。)

特定地上基幹放送局 - 基幹放送局のうち法第6条第2項に規定する特定地上基幹放送局(放送試験業務を行うものを除く。)

地上基幹放送試験局 - 地上基幹放送又は移動受信用地上基幹放送を行う基幹放送局(放送試験業務を行うものに限る。)

特定地上基幹放送試験局 - 基幹放送局のうち法第6条第2項に規定する特定地上基幹放送局(放送試験業務を行うものに限る。)

地上一般放送局 - 地上一般放送放送法施行規則第2条第4号の2に規定する地上一般放送をいう。以下同じ。)を行う無線局であつて、地上一般放送を行う実用化試験局以外のもの

海岸局 - 船舶局又は遭難自動通報局と通信をする陸上に開設する移動しない無線局

航空局 - 航空機局と通信を行なうため陸上に開設する移動中の運用を目的としない無線局(船舶に開設するものを含む。)

基地局 - 陸上移動局との通信(陸上移動中継局の中継によるものを含む。)を行うため陸上に開設する移動しない無線局(陸上移動中継局を除く。)

携帯基地局 - 携帯局と通信を行うため陸上に開設する移動しない無線局

無線呼出局 - 無線呼出業務を行う陸上に開設する無線局

陸上移動中継局 - 基地局と陸上移動局との間及び陸上移動局相互間の通信を中継するため陸上に開設する移動しない無線局

陸上局 - 海岸局、航空局、基地局、携帯基地局、無線呼出局、陸上移動中継局その他移動中の運用を目的としない移動業務を行う無線局

船舶局 - 船舶(人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行うものを除く。)の無線局のうち、無線設備が遭難自動通報設備又はレーダーのみのもの以外の無線局

遭難自動通報局 - 遭難自動通報設備のみを使用して無線通信業務を行なう無線局

船上通信局 - 船上通信設備のみを使用して無線通信業務を行う移動する無線局

航空機局 - 航空機の無線局(人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行うものを除く。)のうち、無線設備がレーダーのみのもの以外の無線局

陸上移動局 - 陸上を移動中又はその特定しない地点に停止中運用する無線局(船上通信局を除く。)

携帯局 - 陸上、海上若しくは上空の一若しくは二以上にわたり携帯して移動中又はその特定しない地点に停止中運用する無線局(船上通信局及び陸上移動局を除く。)

移動局 - 船舶局、遭難自動通報局、船上通信局、航空機局、陸上移動局、携帯局その他移動中又は特定しない地点に停止中運用する無線局

無線測位局 - 無線測位業務を行う無線局

無線航行局 - 無線航行業務を行う無線局

無線航行陸上局 - 移動しない無線航行局

無線航行移動局 - 移動する無線航行局

無線標定陸上局 - 無線標定業務を行なう移動しない無線局

無線標定移動局 - 無線標定業務を行なう移動する無線局

無線標識局 - 無線標識業務を行う無線局

地球局 - 宇宙局と通信を行ない、又は受動衛星その他の宇宙にある物体を利用して通信を行うため、地表又は地球の大気圏の主要部分に開設する無線局

海岸地球局 - 法第63条に規定する海岸地球局

電気通信業務を行うことを目的として陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により船舶地球局と無線通信を行う無線局


航空地球局 - 陸上に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により航空機地球局と無線通信を行う無線局

法第70条の3第2項に規定する航空地球局をいう。


携帯基地地球局 - 人工衛星局の中継により携帯移動地球局と通信を行うため陸上に開設する無線局

船舶地球局 - 法第6条第1項第4号に規定する船舶地球局

船舶に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により無線通信を行うもの(実験等無線局及びアマチュア無線局を除く。)


航空機地球局 - 法第6条第1項第4号に規定する航空機地球局

航空機に開設する無線局であつて、人工衛星局の中継によつてのみ無線通信を行う無線局


携帯移動地球局 - 自動車その他陸上を移動するものに開設し、又は陸上、海上若しくは上空の一若しくは二以上にわたり携帯して使用するために開設する無線局であつて、人工衛星局の中継により無線通信を行うもの(船舶地球局及び航空機地球局を除く。)

宇宙局 - 地球の大気圏の主要部分の外にある物体(その主要部分の外に出ることを目的とし、又はその主要部分の外から入つたものを含む。)に開設する無線局

人工衛星局 - 法第6条第1項第4号に規定する人工衛星局

人工衛星の無線局


衛星基幹放送局 衛星基幹放送(放送法第2条第13号の衛星基幹放送をいう。)を行う基幹放送局(衛星基幹放送試験局を除く。)

衛星基幹放送試験局 衛星基幹放送を行う基幹放送局(放送及びその受信の進歩発達に必要な試験、研究又は調査のため、一般公衆によつて直接受信されるための無線電話、テレビジョン、データ伝送又はファクシミリによる無線通信業務を試験的に行うものに限る。)

非常局 - 非常通信業務のみを行うことを目的として開設する無線局

実験試験局 - 科学若しくは技術の発達のための実験、電波の利用の効率性に関する試験又は電波の利用の需要に関する調査を行うために開設する無線局であつて、実用に供しないもの(放送をするものを除く。)をいう。

実用化試験局 - 当該無線通信業務を実用に移す目的で試験的に開設する無線局

アマチユア局 - アマチユア業務を行う無線局

簡易無線局 - 簡易無線業務を行う無線局

構内無線局 - 構内無線業務を行う無線局

気象援助局 - 気象援助業務を行う無線局

標準周波数局 - 標準周波数業務を行う無線局

特別業務の局 - 特別業務を行う無線局

開設の基準

無線局を開設するにあたっては、種別により総務省令無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準又は基幹放送局の開設の根本的基準が適用され、その必要性が審査される。ここでは一般無線局に適用される無線局(基幹放送局を除く。)の開設の根本的基準第8条について掲げる。
その局は、免許人以外の者の使用に供するものでないこと。

その局を開設する目的、通信の相手方の選定及び通信事項が法令に違反せず、かつ、公共の福祉を害しないものであること。

その局を運用することがその局を使用する事業又は業務の遂行のために必要であつて、かつ、それにより公共の福祉を増進することができること。

通信の相手方及び通信事項は、その局を使用する事業又は業務の遂行上必要であつて、最少限[注 2]のものであること。

その局を開設することが既設の無線局等の運用又は電波の監視に支障を与えないこと。

その局を開設する目的を達成するためには、その局を開設することが電気通信業務用電気通信施設を利用する場合に比較して能率的かつ経済的であること。

その局を開設する目的を達成するためには、その局を開設することが他の各種の電気通信手段を使用する場合に比較して能率的かつ経済的であること。

その局が大使館、公使館又は領事館の公用に供する無線局であつて特定の固定地点間の無線通信を行うものであるときは、その局の免許を受けようとする者は、その国内において日本国政府又はその代表者が同種の無線局を開設することを認める国の政府又は代表者であること。

その局が890MHz以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信で法第102条の2第1項第2号に掲げるものを行うもの(その局の無線通信について同条同項の規定による伝搬障害防止区域の指定の必要がないものを除く。)であるときは、当該無線通信の電波伝搬路における当該電波が法102条の3第1項各号の1に該当する行為により伝搬障害を生ずる見込みのあるものでないこと。

上記第3項にもあるように、無線局は事業者が事業又は業務を遂行する為に開設するものである。その他、用途により例えば電気通信業務用無線局であれば「実施について適切な計画を有し、かつ、当該計画を確実に実施するに足りる能力を有するもの」、公共業務用無線局であれば「所掌事務の遂行のために開設するもの」等が要件とされる。すなわち、無線局の免許は実務上殆どが官公庁私企業などの法人でなければ申請できず、免許人になれない。個人が事業あるいはレジャー趣味で開設できるのは船舶局、航空機局、簡易無線局、アマチュア局などに事実上限られる。
開設

無線局の開設には、予備免許を取得し落成検査を受けて違反がない場合に免許されるのが原則である。但し、簡易な免許手続による場合及び複数の特定無線局を包括して開設する場合や登録の場合は、予備免許や落成検査を省略して免許又は登録される。なお、一部の免許および登録の権限は、総合通信局長又は沖縄総合通信事務所長に委任されている。
免許人の地位承継

無線局の免許は、電波法第20条の規定により譲渡することができる。免許人について相続があった場合の相続人と事業分割・合併などの場合の譲受人が対象である。なお譲受人については、総務大臣の許可を要する。

これを免許人の地位承継という。
免許を要しない無線局

電波法第4条および第4条の2に規定されるもので、免許不要局とも呼ばれる。

第4条第1号 - 微弱無線局

第4条第2号 - 市民ラジオ

第4条第3号 - 小電力無線局

上記の三種類の入手後の手続きは不要[3]


第4条第4号 - 登録局

無線局登録状を交付された後でなければ運用できず、一部を除き無線従事者又はその監督下にある者による操作が必要[4]


第4条の2第1項 - 訪日外国人が持ち込むWi-FiBluetooth端末

入国から90日以内の制限[5]がある。なお、携帯電話端末が日本国内で利用できることは、電波法第103条の5第1項に規定する「外国の無線局の無線設備を使用して開設する無線局」によるもの[6]で、法的根拠は異なる。


第4条の2第2項 - 技適未取得機器を用いた実験等の特例

一部の小電力無線局用の適合表示無線設備に相当する機器を実験・試験・調査に使用するためのもので、届け出ることで足る。届出日から180日以内の制限があり、同一目的の実験等で再度の届出はできない[7]


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