無敵鋼人ダイターン3
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無敵鋼人ダイターン3
ジャンル
ロボットアニメ
アニメ
原作矢立肇富野喜幸
総監督富野喜幸
脚本荒木芳久星山博之吉川惣司松崎健一、他
キャラクターデザイン塩山紀生小国一和
メカニックデザイン大河原邦男
音楽渡辺岳夫(作曲)
松山祐士(編曲)
製作名古屋テレビ
創通エージェンシー
日本サンライズ
放送局名古屋テレビ
放送期間1978年6月3日 - 1979年3月31日
話数全40話
テンプレート - ノート
ポータルアニメ

『無敵鋼人ダイターン3』(むてきこうじんダイターンスリー)は、日本サンライズ制作の日本ロボットアニメ1978年6月から1979年3月にかけて名古屋テレビを制作局としてテレビ朝日系列で放送された。

後年、監督の富野によるスピンオフ小説『破嵐万丈シリーズ』も発表されている。
作品解説

リアル路線的な作風でシリアスな悲劇的要素が強かった前番組の『無敵超人ザンボット3』から一転し、作劇にギャグやコメディの比重が多く、コミカルかつエンターティメント性を盛り込んだ内容になっている。

当初の企画であった『ボンバーX』は、サンライズの山浦栄二の発案による三段変形のロボットが活躍するアニメだった。これはスポンサーを予定していたブルマァクが倒産したため、一旦企画が頓挫。玩具メーカーのタケミをスポンサーにする計画もあったが実現はしなかった。その後、『無敵超人ザンボット3』の後番組をクローバーから打診されたときに『ボンバーX』が再浮上し、『ダイターン3』として生まれ変わった[1]

「トイジャーナル」1978年2月号のクローバーによると、この段階では本作のタイトルは「未定」であるが、主人公の名前は「破嵐万丈」と決まっており、内容は「ロボットアニメに仮面ライダー的なアクション要素が加わったTVアニメーション」「女の子の二人組もビューティ・ペア的な活躍をする」としている。本作は当時、主流になりつつあった「はじめに商品が出来て、それから番組が作られた」[2]作品であり、『無敵超人ザンボット3』に比べ関連玩具のラインナップの充実が図られた。また販促活動も強化され、各地の百貨店では「仮面ライダーショー」のような着ぐるみショーが行われ、仮面ライダーシリーズのアクション指導もしていたプロも出演[3]した。こうしたクローバーの取り組みとスーパーカーブームから回帰した子供層[4]のおかげで、本作は年末商戦で大活躍をし、前番組『無敵超人ザンボット3』との比較での昨年対比で150%の売上を達成した[4]。この『ザンボット3』と本作の2連続の成功は、次回作『機動戦士ガンダム』においてクリエイター側に高い自由度をもたらした[5]。またサンライズの飯塚正夫によるとプレハブの社屋だったクローバーの本社が、この成功によってビルになったそうである[6]

コミカルな作風の裏側では監督である富野は制作に苦心しており、ギャグやユーモラスの創作やトッポやビューティなどのキャラクター作りに対する悔い、また制作が追いつかない時は放送済みのフィルムを巧妙に切り貼りして、新作部分を限りなく少なく抑えた回もあった[注釈 1]。過去の作品をほとんど評価することがない富野は本作に対しての評価を「個人的に80点近い点数は、今でも与えられると思っている」と語っている。

本作は映画『スター・ウォーズ』の影響が見られ、氷川竜介によると本作は「SW(スター・ウォーズ)影響の最先端」としている。実際に、オープニングでライトセーバーを使用し、『スター・ウォーズ』の日本公開上映を境にドン・ザウサーの指令が唸り声から、機械的な呼吸音になり、当時のアニメファンは「トミノさん、(スター・ウォーズを)見ましたね」とささやきあったという[7]。また、第12話「遙かなる黄金の星」では、宇宙戦闘機の戦闘シーンが『スター・ウォーズ』の影響を受けた金田伊功によって鋭く描写されており、動画マンは「金田さんに悪いもの(『スター・ウォーズ』)を観せた、線がメチャクチャ増えてる」と嘆いたといわれる[8]。ただし、富野自身は『スター・ウォーズ』について、「SFとしてしっかり作ればいいのに、ダメな所ばかり集めて作った」と批判的である。

また本作は、タツノコプロデザインオフィス・メカマンを退社しフリーになったメカニックデザイナー大河原邦男がサンライズで本格的に手掛け、戸田恵子が声優デビューを果たした作品でもある。
評価
富野由悠季

本作を監督した富野由悠季(当時は富野喜幸)は、自身が監督として統括した『海のトリトン』や『無敵超人ザンボット3』で「正義と悪の逆転」のロジックを最終回で用いた経緯から、本作はその傾向を弱め、明るい作風で子供に見せられる「仕事」としてのアニメ制作を行ったと述懐した上で、「仕事でやると(日本サンライズは)1年間作らせてくれる訳だけど、そんなに持たねぇよってのが本当の所です」と制作中の胸中を明かして、「手を変え品を変え作ってみたけど、2年も3年も続けられないことが分かった」と語っている[9]
あらすじ

人類が宇宙へと進出の場を伸ばし、その拠点として火星での開拓作業のために破嵐創造博士は、宇宙進出用サイボーグを生みだしていた。しかし、その飽くなき実験と研究のために博士は自らの妻と息子をもサイボーグにしてしまい、さらに博士によってサイボーグとなった者達は次第に自分達が人類よりも優れていると思いこんで暴走し、自らを「メガノイド」と称し、全ての人類をメガノイドにしようと反乱を起こした。

破嵐博士の息子である破嵐万丈は、母と兄の計らいと犠牲によって巨大ロボット・ダイターン3と大量の金塊を奪取して地球へと脱出した。そして万丈は金塊を元手にシン・ザ・シティに居を構え、執事ギャリソン時田とパートナーのビューティフル・タチバナと共に、さらに元インターポールの三条レイカと、わんぱく少年トッポこと戸田突太も加え、メガノイドの人類支配阻止のため立ち上がる。
登場人物
主人公側
破嵐 万丈(はらん ばんじょう)
- 鈴置洋孝(タイトルコールおよび次回予告ナレーションも兼任)本作の主人公。ダイターン3を駆りメガノイドと戦う。一人称は「僕」だが、ごくまれに「俺」の場合もある。メガノイドを開発した破嵐創造の次男であり、母(声 - 沢田敏子)と長男である兄はメガノイド開発の実験台となり、初期型メガノイドの致命的な欠陥のため他界したと思われる描写がある。キザで女性には優しく、全てにおいて天才的な能力を持つ伊達男。また、ひょうきんでユーモアのセンスもあるため、時折三枚目を演じることもある。その一方、心中には父・破嵐創造とメガノイドに対する憎悪が渦巻いており[注釈 2]、時として仲間を切り捨てる冷酷な行動を取ることもある。しかし、それも仲間との固い絆があってのもので、本当は心優しく情に厚い熱血漢であり、仲間たちからの信頼も厚い。時折見せる人間離れした怪力(第1話での、鉄格子を素手で曲げる描写など)から、彼自身メガノイドあるいはその前駆体としての被験者ではないかという疑惑も存在し、ドン・ザウサーもそれを疑ったが、そのことに対する明白な言及は行われていない。お調子者の側面もあり、うぬぼれが強く美女に弱い。そのため女絡みでメガノイドの事件に巻き込まれてしまうことも多いが、メガノイドの罠を見抜いたり仲間のサポートによってそれを切り抜けていく。最終回でドン・ザウサーを倒した後はいずこかへと姿を消し、消息不明となる。ラストシーンで仲間が全て去り、扉にも鍵が掛けられ無人になったはずの屋敷の万丈の部屋の窓に明かりが灯るという演出があり物語は終わる。あの明かりが万丈の帰還を意味するのか、陽光の反射光であるのかは原作者である富野がはっきりした答えを提示していないこともあり、色々な見方がされている[注釈 3]。名前を思いついた富野は「全面的に行ける」として周囲に名前を言いふらし回ったと述べている[10]
三条 レイカ(さんじょう レイカ)
声 - 井上瑤本作のヒロイン。知的な魅力に溢れた美女。髪は茶色のロングヘア。元インターポール予備校の学生。第1話での事件をきっかけに万丈のアシスタントになった。ビューティとは万丈を巡ってのよきライバル同士である。射撃の腕前は中々だが、しっかり者に見えて抜けているところもある。夢見がちな部分もあるが、友人がメガノイドになったことで心を痛めたこともある。メガノイド撲滅を掲げる万丈の覚悟を受け止めており、足手まといになる事よりも万丈のために潔く死を選ぶ覚悟を持ち合わせている。戦闘用小型VTOLミスターグリーンに乗って万丈をサポートする。富野はレイカのキャラクター像を嫌っている[10]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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