無効試合
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無効試合(むこうじあい)は、スポーツの試合中に選手が何らかのルール違反を起こした場合、または何らかの原因で試合続行不能になった場合に適用されることがある措置である。

その試合中の全ての記録はなされないものとして扱われる。ただし、格闘技などで無効試合の当事者となった選手の戦績にはNC(No Contest:ノー・コンテスト)として記録される。
概要

大きく分けて、進行中の試合を審判員その他立会人の判断で打ち切る場合と、一度決着ついた過去の試合について統括組織の判断で勝敗を取り消す場合がある。

プロレスにおいては、第三者の乱入やレフェリーの負傷によって試合が収拾不能に陥った場合がほとんどであるが、ごくまれに試合が真剣になり過ぎる状態になったがために無効試合が宣告される場合がある(俗称で言う所の「ガチンコ」である。主なものとしては1986年4月29日前田日明 対 アンドレ・ザ・ジャイアント戦など)。

ボクシング総合格闘技などでは誤審や運営面の不手際、ドーピングなどの違反行為が発覚したり、公正な試合運営が不能な状況に陥った場合に無効試合の裁定が下される。一方で、偶然のバッティングで規定ラウンドより前に試合が停止した場合にも公式ルール上は無効試合とする団体もあるが、ボクシングでは無判定(No Decision)と呼ばれ、無効試合とは異なる扱いになる(日本国内では引き分け扱い)。また、総合格闘技では計量失格となった選手が勝利した場合に無効試合扱いとする団体が多い。

エキシビションを無効試合扱いで戦績に含める場合もある。

なお、タイトルマッチが無効試合となった場合は王者の防衛となるが防衛回数には数えられない。一方、無効試合となった要因が王者側にある場合は王座剥奪に至ることもある。全日本女子プロレスの主要タイトルを認定するWWWAルールでは、王者の反則負けは無効試合扱いにして王座剥奪(協会預かり)にしていた。

格闘技以外でも、何らかの理由によって公正な試合運営が不能な状況となった場合は無効試合にされることがある。サッカーの場合だと、記録・勝ち点を無効とする処置が行われる。
無効試合となった主な試合と選手

ボクシング・格闘技以外の無効試合も含める。

2023年6月24日RIZIN.43において木村"フィリップ"ミノルがロクク・ダリとキックボクシングルールで対戦、木村が1回KO勝ちを収めたが、WADA基準のドーピング検査で陽性となり筋肉増強剤の使用が判明、木村が半年前から筋肉増強剤を使用していたことを2023年9月2日に行われたRIZINの記者会見で表明、同日付で無効試合に変更した上で木村は罰金処分と半年間出場停止処分を受けた。また後日、木村が出場した2022年12月28日の巌流島と2023年3月5日のKNOCK OUTの2試合についても無効試合に変更された。

AFCチャンピオンズリーグ2020にて、新型コロナウイルス感染症の影響で数クラブが大会への参加を辞退したため、一部の試合が無効試合として扱われた。

2016年3月5日グロズヌイアフマド・アレーナで行われたWBA世界ヘビー級タイトルマッチは挑戦者のルーカス・ブラウンが王者のルスラン・チャガエフに10回2分2秒TKO勝ちを収めオーストラリア初のヘビー級王者となった。しかし試合後にVADAが実施した薬物検査でクレンブテロールに対する陽性反応が出た。さらに5月12日にブラウンの予備検体でもクレンブテロールの陽性反応が検出されたことで、WBAはブラウンからWBA世界ヘビー級王座を剥奪し6か月間の出場停止処分を科した[1]。さらに5月21日、WBA会長が「WBAのドーピング規定に則り同年3月5日に行われたルスラン・チャガエフ対ルーカス・ブラウン戦の試合結果は無効試合とします。敗者となっていたチャガエフは試合前の地位であるWBA世界ヘビー級王者に復帰することとなります。」と述べ、チャガエフ対ブラウン戦の試合結果はブラウンの10回2分2秒TKO勝ちから無効試合に変更となり、2016年6月8日に発表された2016年5月度ランキングでWBA世界ヘビー級王座はチャガエフに正式に返還されたことが確認された[2]

2015年5月1日ネバダ州ラスベガスで行われた粟生隆寛レイムンド・ベルトランは、ベルトランが2回1分29秒TKOで勝利(当初この試合はWBO世界ライト級王座決定戦として予定されていたが、前日計量でベルトランに体重超過があったため粟生が勝利した場合のみ王座獲得とされており、この結果を受け王座は引き続き空位となった)。しかし、ネバダ州アスレチック・コミッションが実施した薬物検査で違反薬物のスタノゾロールに対する陽性反応が出た為、8月13日のコミッション発表よりベルトランの勝利を取り消して無効試合とし、併せてベルトランに対してファイトマネーの30%にあたる罰金25,500ドルと9か月間の出場停止処分が科せられた。

2015年2月22日スターダム後楽園大会メインイベントのワールド・オブ・スターダム王座タイトルマッチにおいて、挑戦者の安川惡斗が王者の世IV虎に対してパンチを繰り出したことからノーガードの殴り合いに発展し、激昂した世IV虎が安川の顔面に執拗にパンチを見舞う一方的な展開となり7分45秒に安川側セコンドの木村響子和田京平レフェリーの求めに応じてタオルを投入したことでTKOで世IV虎の防衛となった。だが、流血してもなおマウントを取り攻撃を加えるという世IV虎の常軌を逸した行為およびタイトルマッチにもかかわらず一切の組み合い・技の出し合いすらないままに試合が終わるというプロレスらしからぬ決着に批判が続出した。安川は頬骨骨折などの重傷を負ったこともあり、2月25日に世IV虎の勝利を取り消しての無効試合と世IV虎の王座剥奪が発表された。

2014年1月3日IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチは、挑戦者ランセス・バルテレミーが王者アルヘニス・メンデスを2回KOで破ったが、フィニッシュブローがラウンド終了後にヒットしたため、メンデス側が猛抗議。ビデオ判定の結果、ミネソタ州アスレチックコミッションは1月30日に「バルテレミーのパンチは2ラウンド終了ゴング後」と発表し、無効試合に改めた[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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