無伴奏(むばんそう)とは、伴奏を伴わないこと、またはそのような楽曲を指す用語。通常は、伴奏を伴い演奏される単音楽器[1]・声楽[2]が、特に伴奏を伴わないことを指し、区別するために用いる。主として西洋音楽で用いられる。 無伴奏ヴァイオリン曲、無伴奏ヴァイオリンソナタも参照。 ヴィオラ・ソナタ#無伴奏ヴィオラ・ソナタも参照。 無伴奏チェロ曲も参照。 フルートで演奏される曲目#無伴奏独奏曲も参照。 オーボエ#無伴奏の独奏曲も参照。 無伴奏ソロ曲も参照。 無伴奏合唱曲はたくさんあるため、ここでは古典派以降の混声合唱曲に限定する。なお、バロック以前の作品については無伴奏で演奏可能なものも、歌う際にしばしば楽器を加えることがある。例えば、J・S・バッハのモテット「主に向かいて歌え、新しき歌を 女声合唱曲、児童合唱曲、男声合唱曲については各項目の「主な合唱曲」を参照。
主として、弦楽器の中のヴィオール属(ヴィオラ・ダ・ガンバなど)およびヴァイオリン属(ヴァイオリン、チェロなど)や、管楽器、声楽に用いられる[3]。
ピアノ、オルガンなどの鍵盤楽器や、ハープ、ギターなどの一部の弦楽器については、独奏であっても「無伴奏」という言葉はほとんど用いられない[4]。和音を奏でることが容易なこれらの楽器は、通常は伴奏を必要としないからである。
主な無伴奏作品
ヴァイオリン
テレマン - 無伴奏ヴァイオリンのための12の幻想曲 TWV 40:14?25
J.S. バッハ - 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ BWV 1001?6(ソナタ3曲とパルティータからなる)
パガニーニ - 24の奇想曲 作品1
イザイ -無伴奏ヴァイオリンソナタ 作品27(全6曲)
クライスラー - レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース 作品6
バルトーク - 無伴奏ヴァイオリンソナタ Sz. 117, BB 124
プロコフィエフ - 無伴奏ヴァイオリンソナタ ニ長調 作品115(本来はヴァイオリン斉奏(ユニゾン)のための作品)
ハチャトゥリアン - ソナタ・モノローグ
ヴィオラ
カンパニョーリ
レーガー - 無伴奏ヴィオラ組曲(第1?3番)
ストラヴィンスキー - エレジー CC 96
ヒンデミット - 無伴奏ヴィオラソナタ(全4曲:作品11-5〔1919年〕、作品25-1〔1922年〕、作品31-4〔1923年〕、作品番号なし〔1937年〕)
ハチャトゥリアン - ソナタ・ペスニャ
リリアン・フックス - 16の幻想的練習曲
チェロ
D. ガブリエリ - リチェルカーレ(第1?7番)
J.S. バッハ - 無伴奏チェロ組曲(第1?6番)BWV 1007?12
コダーイ - 無伴奏チェロソナタ 作品8
カサド - 無伴奏チェロ組曲
ブリテン - 無伴奏チェロ組曲(第1?3番 作品72、80、87)
ハチャトゥリアン - ソナタ・ファンタジア
シュニトケ - 「響く文字」
リゲティ - 無伴奏チェロソナタ
ヴィオール(ヴィオラ・ダ・ガンバ)
テレマン - 無伴奏ヴィオールのための12の幻想曲 TWV 40:26?37
フルート
テレマン - 無伴奏フルートのための12の幻想曲 TWV 40:2?13
J.S・バッハ - 無伴奏フルートのためのパルティータ イ短調 BWV 1013
ドビュッシー - シランクス L. 129
オネゲル - 牝山羊の踊り
ヴァレーズ - 密度21.5
ベリオ - セクエンツァ I
リーバーマン
武満徹 - エア
オーボエ
ブリテン - オヴィディウスによる6つのメタモルフォーゼ 作品49
クラリネット
ストラヴィンスキー - 3つの小品 CC 48
メシアン - 鳥たちの深遠(「世の終わりのための四重奏曲」より)
独唱
ケージ - アリア
ベリオ - セクエンツァIII
合唱
モーツァルト - アンティフォナ『まず神の国を求めよ』K. 86
メンデルスゾーン - 野に歌う(第1?3集 作品41、48、59)
シューマン - ロマンスとバラード(第1?4集 作品67、75、145、146。ただし第4集にはフルート、ホルンを伴う曲が1曲含まれている。)
ヴェルディ - われらの父よ
ブルックナー - アヴェ・マリア ヘ長調 WAB 6
ブラームス - 3つのモテット 作品110
サン=サーンス - 2つの合唱曲 作品68
チャイコフスキー - 聖金口イオアン聖体礼儀 作品41
ドヴォルザーク - 4つの合唱曲 作品29
グリーグ - 4つの詩篇 作品74
ドビュッシー - シャルル・ドルレアンの3つの歌 L. 92
リヒャルト・シュトラウス - 2つの歌 作品34
ヴォーン・ウィリアムズ - シェイクスピアの3つの歌
ラフマニノフ - 徹夜? 作品37
シェーンベルク - 地上の平和 作品13
ラヴェル - 3つの歌 M. 69
バルトーク - 4つのハンガリー民謡 Sz. 93, BB 99
ストラヴィンスキー - アヴェ・マリア CC 78
コダーイ - マートラの風景 K. 73
プーランク - カンタータ『人間の顔』FP 120
ショスタコーヴィチ - 10の詩曲 作品88
ブリテン - 聖セシリア讃歌 作品27
リゲティ - ルクス・エテルナ
佐藤賢太郎 - Missa Pro Pace
脚注^ ヴァイオリンなど、和音を演奏することもできるが単音で演奏するのを常態とする楽器を含む。
^ 声楽の無伴奏を、特にア・カペラと呼ぶ。
^ 例えば、「ヴァイオリンソナタ」という語は、直訳すれば「ヴァイオリンによる演奏(曲)」ということになるが、この語は通常、“ヴァイオリン”と“鍵盤楽器”(ピアノなど)の伴奏とからなる編成の楽曲に用いられる。そこで、したがって、伴奏を伴わないヴァイオリン1本だけによるソナタは、区別するために「無伴奏ヴァイオリンソナタ」と呼ぶ。
^ また、打楽器にもあまり用いられない。
関連項目
カデンツァ
重奏
Size:20 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef