無伴奏ヴァイオリンソナタ_(イザイ)
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無伴奏ヴァイオリンソナタ(フランス語: Six Sonates pour Violon Seul)作品27は、ウジェーヌ・イザイが作曲したヴァイオリン独奏のための作品。全6曲からなる。
概要

1923年夏ごろから1924年にかけて、ベルギー北部ヘット・ゾウテ(フランス語版)(西フラマン語: Het Zoute)の別荘において作曲された。ヨーゼフ・シゲティの弾くヨハン・ゼバスティアン・バッハの『無伴奏ヴァイオリンソナタ』を聴いて作曲を決意したイザイは、全6曲のスケッチを一晩で書き上げたと伝えられている。1924年に息子アントワーヌ・イザイ (Antoine Ysaye) の経営する出版社から出版され、親交のある6人のヴァイオリニスト[1]に各曲が献呈された。

当時のイザイは、第一次世界大戦中に活動の中心を置いていたアメリカから帰欧し、健康上の問題もあって作曲と教育に専念し始める時期であった。イザイがそれまで接してきたあらゆるヴァイオリン音楽の集大成という意味も持つ作品であり、無伴奏ヴァイオリンのための名曲として多くの奏者が演奏、録音を行っている。演奏には音楽的、技巧的ともに非常に高度なものが要求され、1937年のイザイ国際コンクール[2](のちのエリザベート王妃国際音楽コンクール)をはじめとして、コンクールの課題曲として採用されることも多い。

2018年に、イザイの遺した手稿からハ長調の未完成のソナタが新しく発見された。曲集の「第6番」として計画されたが第3楽章の途中で放棄され、現行の第6番が新しく書かれたため未発表になっていたものである。フィリップ・グラファン(英語版)が初演を行い、グラファンは補筆も行っている[3]
楽曲

全6曲からなり、演奏会や録音においては1曲ずつを抜き出して演奏することもあれば、全曲を演奏する場合もある。初版譜は1曲ずつのピース譜として出版され、後に一冊に編集して再発されている。
第1番 ト短調

ヨーゼフ・シゲティに献呈。全4楽章で、演奏時間は16分程度。調性の選択や楽章の構成、また楽想においてバッハの『ソナタ第1番』との類似が指摘される。6曲の中でも特にポリフォニックな構造が際立った作品であり、難曲として知られる。

第1楽章 グラーヴェ(Grave)レント・アッサイ、ト短調、3/4拍子。力強い四重音で始まり、半音階的な、苦悶するような旋律が紡がれていく間に、即興的なパッセージがさし挟まれる。冒頭の主題が再現されると、スル・ポンティチェロトレモロによる不気味なコーダが締めくくる。

第2楽章 フガート(Fugato)モルト・モデラート、ト短調、2/4拍子。2声のフガートだが特に厳格なものではなく、バッハの無伴奏ソナタにおけるフーガと同様に、主題を対位法的に扱う部分と技巧的なパッセージとが交代する構成をとる。主題の最後の再現では六重音も現れる。

第3楽章 アレグレット・ポコ・スケルツォーソ(Allegretto poco scherzoso)アマービレ、変ロ長調、3/8拍子。穏やかな間奏曲。中間部は単音のパッセージに縁取られ、ト短調に始まって調性が変転する。

第4楽章 フィナーレ・コン・ブリオ(Finale con brio)アレグロ・フェルモ(Allegro fermo、不動の速さで)、ト短調、3/8拍子。ジーグパスピエを思わせるリズムによる重厚なフィナーレ。重音が特に多用される。

第2番 イ短調

ジャック・ティボーに献呈。全4楽章で、演奏時間は12分前後。グレゴリオ聖歌怒りの日」が循環主題として用いられている。

第1楽章 妄執(Obsession)ポコ・ヴィヴァーチェ、イ短調、3/4拍子。バッハの『パルティータ第3番ホ長調[4]、前奏曲からの引用が軽やかに奏されるが、"brutalement"(荒々しく)と記されたパッセージですぐに断ち切られる。それが何回か繰り返された後、無窮動的なアルペジオの連続の中から「怒りの日」が浮かび上がる。題名はすなわち、「血と汗を流しながら、巨人に押しつぶされそうな思いで」「脱け出そうとしました」[5]とイザイが語ったバッハへの「妄執」を表わすと解されている。ヴァイオリン書法はバッハの前奏曲に近づけられている。

第2楽章 憂鬱(Malinconia)ポコ・レント、ホ短調、6/8拍子。楽章を通して弱音器が付けられ、シチリアーノ風のリズムで二声が自由に歌う。終結部ではドローン風の低音に乗って『怒りの日』が「自由に」(ad lib.)奏される。


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