点火プラグ
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「スパークプラグ」はこの項目へ転送されています。クレイジーケンバンドのアルバムについては「Spark Plug」をご覧ください。

この項目では、内燃機関の点火プラグについて説明しています。暖房器などの燃焼機器における点火装置については「イグナイター」をご覧ください。

点火プラグ(てんかプラグ)は、予混合燃焼式内燃機関において混合気点火する装置である。電気的に火花(スパーク)を発生させる方式のものはスパークプラグ (: Spark plug)、電熱線または燃焼熱によって金属を赤熱(グロー)させる方式のものはグロープラグとも呼ばれる。プラグと略してよばれる場合もある。

プラグは栓を意味する言葉であり、戦前から戦後間もなく頃までは点火栓(てんかせん)の純日本語訳も用いられていた。レシプロエンジンを搭載する航空機業界では今日でも時折使われる事がある言葉でもある[1]NGK製の接地電極1極式の点火プラグ。
+側ターミナルにキャップが付いた状態。NGK製の接地電極2極式の点火プラグ。
+側ターミナルのキャップを外した状態。
概要

点火プラグは予混合燃焼式内燃機関において、燃焼室に満たされた混合気に電気放電や赤熱した金属によって点火することにより、燃焼サイクルのきっかけを作る装置である。点火プラグが固定されるのはエンジンに設けられたプラグホールと呼ばれる穴で、シリンダー外部から燃焼室まで貫通している。点火プラグはプラグホールに栓をするように固定され、一端はシリンダー外部から電気を受け取り、もう一端はシリンダー内で放電あるいは発熱する。したがって、シリンダー内の燃焼熱や爆発圧力に耐えながら、火炎や圧力が燃焼室から漏れないように保つ構造を持つ。
スパークプラグ典型的な4ストロークDOHCピストンエンジンの概念図。(E) 排気カムシャフト、(I) 吸気カムシャフト、(S) 点火プラグ、(V) バルブ、(P) ピストン、(R) コネクティングロッド、(C) クランクシャフト、(W) 冷却水が通るウォータージャケット

航空機や一部の自動車などを除き、レシプロエンジン(ガソリンエンジン)では基本的に1つのシリンダーに1本の点火プラグがあり、適切な隙間を設けた電極間に高電圧をかけることで火花放電を起こし、圧縮された混合気に点火する。点火プラグに供給される電圧はイグニッションコイルマグネトーで発生させ、点火プラグの中心電極をイグニッションコイル等に接続し、接地電極(もしくは側方電極)をエンジンのシリンダーヘッドカバーに接触させてアースとしている。イグニッションコイルからの電圧はプラグコードを介して供給される場合や、複数のシリンダーを持つエンジンではディストリビューターによって通電タイミングを定めている場合があるほか、イグニッションコイルが点火プラグに直接接続される場合もある。航空機用レシプロエンジンでは、失火によるエンジンストールを防止するために1シリンダに2本のスパークプラグ(ツインプラグ(英語版))がある。2本の点火プラグには別系統のマグネトーから電力が供給される。自動車やオートバイでも燃焼効率を上げる目的などで同様の形態をとるものがある(日産・Z型エンジンホンダ・シャドウなど)。また、ヴァンケル型ロータリーエンジンでは点火時の気室が2部屋に分かれたような形状であるため、1ローターあたり2本の点火プラグを持つ。

中心電極と接地電極間の隙間はプラグギャップと呼ばれる。シリンダー内の混合気は絶縁体であるため電圧が低いと電極間に電流が流れることはないが、高電圧が印加されると混合気に絶縁破壊が起こり放電する。イグニッションコイルから供給される電圧は通常、10,000 - 30,000 Vの電圧である[2]

放電により生じた火花通路の温度は60,000 ケルビン (K)に達して混合気に点火し、発生した小さな炎の玉から次第にシリンダー全体に燃焼反応が伝播していく[3]。点火直後の火の玉の大きさはプラグギャップ内にある混合気の濃度や燃焼室内で発生する気流の乱れ強度に依存し、火の玉が小さいとエンジンは点火タイミングが遅れたような挙動を示し、大きいと点火タイミングが進んだような挙動を示す[3]

日本では日本特殊陶業 (NGK) とデンソーが製造しており、NGKが国内シェアの7割ほどを占める最大手となっている[4]。かつては日立製作所も製造しており、1960年代には10%弱の市場シェアを持ち[4]、積極的な技術開発も行われていたが[5]、現在では撤退している。モータースポーツ用途ではApexBLITZデイトナ(マックスファイア)HKSNISMOラリーアートSARDSTIスズキスポーツトムスTRDTRUST等が自社ブランドで販売を行っており[6]、更に小規模なアフターマーケットパーツメーカーでは東亜システムクリエイトも燃費向上グッズとしての扱いで製造を行っている[7]

日本国外では、米国のチャンピオンデルコ・エレクトロニクス、ドイツのロバート・ボッシュ、チェコのブリスク[8]、イギリスのロッジ(英語版)、フランスのエイケム(フランス語版)、中国の湘火炬(TORCH)(英語版)などが製造している。
歴史.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

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出典検索?: "点火プラグ" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2013年12月)

1777年に、イタリアのアレッサンドロ・ボルタが、スパークによる燃料への着火を提唱。スイスのフランソワ・イザック・ドゥ・リヴァ(英語版)が1807年に、内燃機関用として提唱し、これがスパーク=イグニッション・エンジンの源となる。実際に製作したのは、フランスのジャン=ジョゼフ・エティエンヌ・ルノアールで、1876年のことだった。商用の観点からは、ロバート・ボッシュ社の技術者ゴットロープ・ホノルト(英語版)が1902年にマグネトー型点火システムの一部として高電圧スパークプラグを開発したことが、その後のスパーク=イグニッション・エンジンの発展を促した。

年表

1777年:ボルタがスパークによる燃料への着火を提唱

1807年:ドゥ・リヴァが内燃機関用に提唱

1876年:ルノアールが発明


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