静脈注射
治療法
静脈ライン(静脈路)からボーラス注射を受けている。
シノニム点滴
ICD-9-CM
静脈注射(じょうみゃくちゅうしゃ、英: intravenous injection、英略語: IV[1])は、静脈に直接水分や薬物、栄養素等を投与する医療技術である。意識レベルの低下などにより、経口(英: per os、英略語: p.o.)(英語版)で食物や水を摂取できない、あるいは摂取しようとしない人への水分・栄養補給に用いられる投与経路のひとつである。また、血液製剤や電解質異常を是正するための電解質など、薬物投与やその他の治療にも使用される。投与速度や投与機器により、速い順にポンピング、ボーラス注射(単に注射とも)、点滴静脈注射、持続注入に分類される。本稿では、静脈注射に関わる事物について概説する。 静脈内投与は、薬剤や補液(英語版
概要
カテーテルの終点が心臓に近い太い静脈であれば「中心静脈ライン」、腕など末梢の細い静脈であれば「末梢静脈ライン」に分類される。カテーテルは末梢静脈から心臓の近くまで通すこともでき、これは末梢挿入型中心静脈カテーテル(英語版)または略称でPICCラインと呼ばれる。長期的な点滴治療が必要な場合は、静脈に何度も穴を開けなくても静脈に何度も簡単にアクセスできるように、ポートを埋め込むこともある。また、カテーテルを胸部から距離の離れた首の静脈や鎖骨の下の静脈に挿入することもあり、これは皮下トンネルという。使用するカテーテルの具体的な種類と挿入部位は、投与したい物質と挿入希望部位の静脈の健康状態に左右される。
静脈へのカテーテルの挿入は、必然的に皮膚に穴を開けることになるため、痛みを伴うことがある。感染症や炎症(静脈炎(英語版)と呼ばれる)も、一般的な副作用である。静脈炎は、同じ静脈を繰り返し静脈注射に使用する場合に起こりやすく、最終的には静脈が注射に適さない硬い索状物になることもある。静脈外への治療薬の意図しない投与は、点滴漏れと呼ばれ、他の副作用を引き起こすことがある。
静脈注射の試みは、1400年代にはすでに記録されていたが、広く行われるようになったのは、安全で効果的な使用法が開発された1950年代になってからであった。1900年代初頭に、静脈からの輸液や薬剤の注射による治療効果が確かめられ、1950年代にカテーテルの血管内留置手技と必要な器材が確立された。静脈内カテーテルは有効な医学的治療手段であり続けたが、カテーテルの刺入部や三方活栓は細菌の増殖・侵入経路でもある。従って、近年は三方活栓そのものや三方活栓のフタを廃した感染リスクの低い点滴セット(クローズドシステム)が用いられるようになってきている。.mw-parser-output .toclimit-2 .toclevel-1 ul,.mw-parser-output .toclimit-3 .toclevel-2 ul,.mw-parser-output .toclimit-4 .toclevel-3 ul,.mw-parser-output .toclimit-5 .toclevel-4 ul,.mw-parser-output .toclimit-6 .toclevel-5 ul,.mw-parser-output .toclimit-7 .toclevel-6 ul{display:none} 静脈路確保の最も単純な方法は、注射針を皮膚から直接静脈に刺す方法である。この針に注射器を直接接続することで、「ボーラス投与」、すなわち、薬剤の単回急速投与が可能になる。あるいは、カテーテルを留置してからチューブに接続し、点滴を行うこともできる[2]。?静脈路の種類と場所(すなわち、中心ラインか末梢ラインか、どの静脈にラインを留置するか)は、末梢静脈への循環を制限する末梢血管収縮を引き起こす薬剤であるかどうかによって影響を受ける[3]。 金属製の針ではなく、合成樹脂製の柔らかいカテーテル(又はカニューレ
器材
注射針と先端キャップ、先端の拡大写真。
末梢静脈カテーテル。左端から太い順に16ゲージ、18ゲージ、20ゲージ、22ゲージ、24ゲージとなる。薄く柔軟なカテーテルの中に金属針が格納されている。血管穿刺時は金属針とカテーテルが共に血管内に送り込まれ、金属針は抜去される。
注射針
カテーテル・カニューレ18ゲージ末梢静脈カテーテルを挿入する看護師。上腕は駆血帯で縛って静脈を浮き出させている。