この項目では、化学物質の炭酸について説明しています。炭酸の入った水は「炭酸水」、サイダー、コーラなどの炭酸の入った清涼飲料水については「炭酸飲料」をご覧ください。
炭酸
IUPAC名
Carbonic acid
炭酸
別称二酸化炭素溶液
Dihydrogen carbonate
acid of air
Aerial acid
Hydroxymethanoic acid
識別情報
CAS登録番号463-79-6
n/a
水への溶解度溶液中にのみ存在
酸解離定数 pKa6.352 (pKa1)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。
炭酸(たんさん 英: carbonic acid)は、化学式 H2CO3 で表される炭素のオキソ酸であり弱酸の一種である。 普通は水溶液(炭酸水)中のみに存在し、水に溶解した二酸化炭素の一部が水分子と反応して炭酸となる。 CO 2 ( aq ) + H 2 O ( l ) ↽ − − ⇀ H 2 CO 3 ( aq ) {\displaystyle {\ce {CO2(aq)\ +H2O(l)\ <=>\ H2CO3(aq)}}} この反応の平衡定数 (Kh) は 25 ℃で 1.7 × 10−3 であり[1]、著しく左に偏っているため水溶液中の二酸化炭素の大部分は CO2 分子として存在する。触媒が存在しない場合、二酸化炭素と炭酸の間の反応が平衡に達する速度は低く、正反応の速度定数は 0.039 s−1、逆反応の速度定数は 23 s−1 である。 二酸化炭素と炭酸の平衡は体液の酸性度を調節する上で非常に重要であり、ほとんどの生物はこれら2つの化合物を変換させるための炭酸脱水酵素を持っている。この酵素は反応速度をおよそ10億倍[要出典]にする。 炭酸は水溶液中で2段階の解離を起こす。25 ℃における酸解離定数は1段階目が pKa1 = 3.60、2段階目が pKa2 = 10.25 であり、炭酸は真の解離定数において酢酸よりも強い酸であるが、上記の二酸化炭素との平衡が存在するために、見かけ上の pKa* が高い非常に弱い酸である。このため炭酸塩は相応の塩基性を示し、灰汁として古代より日常生活のアルカリとして洗浄などに活用されてきた。 H 2 CO 3 ( aq ) ↽ − − ⇀ HCO 3 − ( aq ) + H + ( aq ) {\displaystyle {\ce {H2CO3(aq) <=> HCO3^{-}(aq) + H^+(aq)}}} HCO 3 − ( aq ) ↽ − − ⇀ CO 3 2 − ( aq ) + H + ( aq ) {\displaystyle {\ce {HCO3^{-}(aq) <=> CO3^{2-}(aq) + H^+(aq)}}} K a 1 = [ H + ] [ HCO 3 − ] [ H 2 CO 3 ] = 2.5 × 10 − 4 {\displaystyle K_{a1}={\frac {[{\mbox{H}}^{+}][{\mbox{HCO}}_{3}^{-}]}{[{\mbox{H}}_{2}{\mbox{CO}}_{3}]}}=2.5\times 10^{-4}} 酸解離に関する標準エンタルピー変化、ギブス自由エネルギー変化、エントロピー変化の値が報告されており[2]、解離に伴いエントロピーの減少がおこるのは、電荷の増加に伴いイオンの水和の程度が増加し、電縮
性質