炭酸カルシウム
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炭酸カルシウム


識別情報
CAS登録番号471-34-1
ChemSpider9708
E番号E170 (着色料)
特性
化学式CaCO3
モル質量100.087 g/mol
外観白色の粉末
密度2.711 g/cm3(カルサイト
2.93 g/cm3(アラゴナイト
2.54 g/cm3(ヴァテライト
融点

825 °C(分解)
1339 °C(102.5気圧
沸点

分解
への溶解度0.00015 mol/L (25 °C)
0.013 g/L (25 °C)[2][3]
溶解度平衡 Ksp3.3×10?9[1]
構造
結晶構造三方晶系(カルサイト)
直方晶系(アラゴナイト)
六方晶系(ヴァテライト)
分子の形直線形
熱化学
標準生成熱 ΔfHo?1206.92 kJ mol?1(方解石)
?1207.13 kJ mol?1(霰石)[4]
標準モルエントロピー So92.9 J mol?1K?1(方解石)
88.7 J mol?1K?1(霰石)
標準定圧モル比熱, Cpo81.88 J mol?1K?1(方解石)
81.25 J mol?1K?1(霰石)
危険性
主な危険性無し
NFPA 704000
RフレーズR36, R37, R38
SフレーズS26, S36
引火点無し
関連する物質
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炭酸ベリリウム

炭酸マグネシウム

炭酸ストロンチウム

炭酸バリウム

炭酸リチウム

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

炭酸カルシウム(たんさんカルシウム、calcium carbonate)は、組成式 CaCO3 で表されるカルシウム炭酸塩である。

貝殻サンゴの骨格、鶏卵の殻、石灰岩大理石鍾乳石、白亜(チョーク)、方解石アラレ石の主成分で、貝殻を焼いて作る顔料胡粉と呼ばれる。土壌ではイタリアテラロッサに含まれる。
製法

実験室では、水酸化カルシウム水溶液に二酸化炭素を吹き込むことで合成する(石灰水による二酸化炭素の検出原理)。 Ca ( OH ) 2 + H 2 CO 3 ⟶ CaCO 3 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {Ca(OH)2 + H2CO3 -> CaCO3 + 2H2O}}}

あるいは塩化カルシウム等の可溶性カルシウム塩水溶液と炭酸ナトリウム等の可溶性炭酸塩水溶液を混合させることで合成する(溶液法あるいは可用性塩反応法)。 Ca 2 + ( aq ) + CO 3 2 − ( aq ) ⟶ CaCO 3 {\displaystyle {\ce {Ca^{2+}(aq) + CO3^{2-}(aq) -> CaCO3}}}

産業的には「炭カル(タンカル)」と通称され、石灰石を粉砕・分級した重質炭酸カルシウム(天然炭酸カルシウム、GCC; ground calcium carbonate)と化学反応で微細な結晶を液中で析出させた軽質炭酸カルシウム(合成炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、PCC; precipitated calcium carbonate)に分類される。

軽質炭酸カルシウムは、

(1) 焼結: 石灰石を高温で焼成することで脱炭酸し、酸化カルシウムを得る CaCO 3 ⟶ CaO + CO 2 {\displaystyle {\ce {CaCO3 -> CaO + CO2}}}

(2) 水化: 生石灰を十分な量の水と反応させ、石灰乳(水酸化カルシウム)を得る CaO + H 2 O ⟶ Ca ( OH ) 2 {\displaystyle {\ce {CaO + H2O -> Ca(OH)2}}}

(3) 炭酸化(化合): 焼成時に発生した炭酸ガスを石灰乳に導入し、液中で炭酸カルシウムを析出させる Ca ( OH ) 2 + H 2 CO 3 ⟶ CaCO 3 + 2 H 2 O {\displaystyle {\ce {Ca(OH)2 + H2CO3 -> CaCO3 + 2H2O}}}

ことで製造される。焼成時に発生した炭酸ガスを再利用する製法は、開発者である白石恒二(白石工業・創立者)の名に因んで特に白石法と呼称される[5]。他方、欧米では溶液法によって生産されることもある。
利用

錠剤の基材、チョーク窯業農薬[6]肥料飼料などに用いられる他、填料としてゴムプラスチック接着剤シーラント塗料インキなど広範な工業分野で利用されている[7]。製紙では塗工紙向け顔料のほか、炭酸カルシウムを主原料にした紙も日本で開発されている[8]研磨作用を利用し消しゴム歯磨剤にも配合される。

化粧品原料、食品添加物としても使用が認められている。食品添加物としては栄養強化(カルシウム強化)を目的として乳飲料即席麺等に添加される他、食感改善を目的として菓子パン[9]水産練り製品[10]等に添加される。

医薬品としては、維持透析中の慢性腎不全患者の高リン血症に対して[11]、ないしは胃酸過多に対して制酸剤として用いられる[12]


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