この項目では、栄養素について説明しています。その他の用法については「ミネラル (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ミネラル(mineral)は、一般的な有機物に含まれる4元素(炭素・水素・窒素・酸素)以外の必須元素である。無機質、灰分(かいぶん)などともいう。蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミンと並び五大栄養素の1つとして数えられる。
日本では13元素(亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・モリブデン・ヨウ素・リン)が健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として厚生労働省により定められている[1]。しかし、技術の進歩によって、人体には亜鉛よりも多量のケイ素や銅よりも多量のルビジウムやストロンチウムが含まれている[注釈 1]ことが立証されていること、英語の「Mineral」は「鉱物」という意味で塩素やヨウ素などは含めにくいこと、必須微量元素であるかないかの立証は難しいこと[注釈 2]、などの問題から厳密な定義はない。ヒトにとって13元素以外ですでに国際的に合意が形成されているイオウ(硫黄)・塩素・コバルトを除き、ニッケル・カドミウム・リチウム・ゲルマニウム・臭素・バナジウム・鉛・アルミニウム・フッ素・ホウ素・ヒ素など必須元素であるかの議論が行われている[2]。
生物の種類や性別、成長段階によって必要な種類や量は異なる。すべての要素は適度な量を摂ることが良く、欠乏症だけでなく過剰摂取も病気の原因ともなる。ミネラルは人の体内で作ることはできないため、毎日の食事から摂取する必要がある。 以下の元素が食事摂取基準によって一定量の摂取に努めることが必要なミネラルであると規定されている。 ただしヒトにとっての必須ミネラルにはこれ以外にはっきり分かっているだけでも必須常量元素としてイオウ(硫黄)と塩素があり、必須微量元素としてコバルトがある。[2] 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書[5]に基く、成人(18歳以上)のミネラルの摂取基準量(単位mg/日)範囲。 多量ミネラル推定平均必要量推奨量目安量目標量耐容上限量機能等
必須ミネラル
多量ミネラル[3]
カリウム
ナトリウム
リン
カルシウム
マグネシウム
微量ミネラル[4]
亜鉛
マンガン
銅
ヨウ素
セレン
モリブデン
クロム
鉄
食事摂取基準に含まれるミネラル
日本人の食事摂取基準に含まれるミネラル
この摂取量は、全て各性・年齢区分における参照体位を想定した値である。参照体位と大きく異なる体位を持つ個人又は集団に用いる場合には注意を要する。また、栄養素については、身体活動レベルII(ふつう)を想定した値である。この身体活動レベルと大きく異なる身体活動レベルを持つ個人又は集団に用いる場合には注意を要する。
カリウム--2000?25002600?3000以上-細胞内液の主要な陽イオンとして体液の浸透圧や酸・塩基平衡を調節する。神経や筋肉の興奮伝達に関与する。上限量は定められていないが、慢性腎臓病で血清カリウム値5.5mEq/L以上の場合は摂取制限が必要。
ナトリウム600--2600?3000未満-細胞外液の主要な陽イオンとして体液の浸透圧や酸・塩基平衡を調節する。