火力発電
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.mw-parser-output .pathnavbox{clear:both;border:1px outset #eef;padding:0.3em 0.6em;margin:0 0 0.5em 0;background-color:#eef;font-size:90%}.mw-parser-output .pathnavbox ul{list-style:none none;margin-top:0;margin-bottom:0}.mw-parser-output .pathnavbox>ul{margin:0}.mw-parser-output .pathnavbox ul li{margin:0}発電 > 火力発電火力発電所ポーランドのベウハトゥフ発電所(英語版)は欧州最大の石炭火力発電所である。

火力発電(かりょくはつでん)は、化石燃料石油石炭天然ガス)やバイオマス(木質燃料廃棄物)などの反応から得られる熱エネルギー電力へ変換する発電方法の一つである。火力発電を行う施設を火力発電所という。

水力発電に比べて建設費が安い、電源立地の自然的条件の制約が少ない、大容量機設置ができる、大消費地に近接した地点で建設できるので電力輸送の際の損失が少なくてすむのが利点。一方で、温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)ほか、大気汚染の原因になる。燃料の種類により、窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)といった有害物質を多量に排出する。運転費が大きいという欠点もある[1]

CO2や大気汚染物質の排出量を抑えるため、化石燃料に他の燃料を混ぜて燃焼させる技術も開発されている(アンモニア[2]木質ペレット[3])。
分類

現在広く利用されている火力発電の方式には、大きく分けて汽力発電、ガスタービン発電、コンバインドサイクル発電、内燃力発電の4種類がある[4]
汽力発電
燃料をボイラーで直接燃焼し、高温・高圧の蒸気を発生させ、蒸気タービンを回して発電する方式[4]。石油、天然ガス、高炉ガス、石炭、コークス、木質チップなど多種多様の燃料を使用することができる。直接燃焼式のバイオマス発電や廃棄物発電もこの発電方式である主蒸気の温度や圧力により変わるが、発電端熱効率は35-45%程度(LHV)である狭義の汽力発電は燃料燃焼による火力発電のみを指すが、広義には原子力発電地熱発電太陽熱発電も含まれる
ガスタービン発電
空気圧縮機で圧縮空気を作り、燃焼器で燃料を燃焼させ、発生した高温・高圧の燃焼ガスを直接ガスタービンに吹き付けて発電する方式[4]。高速回転するガスタービンに直接燃焼ガスを吹き付けるため、天然ガスや不純物の少ない軽質燃料(軽油や灯油など)しか使用することが出来ない[4]。ガスタービン単独での発電端効率は40%未満であることから[5]、単独で常用されることは少なく、汽力発電と組み合わせたコンバインドサイクル発電や、非常用発電として使用されることが多い。
コンバインドサイクル発電(CC:Combined Cycle)
内燃機関の排熱で汽力発電を行う複合発電の方式。内燃機関としては主にガスタービンが使用され、この場合はガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC:Gas Turbine Combined Cycle)と呼ばれる[6]。 ガスタービンを回した後の排気は500?600程度と高温であることから、ガスタービン排気の熱を回収する排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)を下流に設置し、蒸気を作って蒸気タービンを駆動させる。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせることにより、発電端熱効率を50-60%程度(LHV)にまで高めており、日本の西名古屋火力発電所で世界最高効率である63%(LHV)を達成している[7]。また、2023年現在、三菱重工の最新鋭J形ガスタービンを適用したプラントの発電効率は、世界最高水準を更新して64%以上を達成している[8]
内燃力発電
内燃機関で燃料を燃焼させて発電機を駆動させる方式[9]ガスタービンエンジン式とレシプロエンジン式に大別されるが、内燃力発電所といった場合には後者を指すことが一般的である。レシプロエンジンとしてはディーゼルエンジンやガスエンジン、ガソリンエンジンなどが用いられている。軽油重油液化石油ガス(LPガス)、天然ガスなど多種類の燃料を用いることが出来る。島嶼用の発電設備として広く使用されており、出力は数十kWの小規模なものから1万kW程度の中容量のものまで様々ある[9]。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}汽力発電の模式図
ボイラの燃焼熱で給水を蒸気に変え、蒸気タービンを回して発電を行うガスタービン発電の模式図
燃料ガスを燃焼器で燃焼させ、燃焼ガスでガスタービンを回して発電を行うコンバインドサイクル発電(GTCC)の模式図
ガスタービン排気を排熱回収ボイラ(HRSG)に通し、給水を蒸気に変えて蒸気タービンも回して発電を行う内燃力発電(レシプロエンジン)の模式図
燃料の燃焼でピストンを上下運動させ、クランクシャフトを介して発電機を回す

また、次世代型火力発電や補助発電として次のようなものが研究、開発されており、実証試験が行われているものもある。
燃料電池発電
燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する発電である。使用温度により固体高分子形(PEFC)、リン酸形(PAFC)などの低温型燃料電池と溶融炭酸塩形(MCFC)、固体酸化物形(SOFC)などの高温型燃料電池に分類される。この内、高温型の固体酸化物燃料電池(SOFC)をガスタービン・コンバインドサイクル発電に組み込むトリプル複合発電の実証試験が検討されている。
石炭ガス化複合発電(IGCC : Integrated coal Gasification Combined Cycle)
石炭をガス化し、ガスタービン・コンバインドサイクルで発電を行う方式。天然ガスより埋蔵量の多い石炭で、従来型の汽力発電方式に比べて更なる発電効率向上を目指したシステムである。実証試験プラントでの試験は成功し、国内では2013年より勿来発電所10号機で商用プラントの運転が始まった[10]ほか、大崎発電所においても、2017年より酸素吹IGCC実証機が稼働している。
トリプル複合発電
ガスタービン・コンバインドサイクル発電と固体酸化物燃料電池(SOFC)を組み合わせた複合発電方式である。天然ガスを燃料とした場合の発電端熱効率は66%(HHV)に達する。石炭ガス化複合発電(IGCC)と組み合わせたものは特に石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC:Integrated coal Gasification Fuel Cell combined cycle)と呼ばれる。IGFCは究極の高効率石炭火力発電方式と言われ、現状の石炭火力発電(汽力発電方式)を大きく上回る発電端熱効率(HHVで55%程度)が期待でき[11]、石炭資源のより効率的な利用が可能となる。2021年度より大崎発電所にて実証試験プラントでの試験が計画されている[12]
バイオマス発電
バイオマスを利用する発電である。利用形態として直接燃焼する汽力発電方式と、バイオマスをガス化してからガスタービン・コンバインドサイクル発電へ利用する方式がある。現在の主流方式は前者であるが、後者も徐々に利用が広がっている。
水素タービン発電
燃料に水素 ガスを利用したガスタービン発電またはガスタービン・コンバインドサイクル発電である。水素ガスと天然ガスを混合燃焼させる方式と水素ガス100%の方式がある。
熱電発電
金属中の温度差により起電力が生じるゼーベック効果を利用した発電である。燃焼ガスの最終排気や復水器の冷却水など低温で利用しにくい排熱の回収方法として、火力発電の補助発電への組み込みが考えられている。
MHD発電
高温のプラズマを発生させ、ファラデーの電磁誘導の法則を利用して発電する。石炭ガス化複合発電(IGCC)の模式図
固形燃料である石炭をガス化炉でガス化し、その燃料ガスを使ってガスタービン・コンバインドサイクルで発電を行う。ガス化炉下流の熱交換器にも排熱回収ボイラ(HRSG)の給水を通して熱効率を高めている。石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)の模式図


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