瀬戸内海(せとないかい)は、本州西部、四国、九州に囲まれた日本最大の内海で面積は2万3,203km2である。 700以上の島がある多島海であり、海岸線の総延長は約7,230kmに及び[1]、山口県、広島県、岡山県、兵庫県、大阪府、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県、大分県、福岡県がそれぞれ海岸線を持つ。これら沿岸府県の人口は2023年時点で2900万人に達し、日本人口の4人に1人が、瀬戸内海沿岸に居住していることになる。 沿岸地域を含めて瀬戸内(せとうち)とも呼ばれるが、それは瀬戸内海の名称源ではなく、瀬戸内海は「瀬戸の内海」の意である。古来、畿内と九州を結ぶ西日本の主要航路として栄えた。周囲の気候は瀬戸内海式気候と呼ばれ、温暖で雨量が少ない。 東西に450km、南北に15-55 km、平均水深:約38m[1]、最大水深:約105m(豊予海峡および鳴門海峡)。内海である瀬戸内海は複数の島嶼群を擁し、豊かな生態系を持つことで知られている。医師であり博物学者であったシーボルトを始めとして数多くの欧米人から高く評価された景勝地であり、現代では瀬戸内海国立公園に指定されている[2]。 19世紀後半の1860年、日本では明治維新直後に瀬戸内海を訪れた、シルクロードの命名者でもあるドイツ人地理学者フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは『支那旅行日記』で「これ以上のものは世界のどこにもないであろう」と世界中に紹介した[3]。今もなお風光明媚な風景として絶賛される地域である[注釈 1][5]。 国際水路機関(IHO)が1953年に発行した『大洋と海の境界』において、瀬戸内海は英語版で「Seto Naikai or Inland Sea」、仏語版で「Mer Interieure:Seto Naikai」と表記され、その範囲は次のように定義されている[6][7]。
概要
海域
IHOが定める範囲
西端 - 下関海峡において、名護屋岬
東端 - 紀伊水道において、田倉崎と淡路島の生石鼻、同島の塩崎と大磯崎を結ぶ線。
南端 - 豊後水道において、佐田岬と関崎を結ぶ線(豊予海峡)。
法令が定める範囲領海法による瀬戸内海の範囲[注釈 2]瀬戸内法と瀬戸内法施行令による瀬戸内海の範囲[注釈 3]
瀬戸内海の海域は法令の目的ごとに扱い方が異なり複数の法令で範囲が定義されている。
以下の引用文は一部漢数字を算用数字に直すなどしている。
領海及び接続水域に関する法律施行令(領海法施行令)第1条
一 紀伊日ノ御埼灯台[注釈 4]から蒲生田岬灯台[注釈 5]まで引いた線
二 佐田岬灯台[注釈 6]から関埼灯台[注釈 7]まで引いた線
三 竹ノ子島台場鼻[注釈 8]から若松洞海湾口防波堤灯台[注釈 9]まで引いた線
※国際的にはこの範囲が瀬戸内海とみなされる。※西端は関門海峡の西端である。関門海峡の全域と洞海湾は瀬戸内海に含まれる。
瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)第2条第1項
次に掲げる直線及び陸岸によつて囲まれた海面並びにこれに隣接する海面であつて政令で定めるものをいう。
一 和歌山県紀伊日ノ御埼灯台から徳島県伊島及び前島を経て蒲生田岬に至る直線