激変星
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赤い恒星(左)のガスが白色矮星に流れ込み降着円盤を形成している様子(想像図)

激変星[1](げきへんせい)(cataclysmic variable[1][2])は、変光星の大きな分類の一つ。激変変光星、激変型変光星ともいう[3]

短期間(長くて数日)に極度に増光し、その後ゆるやかに減光する。それを1度きり起こすか、不規則な周期で繰り返す。

超新星以外は白色矮星を含む近接連星系であり、Ia型超新星も白色矮星を含む近接連星系である。多くの場合、降着円盤が変光に関わっている。
種類

GCVSでは新星、新星状変光星、反復新星、超新星、矮新星、アンドロメダ座Z型変光星を激変星に分類している[2]。一方、新星、新星状変光星、反復新星、矮新星、りょうけん座AM型星、ポーラーと分類する場合もある[4]
新星 (N)

新星 (Nova) /古典新星 (Classical nova) は、もともとそこにあった暗い星が、数日で数万倍の明るさに達する天体である(新しい星が誕生したわけではない)。等級でいうと8等から15等の増光幅を持つ。増光後は数10日から数100日かけて減光していく。

新星の正体は、白色矮星(主星)と赤色星(伴星)から成る近接連星系であると考えられている。赤色星から白色矮星に向かって流れ落ちる物質が、白色矮星のまわりを円盤のように取り囲み降着円盤を形成する。白色矮星の表面には降着円盤を通じて物質が降り積もっていく。降り積もった物質は、白色矮星の強い表面重力によって熱核暴走反応が起こり、降り積もった物質を吹き飛ばし、劇的に明るさが増大する。反復新星と増光のメカニズムは同じであるが、増光から次の増光までのタイムスケールが異なる(古典新星:数万年から数百万年, 反復新星:百年以下)。そのため古典新星の増光は基本的にワンイベントと考えるのが一般的である。

新星は減光のスピードによって分類がなされている。減光スピードが速い(NA)、遅い(NB)、非常に遅い(NC、共生新星)に大別される。

またスペクトルからも分類できることが知られている。主に鉄のラインが卓越するものと、He/Nが卓越するものに大別される。また新星の減光速度と極大時の絶対等級には相関があることが経験的に知られており (MMRD; Maximum Magnitude / Rate of Decline)、この関係から新星までの距離を推定することができる。
主な新星

いて座V4743星 - 5.0等星から16.8等星の範囲を変光する。

ほ座V382星 - 2.66等星から16.4等星の範囲を変光する。

はくちょう座V1500星 - 極大等級は1.7等、極小等級は21等以下
[5]

いるか座HR星 - 3.7等星から12等星の範囲を変光する[5]

反復新星 (NR)

反復新星[6](回帰新星[7]、再帰新星[7]、recurrent nova[7][6])は、2回以上の新星爆発が観測されたものを指し、10例ほど観測されている。代表的なものとして、らしんばん座T星 (T Pyx)、さそり座U星 (U Sco)、かんむり座T星 (T CrB)などがある。いずれも爆発の間隔は数十年以上で、2009年に約10年ぶりに爆発したさそり座U星や、2011年に約45年ぶりに爆発したらしんばん座T星が、注目を集めている。
主な反復新星

かんむり座T星 - 変光範囲:2.0等から10.8等[5]

へびつかい座RS星 - 変光範囲:4.3等から12.5等[5]

さそり座U星 - 変光範囲:8.7等から19.3等[5]

らしんばん座T星 - 変光範囲:6.5等から15.3等, 発見者:H. Leavit (ハーヴァード・マップより1902年の増光を発見。最も古い増光記録は1890年。)[8]

新星状変光星 (NL)

新星状変光星[9](nova-like variable[9])(新星様変光星、新星類似型変光星)は、爆発の記録がないが爆発時以外の新星・矮新星同様の変光を示す星である。

爆発期以外では、新星と矮新星に本質的な違いは無く、一括して扱われる。
超新星 (SN)

超新星 (supernova) は、星の大規模な爆発現象である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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