潰瘍性大腸炎
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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎
概要
診療科消化器学
分類および外部参照情報
ICD-10K51
ICD-9-CM556
OMIM191390
DiseasesDB13495
MedlinePlus000250
eMedicinemed/2336
Patient UK潰瘍性大腸炎
MeSHD003093
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潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん、: Ulcerative colitis、: UC)は、主に大腸粘膜に炎症などにより[1]潰瘍びらんができる原因不明の非特異性炎症疾患クローン病英語: Crohn's disease、略: CD)とともに炎症性腸疾患英語: Inflammatory bowel disease、略: IBD)に分類される。

大腸粘膜に潰瘍びらんが多発することで、血便(下血)を伴う下痢や激しい腹痛などの症状が現れる炎症慢性疾患。発症原因が不明であることや、重症化すると大腸摘出手術が必要になったり、最悪の場合は死亡するケースもあることから、平成27年1月1日厚生労働省から指定難病(旧 特定疾患)告示番号97に指定されている[2]

消化管全体に炎症反応が起こり得るクローン病とは異なり、UCでは炎症は大腸に限局される。古くは、クローン病と同じ病因から生じる病気と考えられていたが、現在では全く病態の異なる別の病気であることが判明している。

クローン病と合わせて、2015年の時点で約1,120万人が罹患している[3]。 毎年10万人あたり1?20人の新規患者が発生し、10万人あたりの有病率は5?500人である[4][5]。地域的には、北米と欧州でより一般的である[5]。初回発症の多くは15-30歳であるが、60歳以上のケースもあった[6]。男女での発症率に差はみられない[4]。この病気は1950年代からより一般的になった[4][5]。米国においては、潰瘍性大腸炎とクローン病とを合わせ、およそ100万人が影響を受けている[7]。適切な治療を行えば、死亡リスクは一般人とさほど変わらない[8]。この病気の最初の記述は1850年ごろから始まった[5]。平成25年度の患者数(医療受給者証および登録者証交付件数の合計)は約16万人とされ[9]、毎年5,000人程度増加している[10]
臨床像

徴候と症状クローン病潰瘍性大腸炎
排便多くはお粥のような状態[11]
。たまに脂肪便多くは粘液状で、血液を含む[11]
テネスムス一般的ではない[11]より一般的[11]
発熱一般的[11]重度の状態である[11]
瘻孔一般的[12]まれ
減量しばしば非常にまれ

基本的に発症すると緩解・再燃を繰り返して行く。全消化管に生じるクローン病と異なり、基本的に大腸に限定して生じる。また、大腸粘膜が長期に渡って炎症を生じることで大腸癌を発症する可能性もある。
症状

主に「
粘血便」・「下痢」・「腹痛」を自覚して生じる場合が多い。

粘血便は軽度の場合は下痢便に少量の粘液血液が付着する程度だが、重症化なると大量の粘血が混入するようになり、ときに「便成分がなく、粘血のみの状態、鮮血のみの状態」「トマトケチャップのような便」になることがある。

粘血便・下痢はときに一日10回以上の非常に頻回なものになることがある。

腹痛の程度も軽度なものから激しいものまで様々である。

進行すると「発熱(ときに38℃以上の高熱)」・「吐き気」・「嘔吐」・「全身倦怠感」・「頻脈」・「体重減少」・「貧血」などを伴ってくる。

合併症
腸管合併症

大腸粘膜の炎症が悪化すると腸管の蠕動機能が失われ、ハウストラ(大腸のひだ)の消失を生じたり(鉛管状腸管と言う)、腸管拡張を生じて悪化し腸閉塞像を呈したもの(中毒性巨大結腸症と言う)では、消化管穿孔を生じる場合もある。特に中毒性巨大結腸症は早急に治療しなければ死に至ることもある、UCの最も危険な合併症である。また、稀だが内科的治療では制御不可能なほど大量に出血することがあり、この場合、早急に手術しなければ循環性ショックを起こして死に至ることもある。

重症化するUCの患者や、ステロイドを使っている難治性の患者の中に、原因としてサイトメガロウイルス感染[13]を生じるケースが見られる。

大腸癌を合併した症例も存在する[14][15]。このうち虫垂部の腫瘍は定期的な大腸内視鏡検査を行っていても見逃され易いとの指摘がある[16]
腸管外合併症

大腸以外にも、「関節皮膚、咽喉、足指、手指」などに合併症が生じることが知られている。これは免疫異常(自己免疫疾患)が影響していると考えられている。特に眼の合併症は放置すると失明に至る危険性がある。

結節性紅斑

多発性関節炎強直性脊椎炎

壊疽性膿皮症[17]

虹彩炎、ぶどう膜炎 : 放置すると失明することもある。

肛門周囲炎・肛門膿瘍

肛門潰瘍・

偽ポリポーシス(ポリープ)

胆石症・原発性硬化性胆管炎

腎炎

歯肉炎

口内炎

凍瘡(足、指、耳)

浮腫(むくみ)

口渇

肝機能障害、肺機能障害

脱毛

視力低下

原因

はっきりした原因はまだわかっていない[9]。考えられる仮説として、清潔すぎる環境、ストレス、腸内細菌の異常(悪玉菌の増加、善玉菌の減少)、人工甘味料の影響、自己免疫反応の異常(自己免疫疾患[18]、遺伝性(家族性)[19]、食生活の欧米化などが原因ではないか、と指摘されている。


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