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糸満海岸のマンドリンゴーストネット(廃漁網)に絡まったウミガメハワイの砂浜
漂着物(ひょうちゃくぶつ)とは、海流・潮流・風・波などによって、漂流物が海辺に打ち上げられ漂着した物の総称である。
その内容は多彩を極め、利用価値が無い漂着物は漂着ごみ等と呼ばれ処分されるが、ときに観察や蒐集の対象となることもある。
近世以前の日本では、寄物(船の場合は寄船、漂流船は流船)と呼んだ。 日本は四方を海に囲まれていることもあって、古来から漂着物には大変恵まれている。漂着物は時代や場所とともにその内容を変える。漂着物を観察し、あるいは吟味することは、その場所やその時代を知る上での意味ある行為である。 漂着物には、大きく分けて自然物 人工物では、プラスティック、ビニール類が多くペットボトルが圧倒的に多い。また、日本海側の海岸では朝鮮半島や中国からの漂着物が多く、太平洋側とは大きく異なっている。 漂着物の例
概要
さまざまな漂着物
自然物
植物(流木、木の実、海草)
生物(貝・魚・ヒトデ・サンゴ)
動物の死骸、骨
軽石
琥珀、龍涎香
人工物
難破船
漁具(魚網など)、釣具
空き缶、ペットボトル、発泡スチロール
医療廃棄物(注射器・浣腸器等)
ラジオゾンデ
機雷(湧別機雷事故、名立機雷爆発事件を参照)
照明弾[1]、照明弾に使用される白リンは琥珀と間違えられ自然発火が起きて火傷する事故も起きる[2]。
玩具(大量に流失したラバー・ダックなどが海流調査に活用された例がある。フレンドリーフロート
漂着物が人にインスピレーションを与え、作品として生まれたもっとも有名な例では、民俗学者である柳田國男が1898年明治31年の夏に、伊良湖にしばらく滞在した際に偶然拾った椰子の実の話を、親友の島崎藤村に語ったところ、それがモチーフとなり、「名も知らぬ遠き島より流れよる椰子の実ひとつ・・・」の歌詞で知られる叙情詩「椰子の実」が誕生した。藤村自身は実際にその椰子の実を見たわけではないが、柳田國男が優れた文学者に強いインスピレーションを与えたのである。その後、1936年(昭和11年)、歌詞に大中寅二によってメロディーが付けられ、NHKで放送され、国民歌謡として広く知られるようになった。現在も、日出園地には「椰子の実」誕生の記念碑がある。
漂着種子ココヤシの実
漂着物の中に植物の果実や種子等の散布体が混じり、漂着後発芽する場合がある。このような種子を漂着種子と言う。さらに海流による散布のための適応を持つような種子を海流散布種子
、その植物を海流散布植物と呼ぶ。これは植物の重要な繁殖戦略の1つである。熱帯系の植物に多く、上述の島崎藤村の「椰子の実」に歌われたココヤシもその代表的な例である。漂着種子は、種子を保護するため果肉や種皮が厚い、海水に浮くため繊維層を持つなどの特徴を持つ。またヒルギ科等の胎生種子も漂着種子の例である。動物の場合も漂着から分布を拡大する例があると考えられ、海流による分散は動物の分布に大きな意味を持つ。