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滞納処分(たいのうしょぶん)とは、日本において、法定納期限等一定の期日までに納付されない税などについて、徴収権者が、その税などにかかる債権を滞納者の意思に関わり無く実現する行政処分である。
国税通則法第40条は、一定の場合に滞納処分を行う旨を規定している。滞納処分の具体的な手続きに関しては、同条の委任により国税徴収法に規定があり、税務署長その他国税の徴収に関する事務に従事する職員がこれを行う。 滞納処分が目的とするところは、納付されない税を強制的に取り立て、最終的には税が納付されたのと同一の効果を得ること、具体的には納付されるべき税額を国庫に納めさせることにある。徴収法にはその具体的な手続きが規定されているが、これらはそれぞれ独立した、一連の行政処分である。 滞納処分には、通則法および徴収法の規定によれば下記の手続がある(滞納処分に先立つ手続を含む)。 (0)で囲んだものは滞納処分に先立つ手続き。 税は、国や地方公共団体の収入の大部分を占め、その活動の基盤となるものである。また、その徴収には大量性・反復性があり、徴収のために煩雑な手続を要するとすれば、効率的な行政の執行を妨げるおそれがある。 そのため、税の徴収にあたっては、私債権の実現には許されない自力執行権が認められている。自力執行権とは、履行されない債権を、債権者自らが強制手段を以って実現させる権限である。 徴収法に規定されている滞納処分の手続きは、通則法に規定する国税、即ち国が課する税のうち関税、とん税、特別とん税、森林環境税及び特別法人事業税以外のものについての規定であるが、関税法、地方税法をはじめとする公租公課の徴収に関する法令において、「国税徴収の例による」との規定で同様に扱われるものがある。 1 関税 関税法第11条、とん税 とん税第6条第3項、特別とん税 特別とん税第6条によるとん税第6条第3項の準用 2 健康保険料 健康保険法第180条第4項 国民年金保険料 国民年金法第96条第4項 3 地方税 地方税法第48条第1項等 4 地方自治体の徴収金 放置違反金 道路交通法第51条の4第14項により地方税法の滞納処分の例によりとあるので、間接的に国税の滞納処分の例によることになる。 この、国税徴収の例によるとあるのは、徴収法の個別の規定の準用より幅が広く、徴収法に基づく命令の規定を含み、対象となる公租公課が、国税であるように徴収することができる。この場合、徴収法中「徴収職員」、「国税」などの文言は、当該法令で用いられている用語(地方税法の場合「徴税吏員」、「道府県民税」など地方税の税目)に読み替えることになる。 以下、本項目では徴収法に規定されている用語に従って解説する。 通則法第37条では、国税の納期限後50日以内に督促状を1度に限り発するものとされており、同法第40条および徴収法第47条では原則として督促状を発した日から10日以内に当該国税が完納されない場合、滞納処分(差押)を行うとされている。 督促状の発付は滞納処分の前提行為とされており、督促状が発されずに行われた滞納処分は無効となる。「50日以内」という督促状発送の期限は訓示規定であると解されており、50日を過ぎて発せられた督促状が直ちに無効になるとはされていない。 ただし、通則法第38条第1項各号の規定により繰上請求がなされた場合は繰り上げられた納期限までに当該国税が完納されなかった場合(通則法第40条)、督促状を発してから10日以内に繰上請求の事由が発生した場合は直ちに(徴収法第47条第2項)、滞納処分を行うことができる。特に徴収法第47条第2項の場合を指して「繰上差押え」と呼ばれる。 当該国税について通則法に基づく督促がなされた場合は、通則法第73条第1項第4号の規定により、督促状を発した日から10日間、時効の完成が猶予される。ただし、督促状で時効が中断するのは、初回限りであり、それ以降に発する催告書では、時効は中断しない。 徴収職員は、滞納者に対する差押に先立ち、差し押さえの対象となりうる財産の有無やその価値などを調査するため、下記の方法により財産の調査を行うことができる(徴収法第5章第6節第2款「財産の調査」(第141条 - 第147条))。 財産調査にあたっては、徴収職員は身分証明書を携帯し、関係者(調査を受ける者)の請求があればこれを呈示しなければならない(徴収法第147条)。ただし、調査に先立ち必ず自発的に呈示する必要は無く、関係人の請求により提示すれば足りると解されている。 自力執行権の行使の前段階として強力な権限が与えられているが、この権限は犯罪捜査のために認められたものと解してはならない旨が規定されている(徴収法第147条第2項)。
概要
(督促)
(繰上請求)
(財産の調査)
(質問・検査)
(捜索)
財産の差押
交付要求
財産の換価
換価代金等の配当
私債権との相違点
他の法律における「国税徴収の例による」場合
督促
財産の調査
任意の調査
質問・検査(徴収法第141条、第147条)
強制調査
捜索(徴収法第142条 - 第146条、第147条)
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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