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溶融塩電池(ようゆうえんでんち、molten salt battery)は溶融塩を用いた化学電池である。熱により活性化(熱賦活)されることから熱電池(ねつでんち、thermally activated battery、thermal battery)とも呼ばれる。 溶融塩電池は、室温においては非導電性で固体の無機塩を電解質として用いている。そのため、貯蔵時には正極・負極の活物質は絶縁された状態になっており、活物質が反応して自然放電することを抑制することができる[1]。この状態であれば10年以上貯蔵可能といわれている[2]。使用時には固体塩電解質に熱を加えて溶融塩にする。溶融塩はイオン伝導性を生じるので電池が活性化する。活性化した電池は10分から1時間ほど放電し続け、溶融塩が冷めて凝固すると作動停止する。 溶融塩電池は長期保存が可能なため、ミサイルや魚雷などの兵器やロケット、航空機の緊急脱出装置などに用いられている。 溶融塩電池は、第二次世界大戦中のドイツで、V2ロケットの電源としてGeorg Otto Erbにより考案・開発された。Erbの溶融塩電池では、ロケットの排熱を利用して電解質を溶融状態に保っていた[3]。 溶融塩電池は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の負極、塩化リチウム・塩化カリウム共融混合物などの電解質および金属塩の正極からなる電池本体と、電解質を溶融状態に保つための熱源・点火装置および保温材等からなる。 負極活物質として、カルシウムが1970年代にかけて多く用いられていた。正極活物質は1950年代初期には三酸化タングステン(WO3)が用いられていたが、1950年代中期ごろからクロム酸カルシウム(CaCrO4)に置き換えられていき、1960年代から1970年代にはカルシウム・クロム酸カルシウム系の溶融塩電池が主流になった。その後、負極活物質にリチウム(アルミニウムと合金化されている)、正極活物質に二硫化鉄(FeS2)や二硫化コバルト(CoS2)等が用いられるようになり、今日ではリチウム・硫黄系の電池が主流となっている。 電解質を溶融状態にするための熱源には、開発初期にはロケットエンジンの排熱を利用していたが、現在では熱紙および熱ペレットと呼ばれる火工品を電池に挟み込んで加熱する方法が用いられている。熱紙は、ジルコニウムとバリウム・クロム酸塩(BaCrO4)の混合物をガラス繊維等で紙状に加工したもので、静電気や摩擦によって容易に発火する。熱ペレットは、鉄の微粉末と過塩素酸カリウム(KClO4)の混合物をプレスしてペレット状に成形したもので、着火には比較的大きなエネルギーを要する。溶融塩電池の熱源としては、熱ペレットが主であり、熱紙は熱ペレットへの着火剤として用いられている。熱紙が燃焼してできる灰は非導電性であるが、熱ペレットに含まれる鉄を化学量論比より過剰にしておくことで未反応の鉄が残って、燃焼後も電池間の電気伝導が確保されるようになっている。
概要
電池構造