この項目では、準天頂軌道衛星に関する一般的説明について説明しています。日本の衛星計画については「準天頂衛星システム」をご覧ください。
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。
出典検索?: "準天頂衛星"
準天頂衛星(じゅんてんちょうえいせい、quasi-zenith satellites, QZS)は、準天頂軌道(じゅんてんちょうきどう、quasi-zenith orbit)、すなわち特定の一地域の上空に長時間とどまる軌道をとる人工衛星。通常は複数の準天頂衛星が見かけの同一軌道上を周回する一組の衛星コンステレーションを構成して運用する。
準天頂軌道は、公転周期が惑星の自転周期(地球なら23時間56分)と等しくなる対地同期軌道に、適切な軌道傾斜角と軌道離心率を持たせることによりもたらされる。目次
1 軌道力学
1.1 非対称化
1.2 他の軌道との比較
2 衛星コンステレーション
3 準天頂衛星システム
4 長所と短所
5 実用・計画例
5.1 準天頂衛星システム「みちびき」
5.2 北斗
6 脚注
6.1 注釈
6.2 出典
7 関連項目
8 外部リンク
軌道力学 自転する地球の日本上空(小ループ部)に、3機の衛星が交代で滞在
同じ対地同期軌道の衛星で、離心率、軌道傾斜角とも0の静止軌道衛星は、地表から静止して見えるため、衛星サービス提供に適している。しかし、衛星位置は高緯度地域ほど地平線に近づき、地形や建造物に遮蔽されるリスクが高まる。一方、高い軌道傾斜角を持つ衛星は、地表から見て毎日南北に1往復する軌道を飛び、高緯度地域の天頂付近に一定時間滞在できる。このため、高緯度に飛来する間に衛星サービスを提供するのに適する。
ただし南北往復といっても、同経度ではなく東西に振れ、地表から見て8の字軌道を描く。低緯度では地表が衛星を追い抜き、高緯度では逆となるためで、「8の字衛星」とも呼ばれる。 軌道傾斜角が高く往復距離が長いほど、目的である高緯度地点の滞在時間は短くなる。そこで、軌道の離心率を上げて目標付近を遠地点とすれば、滞在時間を長く出来る。この場合、8の字軌道はループ径に差が生まれ、非対称8の字軌道と呼ばれる。さらに離心率を上げると片方のループがなくなり、涙型軌道となる。 しかし、離心率を上げると高緯度地点の衛星高度も上がり、通信距離拡大による衛星サービス品質低下のおそれが強まる。また、反対側の半球の高緯度では上空に近地点があるにもかかわらず滞在時間が縮まるので、他の地域でも利用するつもりなら離心率は大きくしすぎないほうがいい。 このことから日本の準天頂衛星システム計画では、軌道傾斜角45度、軌道離心率0.1の非対称8の字が選定されている。 準天頂軌道と同じく中高緯度での利便性を考慮した人工衛星の軌道には、モルニヤ軌道とツンドラ軌道がある。 緑-準天頂軌道 水色-モルニヤ軌道 赤-ツンドラ軌道 青-地球 軌道の比較準天頂軌道モルニヤ軌道ツンドラ軌道静止軌道 準天頂衛星が高緯度上空で滞空できるのは公転周期の内の一部にすぎない[注釈 1]ので、3機程度の衛星を軌道上に配置しておき、常に1機が上空に現れるようにしている。準天頂衛星システムの各衛星の軌道は、同じ軌道形状で、昇交点赤経 準天頂衛星システムの衛星数は、多ければそれだけコスト高になるが、少なければ衛星の仰角が低くなってしまう。日本の準天頂衛星システムの運用を考えれば、マスク角20度(最低仰角70度)とすると、必要な衛星は3機となりほとんどの時間は80度以上の仰角を確保できるが、これを静止衛星1機で行う場合、衛星の仰角は北緯35度の東京で55度、北緯20度の沖ノ鳥島でようやく70度となってしまう。 日本で受信可能な特定地域上にのみ留まる3機の衛星によって米国のGPSを補完及び補強するために、計画が進められている、準天頂衛星システム (quasi-zenith satellite system; QZSS) と呼ばれるものがある。2010年に1機目が打ち上げられ、2013年には運用状態となった。 また、日本のものに限らず、軌道上の準天頂衛星と地上の管制制御ステーション群、そして受信局を含めた全体を指して「準天頂衛星システム」とも呼ばれる。 長所 短所 米国製のGPSを補完する測位システムとして計画されたのが日本の準天頂衛星システムである。詳細は「準天頂衛星システム」を参照 複数の人工衛星を静止軌道で赤道面に対し傾けた軌道に投入することにより、常時日本上空で高仰角となるように少なくとも1機の衛星を滞空させることができる。 中華人民共和国の衛星測位システムを構成する衛星群のうち、数基のIGSO衛星が準天頂軌道と似た真円軌道を巡っている。 [脚注の使い方]
非対称化
他の軌道との比較
軌道の形状楕円軌道長楕円軌道長楕円軌道円軌道
軌道周期約23時間56分約11時間58分約23時間56分約23時間56分
衛星コンステレーション詳細は「衛星コンステレーション」を参照
準天頂衛星システム詳細は「準天頂衛星システム」を参照
長所と短所
天頂付近さえ開けていれば衛星からの信号が受信できる。このことは高層建築物の多い都市部で求められる要素である
常に衛星による便益を受けるには3機以上の準天頂衛星が必要とされる
上の条件で必要とされる複数の準天頂衛星はまったく軌道面が異なるため、複数衛星の同時打ち上げはできない。また、軌道上予備の配置もやや課題を伴う
衛星が常に動いているために、指向性が強く求められるサービスでは、受信局が衛星を追尾する必要がある。無指向性のサービスであれば問題にならない
軌道高度が高いために、低軌道衛星やGPS衛星に比べて大きな電力を扱う大きな衛星を、打ち上げ能力の大きなロケットを用いて打ち上げなくてはならない
実用・計画例
準天頂衛星システム「みちびき」
北斗詳細は「北斗 (衛星測位システム)」を参照
脚注
注釈^ 日本近辺の緯度では地平線下に隠れることはないが、仰角がいちじるしく斜めになる。
出典
関連項目
人工衛星の軌道
人工衛星の軌道要素
低軌道
静止トランスファ軌道
アポジキックモーター
静止軌道
みちびき
外部リンク
JAXA準天頂衛星を利用した高精度測位実験システム Home - ウェイバックマシン(2016年10月21日アーカイブ分)
⇒準天頂衛星のムービー(北里大学,福田宏作)
Size:28 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef