湯村温泉(ゆむらおんせん)は、兵庫県美方郡新温泉町大字湯(旧温泉町、旧但馬国)にある温泉。山陰東部の山峡にある閑静な湯治場で、開湯は平安時代初期の848年で長い歴史を持つ。「湯けむりの郷」と称し、また1981年のNHKドラマ『夢千代日記』(吉永小百合主演)のロケ地としてその風情が全国に知られるようになり、以来「夢千代の里」とも称する[1]。
泉質
荒湯の泉質
ナトリウム - 炭酸水素塩・塩化物・硫酸塩泉[2](低張性、弱アルカリ性高温泉)
源泉温度 98 ℃(日本一)
湧出量 毎分470リットル
総源泉数60、総湧出量毎分2,300リットル。余った分は川へも流れるので、冬には川から湯煙が立つこともある。美人の湯として名高い(メタケイ酸192.5ミリグラム)。
温泉街荒湯薬師湯春来川とふれ愛の湯春来川と温泉街春来川畔、ライトアップ湯村
荒湯という高温の噴出泉が中心部にあり、春来川を中心に温泉街となっている[1]。ホテル・旅館は24軒程度であるが、2軒が定員500名クラスの大型ホテルなので、大きな温泉街の部類に入る。2018年時点では20軒程度で500人収容は1軒のみ[3]。1981年にテレビドラマ『夢千代日記』が放映された直後から宿泊客数が増加し、ピーク時には30数万人の来客があった。その後、景気低迷などの影響を受けて次第に減少し、2007年度には20万人を割り込んだものの、2011年に破綻した三好屋グランドホテル(江戸時代末期創業、250人収容)を湯快リゾート(本社:京都市)が買取り、2012年の宿泊客数は前年同期の約130%増の約14万人となり、増加傾向となった[4][5]。
旧町名が温泉町、大字名が「湯」であるほど温泉への依存度は強い。温泉病院という名称の病院や、町立温泉小学校と言う学校もある。
荒湯はゆで卵や野菜などを茹でたりできる98 ℃の熱泉[2]で、周辺の側溝からは湯気が出ており、特に冬の夜は川床からも湯煙があがり温泉情緒を醸し出している[1]。
施設・旧所名跡
リフレッシュパークゆむら:自然の中にあり、露天風呂では森林浴と温泉浴、日光浴を楽しむことができる。13種類の風呂、温水プールがある温泉リゾート施設。
湯村大根物語「ふれ愛の湯」:74人が同時に入れるとされる公衆足湯。
アオギリの湯:足湯。夢千代館の裏、春来川岸にある。
薬師湯:外湯。2008年に荒湯近くから夢千代館(後述)の春来川対岸に移転した。温泉の温水を利用した熱電発電による給電を行なうジオコンセントが2012年より設置されている。
ふれあい手形散歩道:春来川沿いの遊歩道の石垣に、来訪した吉永小百合をはじめとする芸能人や文化人の手形が残されている。
清正公園
正福寺:848年創建。正福寺桜と熊谷直義ゆかりの寺
薬師堂:878年創建(現在の堂は江戸時代の再建)。温泉を発見した円仁(慈覚大師)を奉る。
大師堂
八幡神社
杜氏館 - 但馬杜氏の酒造りを紹介する資料館。
夢千代館:『夢千代日記』の物語と、舞台となった昭和20?30年代の湯村温泉をジオラマなどで紹介する施設。
夢千代の銅像:吉永小百合をイメージして、荒湯の向かいに建立されている[1]。
イベント恵比寿天「金運の湯」(森林露天風呂「伏龍の湯」)
湯村の火祭り:新温泉町指定無形民俗文化財。江戸時代からの祭りで、毎年8月に春来川で開催。
⇒全日本かくれんぼ大会
ライトアップ湯村照明デザイナーの石井幹子によるライトアップ芸術。温泉街の中心を流れる春来川と荒湯の周辺を毎日日没から22時まで実施される。
七福神湯めぐり「湯めぐり札」を購入することで、指定の内湯や外湯に入ることができる。七福神各々の像が湯ごとに用意されている。対象の施設:毘沙門天「勝利の湯」 - 福禄寿「幸福の湯」(展望露天風呂「天神の湯」) - 弁財天「美人の湯」 - 大黒天「結びの湯」(庭園風大露天風呂「織姫」「彦星」) - 恵比寿天「金運の湯」(森林露天風呂「伏龍の湯」) - 寿老人「長寿の湯」(「長寿大岩風呂」「展望桧風呂」) - 布袋尊者「和合の湯」(露天風呂「やまの湯」「かわの湯」)
芭蕉句碑によって建立されている。長年の風雪で文字が読み取りにくくなっている[1]。
周辺
霧ヶ滝渓谷
小又川渓谷
赤滝渓谷
但馬御火浦
浜坂温泉郷
七釜温泉
浜坂温泉 - 以命亭、加藤文太郎記念図書館、浜坂県民サンビーチ
二日市温泉
兵庫県立但馬牧場公園
歴史
848年 - 円仁(慈覚大師)による開湯とされる。
1981年 - NHKドラマ『夢千代日記』のロケ地となる。
2001年 - 日本最大(当時)の足湯「ふれ愛の湯」がオープン。