湘南電車
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この項目では、国鉄・JRの湘南電車について説明しています。

「湘南電車」と呼ばれた私鉄(京浜急行電鉄の前身)については「湘南電気鉄道」をご覧ください。

JR東日本の電車の運転系統については「東海道線 (JR東日本)」をご覧ください。

1950年から使用されたこの愛称を持つ電車については「国鉄80系電車」をご覧ください。

初代湘南電車80系

湘南電車(しょうなんでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)東海道本線湘南地域で運用した電車愛称である。当初は1950年に運行開始しオレンジと緑のツートンカラーをまとって登場した80系電車の愛称であったが、その後、車両によらず東海道本線の東京駅 - 熱海駅沼津駅間の電車列車(中距離電車)の通称として用いられている。

車両形式としての80系電車は「湘南形電車」などとも呼ばれた。80系電車に用いられた緑色に窓まわりのオレンジを配した塗装は「湘南色」とも呼ばれ、国鉄の直流近郊・急行型電車に普及した。一方、80系増備車からの前面非貫通2枚窓で上半分が傾斜したスタイルは1950年代以降に新造・車体更新された国鉄・私鉄車両に広く波及し、「湘南顔」のように呼ばれた[1]
歴史
由来

東京と小田原・熱海・沼津の間に運転されていた電気機関車牽引の客車列車の国鉄部内呼称である「湘南列車」[2] が、1950年3月から電車運転へと切り替えられる際に「湘南電車」と呼び変えられ[3]、一般にも用いられる様になった[2]。「湘南列車」が国鉄部内での呼称であったのとは異なり、「湘南電車」という呼称が一般に浸透したのは、車体の色彩によるところが大きい[4]。しかし、小田原以西では受け入れられず[3]、運用開始時の小田原駅の看板では「湘南伊豆電車」が用いられた[2][3]

計画段階では「湘南電動列車」という語も用いられ[5]、また、東海道本線電化当初、東京と小田原の間ならびに東京と横須賀の間に運転された列車には「湘南旅客列車」という呼称が用いられていた[6]
電車化

電車化の際、新たに開発された80系電車が専用に導入され、「湘南電車」の名はひいてはこの80系のことをも指すようになる。80系は、機関車牽引の客車列車を加減速・高速性能に優れた電車に置き換える目的で開発された長距離運転用電車であった。このため、高速性能を確保しつつ、在来客車に近い水準の接客設備を備え、また当時日本の電車最長の16両編成が可能な仕様であった。当時の国鉄では、電車は都市近郊での短距離運転向けのものと看做されていただけに、80系を使用し、120km以上の長距離を、在来電車では先例のない客車列車並みの長大編成で運行したことは画期的だった。

投入当初は初期故障を連発させ[4]、新聞紙面で「遭難電車」と揶揄されもしたが[7]、ほどなく安定運用が可能となり、国鉄での電車による長距離列車運転は広く定着していった。1950年8月から京阪神間急行電車に用いられ[8] たほか、東海道本線の電化区間西伸にともない80系の運用区間も西進し、その後山陽本線上越線[9]東北本線[9]信越本線中央本線飯田線身延線でも運用され「湘南」の範囲に収まらなかったが、80系に対して「湘南形電車」という呼称が用いられた。

80系電車によっていた準急「東海」用に開発された91系→153系電車が「新湘南」と呼ばれた時期もあったが、次第に「東海形」と呼ばれる様になり「新湘南」は定着しなかった[10]
111系・113系への置き換え後「湘南電車」の表記が現存する大船駅2番線のグリーン車停車位置案内板(2011年5月24日)

1962年に登場した111系電車により「湘南電車」は順次置き換えられ、80系電車の東京駅乗り入れは1977年3月28日に終了したが、運行系統として「湘南電車」の呼称は以後も用いられた。しかし、1980年代以降、旅客案内上は湘南電車にかわり東海道線が使用されるようになっている[11]

21世紀初頭の時点で、JRにおいて路線(もしくは区間)の愛称として「湘南電車」が使用されることは基本的にないが、大船駅東海道線ホームのグリーン車停車位置案内板には「グリーン車(湘南電車)はこの付近に止まります」という表示が存在している。ただし、英文での表現は、"Sh?nan Train"ではなく"T?kaid? Local Line"となっている。また、鉄道関係者や愛好者の間では慣用句として廃れずに用いられており、書籍などで表題に使われる場合もある[12]

80系投入当初より使用された車体塗装のカラーリングである、オレンジと緑のツートーンカラーを指す「湘南色」という呼び方は広く通用している。また、2021年現在も東海道線で運行されている「(湘南ライナー→)湘南」や「湘南新宿ライン」にもその名が引き継がれている。
113系の運用終了2006年3月17日、東海道線東京口の113系運用最終日に一部車両に挿入されたサボ。

2004年に国鉄時代から使用していた113系を本区間から運用撤退させる旨の発表がJR側からなされると、一部のマスコミが「湘南電車の引退」と報じた[13]2005年10月1日には、駅改良とエキュート品川の誕生を記念して湘南色のクモユニ74形を模した郵便ポスト品川駅コンコースに設置された[14]

2006年3月17日の営業運行終了に際して、JR東日本側でも「さよなら湘南電車」として沿線観光パンフレットを製作、最後まで運用した編成の先頭車前面に「ありがとう113系電車」と表記した4種類のステッカーを貼付の他、運用最終日には一部車両に「さようなら湘南電車」と書かれた横サボを挿入。さらには藤沢駅東海道線ホームのキヨスクに80系の意匠を採用するなど、単なる「車両の引退」という枠を超えたPRも行っていた。これは近年の一般社会で用いられた珍しい例といえる。

2011年2月5日と6日には、湘南色に復刻されていた幕張車両センターの房総地区用113系4両編成(マリ117編成)による団体臨時列車「懐かしの113系で行く東海道本線の旅」が横浜駅 - 熱海駅間で運転された[15]神奈川新聞ではこの列車の運行に際して「湘南電車カムバック」と報じている[16]

クモユニ74形を模した品川駅郵便ポスト(2006年11月)

藤沢駅ホームに設置された湘南電車キヨスク(2006年3月)

80系を模した店舗と113系電車の並ぶ姿(2006年3月)

湘南色詳細は「湘南色」を参照.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目ではを扱っています。閲覧環境によっては、色が適切に表示されていない場合があります。湘南色グレート・ノーザン鉄道の機関車

「湘南色」とは黄かん色(濃いオレンジ色)■と緑2号(濃い緑色、ダークグリーン)■のツートーンカラーの愛称である。


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