湖畔_(絵画)
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『湖畔』フランス語: Au bord du lac
英語: Lakeside

作者黒田清輝
製作年1897年 (1897)
種類油彩画
素材カンヴァス
主題水辺での納涼
寸法69.0 cm × 84.7 cm (27.2 in × 33.3 in)
所蔵東京国立博物館東京都
所有者国立文化財機構

『湖畔』(こはん、: Au bord du lac、: Lakeside)は、日本の洋画家黒田清輝が1897年(明治30年)に描いた絵画[1][2]。1999年(平成11年)に国指定の重要文化財に指定された[3]。1967年(昭和42年)に郵便切手のデザインに採用されたほか、美術科の教科書などにも掲載されている[4][5]芦ノ湖と対岸の山並みを背景として、岩の上に腰掛けて納涼している1人の女性が描かれている[1][6]。モデルは、金子たね(のちに黒田照子と改名)という人物である[7]カンヴァスに油彩。縦69.0センチメートル、横84.7センチメートル[8][6]国立文化財機構が所有しており、東京国立博物館に所蔵されている[3][7]。フランス語では “Au bord d'un lac” とも表記される[4]。美術史家の隈元謙次郎は、「明治期屈指の名作として親しまれているのもうなずける」と評している[9]
由来黒田清輝『智・感・情』、1897年 - 1899年、東京国立博物館所蔵黒田清輝『木かげ』、1898年、ウッドワン美術館黒田清輝『読書』、1891年、東京国立博物館所蔵洋燈と二児童』、1891年、ひろしま美術館所蔵

1897年(明治30年)7月10日ごろに千葉県稲毛に来遊し、年若い婦女の半身像を海を背景に描いた『女の顔』というタイトルの作品を製作した黒田は、同年8月が始まると、避暑を目的として神奈川県の箱根にある芦ノ湖のほとりを金子たねを伴って訪れ、同月末まで滞在した[10][11][12][13]。彼はそこで水の描画法を研究していた[12]。東京文化財研究所のウェブページ掲載の照子の回想では、清輝が仕事をしているのをたねが見にいくと、近くにある岩の上に腰掛けるように言われたので従った。すると清輝は次の日から、たねとその後ろに広がる風景を描き始め、およそ1か月ほど後に完成したとされる[14]。『現代の眼』42号での照子の語りによると、彼女が岩の上に腰掛けて納涼していると、「そのままモデルになれ」と言われた、という[15][16]

製作した時間帯について、『現代の眼』に掲載の照子の語りでは、陽が高い午後3時ごろまでとなっている[15]。『湖畔』製作当時の照子の年齢は、『現代の眼』42号に掲載の照子の語りでは24歳となっているが、東京文化財研究所のウェブページに掲載の照子の回想では23歳となっている[15][14]。黒田は、この箱根滞在期間中に『自画像』を製作し完成させたほか、翌9月には東京に戻り、ハギの花を背景に婦女が佇んでいる姿を描いた『秋草』(1897年、岩崎美術館所蔵)を製作している[13]

『湖畔』が初めて公開されたのは、1897年(明治30年)10月28日から12月5日にかけて上野公園旧5号館で開催された第2回白馬会展においてである。このときは『避暑』(: Station d’ete、: Summering)というタイトルが付けられていた(この展覧会に出展された黒田作品はほかに『智・感・情』(1897年 - 1899年、東京国立博物館所蔵)『秋草』『落日』『側面像』『海上暮雲』『林間秋色』『自画像』『冬野薄暮』『湖邊朝霧』『江月』『砂濱乾魚』『麥圃暮色』『漁船著岸』『母子』『海濱冬日』『僻村元朝』がある[17][18][19][20][21])。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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