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2010年以来、世界最大のコンテナ港である上海港積み替え港として世界最大のシンガポール港ロッテルダム港マースフラクテ地区にあるコンテナターミナル名古屋港、空から見る鍋田埠頭と飛島埠頭

港湾(こうわん、英語: Port)とは、古くは(とまり)などから発展した港・(みなと)であり、島嶼などの天然の地勢や防波堤などの人工構造物によって風浪を防いで、船舶が安全に停泊し人の乗降や荷役が行える海域と陸地を指す[1]。水陸交通の結節点となる機能を持つ港湾には、物流旅客輸送が円滑に行われるために各種の港湾施設が整備され、ポートオーソリティ港務局港湾局)・地方自治体などの組織によって管理・運営されている。
歴史

船の運航のために古代より、河川の河口入り江といった天然の地形が、波浪といった自然災害からの船舶の避難場所が泊となったり、補給のための飲料水やなどの確保も必要になり、これらの条件が停泊する上では都合が良いため時代が進むにつれて、これらの場所が泊や港・湊として使われるようになり、海運の発達ともに船の規模が拡大するなど港の陸上部分に桟橋岸壁が作られ、施設も拡充され、防波堤などの突堤も突き出すようになる。

現代では税関検疫所、出入国管理所が設けられ、旅客船の増加と規模の拡大に応じて旅客施設が作られた。貨物荷役の便益のために桟橋上や岸壁横には上屋が多く建てられ、陸上輸送との接続地点として道路鉄道が港に接続されるようになった。

交通の要所となると他国・他地域との文化的な玄関口となると共に、商業活動によって経済的な発展を遂げて港湾都市として繁栄するようになり、ますます港湾機能の充実が図られた。埋め立て、陸地の掘り込み、浚渫などによってそれまでの港湾の規模を拡大することも行われた。また、天然の良港として長い時間をかけて発展してきた港とは別に、人間活動の要請に応じて、新たな港が作られるようになった。鉄鋼業石油化学工業の発展によって専用の貨物船に対応した工業港が作られ、専用ターミナルとして発展して行った。

貨物船はしだいに大きくなり、港での荷役に数日が掛かるようになったため、港外で桟橋や岸壁の空きを待つ「滞船」(たいせん)が起きるようになった[注 1]。また、大型貨物船が直接接舷できない多くの港では、沖仲仕(おきなかし)が湾外で停泊する貨物船と陸の間を(はしけ)に貨物を積み替えることで荷役を行うなど、非常に非効率であった。

コンテナ船の登場で港での荷役作業は効率化されたが、同時に港の荷役設備は更新を迫られた。コンテナ船の巨大化に応じて浚渫やクレーンの大型化が図られ、コンテナターミナルとして発展していった[1]。21世紀に入ると国際貨物コンテナを扱う港は、ハブ港とフィーダー港に峻別される傾向が鮮明になってきた[2]
機能

島・岬や湾入などにより遮蔽された地形は、しばしば天然の良港と呼ばれる。近代に入ってからは、防波堤・岸壁といった構造物や掘り込み式港湾などの建設技術が著しく向上し、天然の地形に恵まれない場所でも大規模な港湾が造られている。英語の"Harbour"は、古英語の軍隊 "here" をかくまう "beorg" という意味合いに由来を持ち、船舶が安全に停泊できる港という避難港的な意味合いが強い。そしてそれは、港湾として求められる最も重要な機能でもある。

旅客の乗降や貨物荷役保管といった水陸輸送の転換機能、すなわち、ターミナル機能も港湾の重要な機能である。そのため、港湾には船舶の係留のみならず、貨物の荷さばきと保管、旅客の乗降、港湾から後背地への陸上輸送などを行うための施設が整備されている。英語"port"の語源は、古代ローマのラテン語の「運ぶ」を意味する"portare"である。そして運び入れたり運び出す場所をport(門)と呼ぶようになり、都市国家間の輸送の門である港湾の意味に転じた。すなわち、port には水陸輸送の転換場所という意味合いが強い。

これらの他の港湾の機能としては船舶へ燃料食糧・船用品などを補給する運航援助機能などがある。
分類
主要な分類

港湾は機能・用途・運営主体・規模・法令などによって分類することができる。代表的な分類としては、用途による分類がある。港湾の用途に応じた分類であるが、出入港する船舶種類に応じた分類であるとも言える。用途による分類の概略を以下に示す。

種類内容主な入港船舶
商港外国貿易・内国貿易による貨物取扱いを主とする港湾貨物船コンテナ船など
工業港工業地域に接し原料や工業製品の取扱いを主とする港湾タンカー、原料輸送船など
漁港水産物の取扱いを主とする港湾漁船など
フェリー港車両・旅客を運送するフェリーが出入港する港湾フェリー
マリーナ趣味娯楽観光目的の船舶が停泊・発着する港湾ヨットプレジャーボート遊覧船など
軍港軍事的な性格を持った港湾軍艦など
避難港小型船舶が強い風浪から避難するための港湾小型船舶など

また、港湾の立地・地形に着目した分類もある。港湾の多くは海洋に面している海港・沿岸港であるが、河口河川に建設された港湾も少なくない。概略は以下のとおり。

種類内容港の例
海港・沿岸港海洋に面した港湾多数
河口港河口に位置する港湾ルアーブル港、水島港新潟港
河川港河港河川に面した港湾ロッテルダム港ロンドン港、旧伏見港上海港ハンブルク港デュースブルク港、ベオグラード港モントリオール港、ニューヨーク港ニューオーリンズ港、ブエノスアイレス
湖港湖に面した港湾シカゴ港、ジュネーヴ港、バクー港、大津港土浦港米子港、長浜港ダルース

多くの河川が航行に利用され、運河も発達している欧米では、海を航行する船が直接入港する港を港(海港)、河川や運河を航行する船が入る港を内陸港湾(Inland port)と呼んで区別している。この区分によると、たとえば海を航行する船が入港しているハンブルク港は、エルベ川の河口から約100km上流に位置しているが「内陸港湾」ではない。

以上のほか、天然の地勢に恵まれた「天然港」と、海浜掘込など人為的に建設された「人工港」という建設方法による分類、高緯度地域において冬季でも暖流などによって凍結することのない不凍港の分類などがある。
日本における分類

日本においては、いくつかの港湾関係法令が制定されており、それぞれの法令目的に従って港湾分類がなされている。

港湾の管理・建設を目的とした港湾法においては、次のような港湾区分を設けている。

区分概要
国際戦略港湾重要港湾の中でも東アジアのハブ化目標とする港湾
国際拠点港湾重要港湾の中でも国際海上輸送網の拠点として特に重要な港湾


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